「ソナチネ・アルバム（Sonatinen-Album）」は、おもに古典派の作曲家が作曲したソナチネやピアノ・ソナタのなかから難度の高くない作品をピアノ演奏用の教材として集めた曲集。特にケーラーとルートハルトが編集し、独ペータース社から出版されたものが有名。

　フリードリヒ・クーラウはドイツの作曲家。20代でデンマークのコペンハーゲンに移住し、ピアニストとしても活動した。デンマーク時代に作曲された「ピアノのためのソナチネ」は、ピアノ学習者にはお馴染みだろう。3楽章からなる本曲は「ソナチネ・アルバム」第1巻冒頭の曲。

　ピアノ初学者にとって非常にポピュラーな曲で、ベートーヴェン作として伝えられる「2つのソナチネ」の第1番。資料がなく、真作か否か疑義があるため、「Anh（補遺）」の番号が与えられている。2楽章からなる。

　2楽章からなる「ソナチネ ハ長調」は、先述の「ソナチネ・アルバム」第１巻に収められているが、難度は少し高い。

　イタリア古典期のムツィオ・クレメンティはピアノ・ソナタを100曲近く残したが、今日おもに知られているのは、ピアノ初学者用の「ソナチネ」作品36（全6曲）である。本曲はその第1番で、3楽章からなる。

　K.545（ピアノ・ソナタ第15番〈第16番〉）は、「初心者のための小さなソナタ」と記されている。3楽章からなり、ピアノ学習用の曲としても愛奏されている。

　オーストリアのヨハン・ネポムク・フンメル作曲の「とても易しい6つの小品」の最後を飾る曲。フンメルは生前、作曲家・ピアニストとしてベートーヴェンと並び称される名声を得ていた。

　この愛らしいロンドは、軽やかに弾むリズムが特徴的。主題が主調以外でも提示されるところは、通常のロンド形式と少し異なる。

　ピアノ学習用としてポピュラーな「2つのロンド」の第1番。“ピアニスト”ベートーヴェンのテクニックや作曲技法が詰め込まれている。

　19世紀ドイツの作曲家・ピアニストのヨハン・ブルクミュラーは、ピアノ初学者のための練習曲で親しまれてきた。《25のやさしい練習曲》は、1851年にパリで出版。本日はその中から12曲をお届けする。

　ドイツの作曲家アルベルト・エルメンライヒについては詳細が伝わっておらず、おもにこの「紡ぎ歌」で知られている。ピアノ曲集《音楽の風俗画》所収。

　シューマンが残した一連の子ども用ピアノ小品集の劈頭を飾るのが、《子どものためのアルバム》。作曲のキッカケは長女マリーの7歳の誕生日だった。その第10曲「楽しき農夫」は、全曲中もっとも親しまれている。加えて、《アルバムの綴り》から「子守歌」を取り上げる。

　《18のジャンルの練習曲》は、レベル的に《25のやさしい練習曲》の次に取り組むべき曲集。友人でもあったハンガリーのピアニスト・作曲家ステファン・ヘラーに捧げられている。ここではその中から3曲をお届けする。

　19世紀ドイツの作曲家グスタフ・ランゲが書いたロマンティックなピアノ曲は当時、大いに流行した。本曲はその隆盛を彷彿とさせてくれる。

　「無言歌」とは、「言葉のない歌」の意。メンデルスゾーンの姉ファニーが考案したとされる。「無言歌集」は、全8巻（各6曲）からなり、ピアノの性格小品集の傑作に数えられている。その中から、第2巻所収「ヴェネツィアの舟歌」と、第1巻所収「信頼」「狩の歌」をお届けする。