JOURNAL
ハルサイジャーナル
《アイーダ》あらすじ
1908年公演時のポスター
第1幕
第1場 古代エジプトの都市メンフィスにある宮殿、その広間
祭司長ランフィスが、女神からエジプト軍の将を指名する神託を授かったとラダメスに告げる。自分こそはと期待に胸をふくらます一方、今は奴隷として囚われている敵軍の王女アイーダへの愛を吐露するラダメス。そこへ王女アムネリスが登場。愛するラダメスの気を惹こうとするが、アイーダの姿に動揺するラダメスを見て、二人の秘めた思いに気づき、嫉妬の炎を燃やす。王が家臣を従えて現れ、エチオピア軍のテーベ侵略を報せる。敵軍の将はアイーダの父アモナズロ。エジプト王がラダメスを軍の将に任命すると、一同は「勝って帰れ!」と士気を上げる。みなが去り、ひとり残されたアイーダは、愛するラダメスか、祖国の父か、選べぬ気持ちに思い悩む。
第2場 神殿の内部
巫女とランフィスをはじめとする神官たちが、創造神プタハ(フター)に祈りを捧げる。巫女たちの神秘的な踊り。ランフィスはラダメスに聖なる剣を授け、神聖な武具を身に着けさせる。ラダメスの武運を願って、一同の祈りの合唱が重なる。
第2幕
第1場 アムネリスの館、その広間
女奴隷たちに囲まれているアムネリス。若いムーアの奴隷たちの踊り。そこへアイーダが登場。アムネリスは同情すると見せかけて、アイーダの本意を探る。「ラダメスが戦いで死んだ」と嘘を告げると、アイーダはいたたまれなくなり、ラダメスへの愛を自白する。奴隷のくせに! と激昂するアムネリス。怒りを鎮めるよう、アイーダは必死に懇願する。
第2場 テーベの城門前
エジプト王臨席のもと、勝利の大合唱。華麗なファンファーレとともにエジプト軍が凱旋する。戦利品を携えた一隊の踊り。ラダメスが現れ、捕虜たちが御前に引き出される。そこにアモナズロを見つけて息をのむアイーダ。しかしアモナズロは、自分が王であることを漏らさぬようアイーダにこっそり命ずる。アモナズロと捕虜たちはエジプト王に助命を嘆願するが、ランフィスら神官は死罪を強く主張する。ラダメスの願いにより、捕虜たちには恩赦が与えられる。さらにエジプト王は、ラダメスに褒美として王女アムネリスと、いずれ王位を譲ると宣言する。歓喜に包まれる民衆や捕虜たち。そのなかで勝ち誇るアムネリス、絶望するラダメスとアイーダ、復讐を誓うアモナズロ、様々な思いが交錯して壮大なアンサンブルとなる。
第3幕
ナイル河の岸辺
遠くイシスの神殿から人々の合唱。ランフィスとアムネリスが、婚前の祈りを捧げに神殿へ向かう。アイーダ登場。愛を失った今、二度と祖国を見ることはないと歌う。そこにアモナズロが現われ、今こそ復讐をはたすとき、ラダメスからエジプト軍の機密を聞き出せ、さもなくばもはや娘ではない! とアイーダを脅す。祖国と愛との間で引き裂かれ、苦悶するアイーダだが、最後は了承してしまう。アモナズロが隠れると、ラダメスが姿を見せる。進退きわまったアイーダは、ともに逃げようと促すが、ラダメスはさすがに躊躇する。ならばアムネリスのもとへ行きなさいと言われ、ラダメスは逃げる決心をする。そしてエジプト軍が向かう行路を聞かれ、うっかり口を滑らせてしまう。それを聞いたアモナズロが突然、姿を現わし、自分こそエチオピア王と名乗りをあげる。愕然とするラダメス。ランフィスとアムネリスも神殿から出てきて、裏切り者! とラダメスをなじる。アムネリスに襲いかかるアモナズロを制してラダメスは捕縛されるが、その隙にアモナズロとアイーダを逃がす。
第4幕
第1場 メンフィスの宮殿、その広間
愛するラダメスを死罪にすべきか救うべきか、懊悩するアムネリスだが、思いを断ち切れず、ラダメスを連れてこさせる。アムネリスは、アイーダを忘れて自分を選ぶよう説得をこころみるが、ラダメスはアイーダのために死ねるなら本望と、聞く耳を持たない。ランフィスら神官たちによる審問が始まるが、ラダメスはいっさい弁明しようとしなかったため、生きながら墓に入れられるという残酷な刑が宣告される。絶望したアムネリスは神官たちを激しく呪う。
第2場 神殿の内部と、その下にある墓
岩戸が閉められ、墓のなかにひとり閉じ込められるラダメス。アイーダを思い返していると、何と暗闇のなかにアイーダその人が! ラダメスとともに死のうと、予め墓に忍び込んでいたのだ。ようやく愛が成就し、恍惚とするなか今生に別れを告げる二人。そこへ喪服姿のアムネリスが神殿に現われ、墓の上で愛する者へ鎮魂の祈りを捧げる。巫女や神官たちの祈祷が重なりつつ、やがてアイーダとラダメスの声も途切れていき、ひっそりと消え入るように幕が下りる。
関連公演
《アイーダ》(演奏会形式/字幕付)
日時・会場
2024年4月17日 [水] 14:00開演(13:00開場)
2024年4月20日 [土] 14:00開演(13:00開場)
東京文化会館 大ホール
出演
指揮:リッカルド・ムーティ
アイーダ(ソプラノ):マリア・ホセ・シーリ
ラダメス(テノール):クロディアン・カチャーニ
アモナズロ(バリトン):セルバン・ヴァシレ
アムネリス(メゾ・ソプラノ):ユリア・マトーチュキナ
ランフィス(バス):ヴィットリオ・デ・カンポ
伝令(テノール):石井基幾
巫女(ソプラノ):中畑有美子
管弦楽:東京春祭オーケストラ
合唱:東京オペラシンガーズ
/他