スペイン北部の山地にある「モンサルヴァート」というお城の王で、聖なる杯（さかずき）と聖なる槍（やり）を守っていたアムフォルタスは、魔法つかいのクリングゾルに槍を奪われたうえに、重い傷を負わされてしまいます。そこに「愚かだが、純粋な若者」パルジファルが現れ、槍を取り返し、王の傷を癒やして、聖金曜日（キリスト教の祭日で、復活祭前の金曜日）にアムフォルタスの後継者として王に選ばれます。

アムフォルタス：聖なる杯を守るモンサルヴァート城の王。傷を負って苦しんでいる。
ティトゥレル：アムフォルタスの父。先代の王。
グルネマンツ：モンサルヴァート城の老騎士。
パルジファル：愚かだが、純粋な若者。アムフォルタスの傷を癒やし、新しい王となる。
クリングゾル：魔法つかい。聖なる杯を守る騎士団に入団できなかった過去をもつ。
クンドリ：モンサルヴァート城の女使者。クリングゾルの手先となってしまう。
クリングゾルの魔法の乙女たち：クリングゾルに仕える花の乙女たち。

　リヒャルト・ワーグナーは1813年にドイツで生まれた作曲家です。かつてオペラといえば、イタリア語で歌うものがほとんどでしたが、ワーグナーはドイツ語でも歌えることを示して、オペラの歴史を変えました。また、当時、オペラは娯楽と思われていましたが、ワーグナーはオペラを芸術にまで高めようとしました。
　ワーグナーは、警察につかまりそうになったり、ひとから借りたお金を返さなかったり、たくさんの女性と恋をしたり、いろいろ問題も起こしましたが、ものすごく長いオペラの音楽と物語をすべて自分で書くなど、天才的な才能を持ったひとでした。
　ドイツでは、1876年にワーグナーがはじめたバイロイト音楽祭という音楽のお祭がいまでも続いていて、世界中からワーグナーのファンがたくさん集まります。今回の作品も、バイロイト音楽祭で子どものために上演されたものです。