1920年、音楽誌「ルヴュー・ミュジカル」がドビュッシー追悼号を出した際、ラヴェル、ストラヴィンスキー、バルトーク、ファリャほかの作曲家が小品を寄せた。その時にラヴェルが書いた「ドビュッシーへのトンボー（墓碑）」を第1楽章とし、残り3つの楽章を加筆して22年に完成したのが、この「ヴァイオリンとチェロのためのソナタ」。粗削りな魅力あふれる旋律線、強いコントラスト、ぶつかり合うリズムのエネルギー、無調や多調さえ感じさせる響きなど、のちにラヴェル自身がひとつの転換点だったと述懐しているように、新しく生み出された音楽の感覚が凝縮されている。4楽章構成で、第1楽章冒頭に奏される7音からなる主題が、全楽章のモチーフとして用いられている。ピチカートがリズミックな音楽を形成する第2楽章、厳かな表情のなかにも微細な感情の起伏がみられる第3楽章、そして終楽章の民俗舞曲調の旋律は、バルトークなどの影響も感じさせる。

　「フランス6人組」の一人、ダリウス・ミヨーは、2つの世紀、2つの世界大戦をまたいで活動した作曲家で、80歳を超えても旺盛な創作欲を失うことなく、膨大な作品を残した。1953年、61歳の時に書かれた本作は、3つの短い楽章からなるが、その楽想の瑞々しさに驚かされる。

　1931年に作曲された作品で、同作曲家のピアノ曲集《ミクロコスモス》のヴァイオリン版といった内容。ドイツの教育者ドーフラインの依頼により、教育的意義を念頭に書かれている。各曲に表題が付いており、その多くが東欧諸国で採取された民謡をもとにしている。曲順に従って難度も高くなっていくが、演奏会で弾く場合、曲順にはこだわらないとの作曲家の注意書きがある。本日はその中から14曲を抜粋してお届けする。

　ゾルタン・コダーイは、盟友バルトークとともにハンガリーの民謡の収集・研究を熱心に行なったことや、「コダーイ・メソッド」を確立した教育者として知られる。音楽的には、バルトークのように先鋭的な地平を開拓したわけではなかったが、今日でも取り上げられる重要な作品も残した。その一つが、1918年に初演された「ヴァイオリンとチェロのための二重奏曲」。同時期のコダーイの室内楽曲は、ハンガリーの民族的要素と西洋的なスタイルを融合した作風が確立され、新鮮な息吹に満ちている。3楽章構成で、2つの楽器によるシャープかつワイルドなやり取りのなかに濃厚な民族性が漂っている。