イタリアのギター奏者マウロ・ジュリアーニは、スペインのソルと並ぶクラシック・ギターの巨頭。19世紀初頭のウィーンで活躍し、ベートーヴェンやフンメルとも交流があり、150曲以上にも及ぶギター曲を残した。《協奏大二重奏曲》作品52は、フルート（またはヴァイオリン）とギターのための作品で、1812年頃に書かれた。全3楽章からなり、第1楽章は短い三部形式、第2楽章トリオ付きのメヌエットを経て、第3楽章は軍楽調のスフォルツァンドが勇ましいロンド・ソナタで締めくくる。

　ウィーンの楽器製作者シュタウファーが1823年に発案した「アルペジオーネ」というフレット付きの弦楽器は、いわばチェロのように弾くギターだったが、普及には至らなかった。本曲は、アルペジオーネのために書かれた現存する唯一の楽曲で、1824年に作曲された。全3楽章からなり、第1楽章冒頭からシューベルトならではの哀愁に満ちた旋律がほとばしる。第2楽章は、きわめて自由な和声感に富んだアダージョで、切れ目なく終楽章へと続き、ロンド形式によるフィナーレで幕を閉じる。

　ジュリアーニの代表作とも言える名品で、高度な技巧を遺憾なく発揮できるため、ギタリスト必須のレパートリーとなっている。初版は1814年。アンダンテ・ソステヌートの荘重な序奏に続いて、主部はソナタ形式となり、アレグロ・マエストーソの華麗な主題が奏される。時に現れる急速な3連符のアルペジオが聴かせどころで、思わず引き込まれるような疾走感に満ち、最後は華やかに曲を閉じる。

　《冬の旅》は1827年、シューベルトの死の前年に作曲された歌曲集で、言うまでもなくドイツ・リートにおける金字塔である。「春の夢」は、その第11曲。軽快な前奏に続いて明るく始まるが、主人公の気性を反映して、すぐに暗い気分へと転じる。
　シューベルトの晩年に書かれた計14の歌曲は、死後まとめられ、1829年に出版された。歌曲集に付けられた《白鳥の歌》という表題は、死の直前にひと鳴きする白鳥になぞらえている。「漁師の娘」は、その第10曲で1828年の作。三部形式の明るい歌。「セレナーデ」は、その第4曲で、同じく1928年の作曲。おそらくシューベルトの歌曲のなかでも最も知られたメロディのひとつであろう。

　本曲は1817年頃の作曲。作品52と同じく、フルート（あるいはヴァイオリン）とギターのための作品で、全4楽章からなり、古典派の明朗な響きを感じさせる第1楽章、ギターの前奏に続いてフルートが朗々と歌う二部形式の第2楽章アンダンテ、トリオの付いた躍動感のある第3楽章のスケルツォを経て、第4楽章のロンド・ソナタは洗練された落ち着きを醸し出す。