PROGRAM
プログラム
東京・春・音楽祭
Spring Festival in Tokyo
東京春祭ワーグナー・シリーズ vol.15
Tokyo-HARUSAI Wagner Series vol.15
东京春祭·瓦格纳系列vol.15
《トリスタンとイゾルデ》(演奏会形式/字幕付)
"Tristan und Isolde"(Concert Style/With Subtitles)
《特里斯坦与伊索尔德》(演奏会形式/日语字幕)
プログラム詳細
Detail
※この公演は終了しました。
日時・会場
2024年3月27日 [水] 15:00開演(14:00開場)
2024年3月30日 [土] 15:00開演(14:00開場)
東京文化会館 大ホール
出演
指揮:マレク・ヤノフスキ
トリスタン(テノール):スチュアート・スケルトン
マルケ王(バス):フランツ=ヨゼフ・ゼーリヒ
イゾルデ(ソプラノ):ビルギッテ・クリステンセン
クルヴェナール(バリトン):マルクス・アイヒェ
メロート(バリトン):甲斐栄次郎
ブランゲーネ(メゾ・ソプラノ):ルクサンドラ・ドノーセ
牧童(テノール):大槻孝志
舵取り(バリトン):高橋洋介
若い水夫の声(テノール):金山京介
管弦楽:NHK交響楽団(ゲストコンサートマスター:ベンジャミン・ボウマン)
合唱:東京オペラシンガーズ
合唱指揮:エベルハルト・フリードリヒ、西口彰浩
音楽コーチ:トーマス・ラウスマン
曲目
ワーグナー:楽劇《トリスタンとイゾルデ》(全3幕) [試聴]
上演時間:約5時間(休憩2回含む)
タイムスケジュールはこちら
【試聴について】
[試聴]をクリックすると外部のウェブサイト「ナクソス・ミュージック・ライブラリー」へ移動し、プログラム楽曲の冒頭部分を試聴いただけます。ただし試聴音源の演奏は、「東京・春・音楽祭」の出演者および一部楽曲で編成が異なります。
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連載《トリスタンとイゾルデ》講座 ~《トリスタンとイゾルデ》をもっと楽しむために(全4回)
Date/Place
March 27 [Wed.], 2024 at 15:00(Door Open at 14:00)
March 30 [Sat.], 2024 at 15:00(Door Open at 14:00)
Tokyo Bunka Kaikan Main Hall
Cast
Conductor:Marek Janowski
Tristan(Tenor):Stuart Skelton
König Marke(Bass):Franz-Josef Selig
Isolde(Soprano):Birgitte Christensen
Kurwenal(Baritone):Markus Eiche
Melot(Baritone):Eijiro Kai
Brangäne(Mezzo-soprano):Ruxandra Donose
Ein Hirt(Tenor):Takashi Otsuki
Ein Steuermann(Baritone):Yosuke Takahashi
Stimme eines jungen Seemanns(Tenor):Kyosuke Kanayama
Orchestra:NHK Symphony Orchestra, Tokyo(Guest Concertmaster:Benjamin Bowman)
Chorus:Tokyo Opera Singers
Chorus Master:Eberhard Friedrich, Akihiro Nishiguchi
Musical Preparation:Thomas Lausmann
Program
Wagner:“Tristan und Isolde”
Approx. 5 hours including intermissions.
チラシ(PDF)ダウンロード
FLyer(PDF)Download
チケット情報
Ticket
料金(税込)
S | A | B | C | D | E | U-25 | ネット席 |
---|---|---|---|---|---|---|---|
¥26,500 | ¥22,000 | ¥18,000 | ¥14,500 | ¥11,500 | ¥8,500 | ¥3,000 | ¥1,200 |
Price(tax included)
S | A | B | C | D | E | U-25 | Live Streaming |
---|---|---|---|---|---|---|---|
¥26,500 | ¥22,000 | ¥18,000 | ¥14,500 | ¥11,500 | ¥8,500 | ¥3,000 | ¥1,200 |
来場チケット
●S席~E席
2023年11月11日[土]10:00
●U-25
2024年2月15日[木]12:00
※先行発売はございません。
※トリオ・チケットの取扱いはS~B席のみ。
※U-25スペシャル★は、3月27日[水]公演のみが対象です。
ネット席
- 2024年2月23日[金・祝] 12:00
ライブ配信のみとなります。会場で開催する公演と同時刻に、ご自身のPC・スマホ・タブレット画面にてご鑑賞いただけます。公演終了後のアーカイブ配信はございません。
ネット席の詳細はこちら
Streaming ticket
- February 23 [Fri.], 2024 at 12:00
Only Live-Streaming is available. You can enjoy the concert through your devices (e.g. computer). There is no archive streaming.
details of the LIVE-Streaming ticket
曲目解説
Song Commentary
曲目解説PDFダウンロード《トリスタンとイゾルデ》――3幕のハンドルング
文・北川千香子(慶應義塾大学准教授)
これほどまでに物語が前に進まないという印象を抱かせるオペラ作品は、あまりないだろう。このことは、この楽劇に付けられた「ハンドルング」という珍しいサブタイトルにも関わっているようだ。「ハンドルング」とは「行為」や「筋」を意味するが、この舞台作品の場合は特殊な意味を帯びる。それはむしろ「内面的行為」とも言うべきものなのである。 《トリスタンとイゾルデ》は、語らない、通じない、解決しないといった否定性に徹底して貫かれている。まず、登場人物の具体的な行動による筋展開はほとんどない。また、言葉が意思疎通や意味内容の伝達の手段にも、ドラマを推し進める媒体にもなっていない。登場人物たちはすれ違い、現実世界で彼らの想いを成就させることはない。第1幕ではイゾルデの、第3幕ではトリスタンのモノローグが大半を占め、この作品の中核をなす第2幕の陶酔的な「愛の夜」の場面においてすら、繰り広げられるのは対話のふりをした「二重の独白」である。すなわち、この楽劇では、外的なドラマが静止したところで、人間の内面での出来事が展開するのだ。そしてその内的ドラマは、言葉による対話以上に、音楽によって表象されるのである。
【前奏曲】
前奏曲は「憧憬の動機」とともに始まる。この動機は、チェロが奏でる6度の跳躍とそれに続く半音階の下行音型、そしてそれに重なるように現れる木管楽器の半音階の上行音型からなる。後者は、ショーペンハウアーのいう盲目的な意志の象徴と捉えられる。冒頭の下行音型と上行音型が最初に重なり合うところに生じるのが、かの有名な「トリスタン和音」である。そして冒頭の二つの音型の先にあるのは、一瞬の深い沈黙。沈黙や静寂が決定的な場面に用いられているのは、この作品の重要な特徴である。
すでに前奏曲から半音階が駆使され、機能和声はその限界まで拡張されている。解決に至ることなく推進していく和声的展開は、尽きることのない憧れを象徴するかのようである。その後、「眼差しの動機」「媚薬の動機」「法悦の動機」など、主要な旋律が次々に現れると同時に、音楽は次第に高揚を重ねる。そして、フル・オーケストラによって頂点に至ったところで、階段を転がり落ちるように急降下し、あとは「眼差しの動機」と「憧憬の動機」の断片が弱々しく響くのみである。低弦の暗い音が不穏な雰囲気を漂わせるなか、第1幕が始まる。
【第1幕】
舞台は、コーンウォールを治めるマルケ王のもとへ向かう船の上。船の舵を取るのは、王の忠実な家臣で甥のトリスタンである。彼はアイルランドの王女イゾルデを、いわば戦利品として、マルケ王に嫁がせるため連れ帰っているのである。幕開けとともに、遠いアイルランドの地にいる恋人への想いを歌う若い水夫の声が聞こえてくる。イゾルデはその歌が自分への侮辱だと感じて逆上する。彼女の侍女ブランゲーネは、一睡もすることなく食事もとろうとせずにふさぎ込むイゾルデの身を案じる。イゾルデは侍女に命じてトリスタンを呼びつけるが、彼は舵を離れるわけにはいかないと断る。彼の家臣のクルヴェナールはブランゲーネの言葉にまともに取り合わず、イゾルデを嘲笑うばかり。それを聞いていたイゾルデは屈辱に身を震わせ、自らの怒りと苦悩のいきさつを語り始める。
かつてトリスタンは、イゾルデの婚約者モーロルトを決闘で討ち、残酷にもその首を許嫁のもとへ送りつけた。しかし、闘いの際にトリスタンも深手を負い、医術に長けたイゾルデのもとに、タントリスという偽名を使って現れた。この見知らぬ男の持つ剣の刃の形からその正体を見破った彼女は、モーロルトの仇を取ろうと剣を振り上げるも、その瞬間、トリスタンの眼差しに心を奪われ、剣を取り落としてしまった。こうして命を助けてやったにもかかわらず、トリスタンは恩を忘れて、事もあろうに自分をマルケ王の嫁とするために率先して動いていることに対し、イゾルデは怒りと絶望に苛まれているのである。
マルケ王との結婚が幸せなものになるよう願うブランゲーネは、イゾルデの母の手になる愛の薬を差し出してなだめようとするが、イゾルデが杯に盛るよう命じたのは死の薬。トリスタンに何としてでも罪を償わせようと、うろたえる侍女を再度トリスタンのもとに遣わせる。着船が近いことを告げる水夫たちの呼び声がたびたび挿入され、二人の内面的世界に現実を突きつけると同時に、心理的な切迫を煽る。
やっと現れたトリスタンは、イゾルデの真意を察知しながらも話をはぐらかし、二人の対話にはもどかしさがつきまとう。だが彼は、最後にはイゾルデに言われるままに、死を覚悟して杯をあおる。またも自分を裏切って一人で死ぬつもりなのかと、イゾルデは杯を取り返して残りを飲み干す。ところがその瞬間、張り詰める沈黙を破って二人は堰を切ったように熱烈な抱擁を交わす。あろうことか、ブランゲーネが毒薬を愛の薬にすり替えていたのである。船の到着を告げるトランペットが高々と鳴り響き、男声合唱の歓声が祝祭的な雰囲気を醸し出すなか、恍惚の境地で立ち尽くす二人と、取り乱すブランゲーネの対比が際立つ。
【第2幕】
コーンウォールのマルケ王の城。王は家臣たちと夜の狩りへと出かけたが、城へはまだ、遠くから狩りの角笛の音が聞こえてくる。イゾルデは、木立に囲まれた庭でトリスタンが忍んで来るのを待ちわびている。彼女の胸の高鳴りを描写するように弦楽器がリズムを刻むと、それに続いて「焦燥の動機」「歓喜の動機」「憧憬の動機」が次々に現れる。ブランゲーネは落ち着かない様子で、マルケ王の忠実な家臣の一人であるメロートに警戒するよう、イゾルデに忠告する。王が狩りに出かけたのは、かつては友人であったものの、今は嫉妬に駆られたメロートがトリスタンを陥れるために仕込んだ罠に違いないというのである。しかし、イゾルデはそれを信じようとせず、密会の合図である松明を消すようブランゲーネに命じる。
トリスタンがやってくると、二人は無我夢中で互いの名を呼びつつ、激しく抱擁し合う。ここから長大な愛の二重唱となる。もはや出口のない状況のなか、二人を隔てていた「昼の世界」を呪い、二度と再び目覚めることのない、永遠の夜をあこがれ求めつつ、「夜の世界」を讃える(「帳を下ろせ、愛の夜よ」)。深い愛に浸る二人に、もうすぐ夜が明けるとブランゲーネが二度にわたって警告する。しかし二人は聞く耳を持たず、愛の二重唱は昂揚し続け、この音響的エロスの渦が最高潮に達しようとしたその時、ブランゲーネの悲鳴によって音楽が断ち切られる。メロートに導かれて、マルケ王が密会の場に駆けつけたのだ。マルケ王は、誰よりも信頼していたトリスタンに裏切られたことへの嘆きと怒りを切々と歌う(「マルケ王の嘆き」)。不義の理由を問うても、「それを言うことはできない」とトリスタンは返答を拒み、その代わりに、自分がこれから向かう「暗い夜の国」に一緒に来てくれるかとイゾルデに尋ねる。イゾルデがうなずくと、メロートは激昂して剣を抜き、トリスタンは一騎打ちに応じると見せかけて立ち向かっていく。ところが、ト リスタンはわざと剣を手放して、自らメロートの剣に倒れる。
【第3幕】
第2幕の冒頭の管弦楽がイゾルデの心象風景を表していたとすれば、第3幕のそれはトリスタンの内面を描き出す。「憧憬の動機」が短調の全音階となって低音域の弦楽器によって演奏され、重苦しさが醸し出される。その後の独奏チェロによる、物哀しい「トリスタンの嘆きの動機」が切なく響く。 舞台はカレオールにあるトリスタンの城。背景では、羊飼いのシャルマイの「嘆きの調べ」が哀しげに響く。致命的な傷を負ったトリスタンを、家臣クルヴェナールがそばで見守っている。イゾルデの船が見えたら「喜びの調べ」を奏でるよう羊飼いに命じるが、なかなかその時は来ない。シャルマイの調べに、ようやくトリスタンは目を覚まし、昔聞いたその旋律を懐かしむ。クルヴェナールは、イゾルデを呼び寄せるために港へ迎えの使者を送ったと告げて、瀕死のトリスタンを励ます。生と死の境をさまよいながら、朦朧としたトリスタンの眼前に浮かぶのはイゾルデの幻影。時に熱烈に、時に息も絶え絶えの様子で、彼女への狂おしいまでの渇望と死への憧れを歌う。 ついにイゾルデを乗せた船の到来の知らせがあり、狂喜のあまり錯乱したトリスタンは、最後の力を振り絞って、傷を覆う包帯をむしり取る。しかしイゾルデが現れたその瞬間に、彼女の腕のなかで息絶える。続いて、ブランゲーネ、マルケ王やメロートを乗せた船がやってくる。ブランゲーネからすべては媚薬のせいだったと聞いたマルケ王は、トリスタンと和解して愛する二人を結ばせるため駆けつけたのだった。そうとは知らないクルヴェナールは、メロートに打ちかかり、自身もマルケ王の家臣の剣に倒れる。一言も発することなく佇むイゾルデを前に、マルケ王はすべてが死んでしまったと嘆く。イゾルデはトリスタンの亡骸に身を埋め、恍惚とした様子で至上の愛(「愛の死」)を歌いながら、愛する人の後を追うのであった。
主催:東京・春・音楽祭実行委員会
共催:NHK交響楽団
後援:ドイツ連邦共和国大使館、日本ワーグナー協会
Organizer:Spring Festival in Tokyo Executive Committee
Co-presenter:NHK Symphony Orchestra, Tokyo
Support:Embassy of the Federal Republic of Germany in Japan, Richard-Wagner-Gesellschaft Japan
●記載の曲目は、当日の演奏順と異なる可能性がございます。
●未就学児のご入場はご遠慮いただいております。
● ご来場の際、車椅子をご利用のお客様は東京・春・音楽祭実行委員会(03-5205-6443)までお問合せください。
● 急遽、公演内容や実施方法を変更、または公演を中止する可能性がございます。
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