18世紀イギリスの劇作家トバイアス・スモレットの劇のための付随音楽で、ロンドンのコヴェント・ガーデン劇場での上演に際して1749～50年に書かれたが、結局、上演されなかった。戯曲の導入としての音楽で、ゆったりとした華やかなフランス風の序曲である。

　テレマンは、ヘンデルの生地ハレからほど遠くない都市マクデブルクで生まれ、世代もほぼ同じ。本曲は急／緩／急の3楽章からなり、快活なヴィヴァーチェに始まり、フランス由来の舞曲ルールを経て、華やかな舞踏を感じさせるメヌエットで幕を閉じる。全曲を通して単なる技巧の見せ合いでなく、テレマンの音楽の真髄である「ともに奏する喜び」に満ちている。

　名フルート奏者であり、音楽の庇護者でもあったプロイセンのフリードリヒ2世が即位したのが1740年。カール・ハインリヒ・グラウンはその宮廷楽長として、また作曲の教師として、兄ヨハン・ゴットリープとともに活躍した。本曲は急／緩／急の3楽章からなる室内ソナタ形式で、ホルンとヴァイオリンの明るい掛け合いが楽しい。

　ラモーと並びフランスのバロック音楽を代表するジョゼフ・ボダン・ド・ボワモルティエは、宮廷や貴族に依存しないフリーランス作曲家の先駆けであった。彼はフランスで初めてコンチェルト（協奏曲）という名称を用いたとされ、1732年にパリで出版された作品37には、5つのトリオ・ソナタと1つの協奏曲が含まれる。本曲はその最後に付けられた協奏曲で、急／緩／急の3楽章からなり、洗練されたロココの様式美が堪能できる。

　ヨハン・ヨアヒム・クヴァンツは、前出のグラウンとともにフリードリヒ2世の宮廷ではフルート教師として知られている。作曲家としては膨大な協奏曲および室内楽曲を残したが、ホルン協奏曲では本曲が唯一真作とされる。急／緩／急の3楽章からなり、両端楽章はリトルネッロ形式で、中間楽章にはシチリアーノという舞曲が置かれている。

　ヨハン・フリードリヒ・ファッシュは、J.S.バッハと同時代の18世紀ドイツ、後期バロックの作曲家。ライプツィヒのトマス・カントルの後任候補にバッハとともに名を連ねたこともある（最終的にバッハが就任）。後半生はツェルプストの宮廷楽長として同地で没した。本曲は4楽章からなる、緩／急／緩／急の教会ソナタ形式で、ヴァイオリン、オーボエ、ホルンと通奏低音のために書かれた。

　ヴィヴァルディは1703～40年の長きにわたり、孤児院の作曲家兼ヴァイオリン教師を務め、女生徒のために様々な楽器を用いた協奏曲を作曲した。本曲は、室内協奏曲に分類される音楽で、4つの独奏楽器と通奏低音のために書かれ、急／緩／急の3楽章からなる。明るい管楽器の響きに華麗なヴァイオリンの技巧が絡む。

　6つの独立した協奏曲からなる《ブランデンブルク協奏曲》は、第1番を除いて、すべて3楽章構成となっている。曲名の由来は、1721年にブランデンブルク辺境伯に献呈されたことによる。当時、バッハはケーテンの宮廷楽長（1717～23）を務めていた。第2番は急／緩／急の3楽章からなり、両端楽章でトランペットが輝かしい高音を響かせる。