PROGRAM
プログラム
東京・春・音楽祭
Spring Festival in Tokyo
東京春祭マラソン・コンサート vol.11
Tokyo-HARUSAI Marathon Concert vol.11
Tokyo-HARUSAI Marathon Concert vol.11
メルヒェンの時代へ…
To the Epoc of "Märchen"
To the Epoc of "Märchen"
フンパーディンク没後100年に寄せて
Making the Centennial of Humperdinck's Death
Making the Centennial of Humperdinck's Death
プログラム詳細
Detail
※この公演は終了しました。
日時・会場
2021/4/10 [土]
第I部 13:00
第II部 16:00
第III部 19:00
[各回約90分]
企画構成/お話:小宮正安(ヨーロッパ文化史研究家/横浜国立大学大学院都市イノベーション研究院教授)
【第Ⅰ部】13:00開演(12:30開場)
「郷/民」踊ろう!踊ろう! 楽しいよ! そして歌おう 心から
出演
ソプラノ:小林沙羅
メゾ・ソプラノ:磯地美樹、小泉詠子
ヴァイオリン:岸本萌乃加、武田桃子
ヴィオラ:正田響子
チェロ:富岡廉太郎
ピアノ:岡田 将、河野紘子、長尾洋史
曲目
フンパーディンク(フンパーディンク編):歌劇《ヘンゼルとグレーテル》第1幕(冒頭)より「ヘンゼルとグレーテルの二重唱」
ウェーバー(編曲者不詳):歌劇《魔弾の射手》より「勝利だ!」「行進曲」「ワルツ」「あなたに編むの、おとめの冠」「狩人の合唱」
F.ベンデル:《6つのドイツのおとぎの絵本》より「ブレーメンの音楽隊」
G.ランゲ:愛する人の窓辺で
ワーグナー(A.リッター編):楽劇《ニュルンベルクのマイスタージンガー》前奏曲
J.ラインベルガー:ドイツ讃歌
F.ラハナー:《森の響き》より「森の小鳥」
フンパーディンク:七匹の子ヤギ
【第Ⅱ部】16:00開演(15:30開場)
「魔/異」そらホップホップホップ ギャロップロップロップ/箒の馬よ こら怠けるな!
出演
ソプラノ:小林沙羅
メゾ・ソプラノ:磯地美樹
フルート:フリスト・ドブリノヴ
クラリネット:藤井洋子、鎌田浩志
ファゴット:吉田 将、岩佐雅美
ホルン:松坂 隼、伴野涼介
ピアノ:岡田 将、河野紘子、長尾洋史
曲目
フンパーディンク(クラインミヒェル編):歌劇《ヘンゼルとグレーテル》より 「魔女の騎行」〜「魔女のアリア」
ミュラー(ザルトリウス編):歌芝居《ファゴット吹きのカスパール(あるいは魔法のツィター)》序曲
モーツァルト(G.K.ザルトリウス編):歌芝居《魔笛》より「なんと強い魔法の音」「なんて素敵な響き」「鳴るんだ、鈴よ」
メンデルスゾーン(W.シュパイデル編):劇付随音楽《真夏の夜の夢》より「スケルツォ」
オッフェンバック(ギヨー補筆・バジール編):歌劇《ホフマン物語》より 「舟歌」
ライネッケ:くるみ割り人形とねずみの王様
【第Ⅲ部】19:00開演(18:30開場)
「憧/夢」ふたりは私を連れてゆく あの天国の楽園へ!
出演
ソプラノ:小林沙羅
メゾ・ソプラノ:小泉詠子
ヴァイオリン:岸本萌乃加、武田桃子
ヴィオラ:正田響子
チェロ:富岡廉太郎
フルート:フリスト・ドブリノヴ
クラリネット:藤井洋子
ピアノ:岡田 将、長尾洋史
曲目
シューベルト(J.v.ブルーメンタール編):《ロザムンデ/魔法の竪琴》序曲
J.シュトラウス2世(J.ルンメル編):ワルツ《千夜一夜》
シューマン:《メルヒェンの情景》より 第3曲、第4曲
ブゾーニ:メルヒェン
S.ワーグナー(編曲者不詳):フルートと小管弦楽のための協奏曲
ヒラー:小姓と王女のバラード
フンパーディンク(R.クラインミヒェル編):歌劇《ヘンゼルとグレーテル》より 「夕べの祈り」~「夢のパントマイム」
Date/Place
2021/4/10 [Sat.]
Part I at 13:00
Part II at 16:00
Part III at 19:00
[about 90 min.]
Tokyo Bunka Kaikan Recital Hall
Program Planner/Navigator:Masayasu Komiya(Cultural historian of Europe / Professor at Institute of Urban Innovation, Yokohama)
【Part I】at 13:00
Home / Folk Dance ! Dance ! That would be my pleasure ! And sing from full breast !
Cast
Soprano:Sara Kobayashi
Mezzo Soprano:Miki Isochi、Eiko Koizumi
Violin:Honoka Kishimoto, Momoko Takeda
Viola:Kyoko Shoda
Cello:Rentaro Tomioka
Piano:Masaru Okada, Hiroko Kohno, Hiroshi Nagao
Program
Humperdinck(1854-1921)(arr. by Humperdinck):”Hänsel und Gretel” Act 1 – Duett of Hänsel and Gretel
Weber(1786-1826)(arr. by Anon.):”Der Freischütz” – Viktoria!, Marsch, Walzer, Wir winden dir den Jungfemkranz, Jägerchor
Franz Bendel(1833−74):”6 Deutsche Märchenbilder”- Die Bremer Stadtmusikanten
Gustav Lange(1830−89):Unter Liebchens Fenster
Wagner(1813−83)(arr. by August Gottfried Ritter):”Die Meistersinger von Nürnberg” Prelude
Josefr Rheinberger(1839−1901):Deutsche Hymne
Franz Lachner(1803−90):”Waldvöglein”
Humperdinck:Die sieben Geislein
【Part Ⅱ】at 16:00
Magic / Strangeness Hurr hopp hopp hopp, gallop lopp lopp my broomhorse, hurr hopp not lazy!
Cast
Soprano:Sara Kobayashi
Mezzo Soprano:Miki Isochi
Flute:Hristo Dobrinov
Clarinet:Yoko Fujii, Hiroshi Kamata
Bassoon:Masaru Yoshida, Masami Iwasa
Horn:Shun Matsuzaka, Ryosuke Tomono
Piano:Masaru Okada, Hiroko Kohno, Hiroshi Nagao
Program
Humperdinck(arr. by Richard Kleinmichel):”Hänsel und Gretel” – Ride of witch’ ~ ’Aria of witch
Wenzel Müller(1767-1835)(arr. by Georg Kaspar Sartorius):”Kaspar, der Fagottist (oder Die Zauberzither)” Overture
Mozart(1756−91)(arr. by Georg Kaspar Sartorius):”Die Zauberflöte” – Wie stark ist nicht dein Zauberton, Das Klinget so herlich. Klinget, Glöckchen, klinget !
Mendelssohn(1809-47)(arr. by Wilhelm Speidel ):”Ein Sommernachtstraum” – Scherzo
Offenbach (1819-80)(completion by Ernest Guiraud / arr. by Auguste Bazille ):”Les contes d’Hoffmann” – Barcarolle
Carl Reinecke(1824-1910):Nussknacker und Mausekönig
【Part Ⅲ】at 19:00
Desire / Dream Two, who guide me to heaven’s paradise
Cast
Soprano:Sara Kobayashi
Mezzo Soprano:Eiko Koizumi
Violin:Honoka Kishimoto, Momoko Takeda
Viola:Kyoko Shoda
Cello:Rentaro Tomioka
Flute:Hristo Dobrinov
Clarinet:Yoko Fujii
Piano:Masaru Okada, Hiroshi Nagao
Program
Schubert(1797-1828)(arr. by Joseph von Blumenthal):”Rosamunde / Die Zauberharfe” Overture
Johann Strauss II(1825-99)(arr. by Rummel):Waltz “Tausend und eine Nacht”
Schumann(1810-56):”Märchenbilder” – No.3, No.4
Busoni(1866−1924):Märchen
Siegfried Wagner(1869−1930):Konzertstück für Flöte und Kleines Orchester
Ferdinand Hiller(1811−85):Balladen vom Pagen und der Königstochter
Humperdinck(arr. by Richard Kleinmichel):”Hänsel und Gretel” – Evening Prayer ~ Dream Pantomime
チケット情報
Ticket
3月9日 チケット発売開始のお知らせ
2/10 Notice of ticket sales from 14 February 2021
1/7 [Important notice] Postponement of ticket sales for “Spring Festival in Tokyo 2021”
料金(税込)
3公演通し券 | 各回券 | U-25 | ライブ・ストリーミング配信(各回) |
---|---|---|---|
¥8,500 | ¥4,000 | ¥1,500 | ¥1,500 |
※来場チケットは全席指定
Price
3 Concerts | 1 Concert | U-25 | Live streaming(1 Concert) |
---|---|---|---|
¥8,500 | ¥4,000 | ¥1,500 | ¥1,500 |
※All admission tickets are reserved seat.
来場チケット
発売スケジュール
※先行発売はございません。
※座席は定員の50%以下で販売をいたします。今後の状況により、追加でチケットを販売する可能性がございます。
- 全席指定(3公演通し券・各回券)
- 2021年3月25日(木)10:00
- U-25
- 2021年3月25日(木)10:00
ご購入にあたって
必ず、「新型コロナウイルス感染拡大予防への取組みとお客様へのお願い」をお読みいただき、内容をご確認・ご同意いただいた上でチケットをお申込みください。
基礎疾患(糖尿病・心不全・呼吸器疾患等)をお持ちの方や妊娠中の方、その他体調に不安のある方は、医師の判断や関係機関の情報をご確認の上、慎重なご判断をお願いいたします。
ネット席
発売スケジュール
- 2021年3月25日(木)12:00
ご購入にあたって
ライブ配信のみとなります。会場で開催する公演と同時刻に、ご自身のPC・スマホ・タブレット画面にてご鑑賞いただけます。公演終了後のアーカイブ配信はございません。
Admission ticket
Release Schedule
- All reserved-seat(3 Concerts・1 Concert)
- March 25,2021 at 10:00
- U-25
- March 25,2021 at 10:00
Before buying ticket
Before you reserve your ticket of Spring Festival in Tokyo 2021, please make sure to read through and understand the “Coronavirus Prevention Measures and Visitor Rules”.
If you have an underlying condition or are pregnant, be extra cautious about your decision to come, taking into consideration the advice of your doctor and information from relevant institutions.
Please check the latest information on our official website and SNS before coming to the concert.
Streaming ticket
Release Schedule
- March 25,2021 at 12:00
Before buying ticket
Only Live-Streaming is available. You can enjoy the concert through your devices (e.g. computer). There is no archive streaming.
曲目解説
Song Commentary
曲目解説PDFダウンロード今年没後100年目を迎えるドイツの作曲家フンパーディンク(1854-1921)。ドイツ由来の民間伝承(メルヒェン)を基にした数々の「メルヒェン・オペラ」で一世を風靡した彼を記念し、今回は「メルヒェンの時代へ…」という総合タイトルでお送りする。
第1部「郷/民」
踊ろう! 踊ろう! 楽しいよ! そして歌おう 心から
第1部は、メルヒェンには欠かせないドイツ各地の習俗や人々がテーマになっている。
幕開けは、1893年に初演されたフンパーディンク作の歌劇《ヘンゼルとグレーテル》。「メルヒェン・オペラ」の代名詞ともいえる作品から、貧しい生活の中で空腹をかかえたヘンゼルとグレーテルがダンスで気を紛らわせる第1幕冒頭の二重唱をお聞きいただく。日本でもお馴染みの、ドイツ縁の民謡が用いられているのが聴きどころ。
《ヘンゼルとグレーテル》をはじめ、ドイツのメルヒェンといえば「森」が欠かせない。しかも「ドイツ=森の国」というイメージは、19世紀になると急速に確立されてゆく。その流れに棹さしたのが、1821年に初演されたウェーバー(1786-1826)作曲の歌劇《魔弾の射手》。今回はいかにも「ドイツらしい」メロディやリズムのナンバーを並べてみた。
ベンデル(1833-74)は、いわゆる「ドイツ語圏」で活躍したピアニスト。作曲活動もおこなったが、その1つこそ、幾つかの有名なメルヒェンを音詩風に描き、1871年に出版された《6つのドイツのメルヒェンの情景》だ。本日はその中から、特に聴いて愉しい「ブレーメンの音楽隊」を取り上げる。ベンデルと同時代のランゲ(1830-89)も、サロン風のピアノ曲を夥しく残したドイツのピアニストである。後期の作品に属する《愛する人の窓辺で》では、ドイツでもお馴染みの旧き佳き男女の相聞の情景が描かれている。
メルヒェンは、中世ドイツで育まれたものも少なくない。しかも上記の音楽家たちが活躍した19世紀は、それまで分裂状態にあったドイツを統一しよう! という機運が盛り上がり、その中で中世の世界やメルヒェンがドイツ人の精神の源としてクローズアップされた。フンパーディンクも私淑したワーグナー(1813-83)が1868年に初演した楽劇《ニュルンベルクのマイスタージンガー》は、その典型(本日演奏される「前奏曲」は、劇中のハイライトとなる音楽を集めている)。ワーグナーに入れあげたバイエルン国王ルートヴィヒ2世(1845-86)の宮廷で楽長を務めたラインベルガー(1839-1901)が、1895年に作った《ドイツ讃歌》とともにお聞きいただく。 ワーグナーとは、様式的にも立場的にもライヴァル関係にあったラハナー(1803-90)。彼もまた、森をテーマにメルヒェン色に溢れた歌曲集《森の響き》を1834年に出版する。本日演奏される「森の小鳥」は、その第1曲にあたる。
《ヘンゼルとグレーテル》が大当たりした後の1895年、フンパーディンクは家庭での上演を念頭に置いた劇音楽《七匹の子ヤギ》を作る。台本は彼の妹で、《ヘンゼルとグレーテル》のそれも担当したヴェッテ(1858-1916)。民族や故郷の礎と見なされるようになった家庭を舞台に、音楽を通じたメルヒェンの継承がおこなわれていった。
第2部「魔/異」
そらホップホップホップ ギャロップロップロップ 箒の馬よ こら怠けるな!
第2部は、メルヒェンではお馴染みの魔女や異界がテーマになっている。
幕開けに演奏されるのは、1893年に初演されたフンパーディンク作の歌劇《ヘンゼルとグレーテル》から、第2幕の間奏曲として演奏される「魔女の騎行」と、第3幕でヘンゼルとグレーテルを魔法にかけて食べてしまおうとする「魔女のアリア」を続けてお聞きいただく。
「メルヒェン・オペラ」の元祖は、18世紀後半のドイツ語圏の民衆向けに作られた歌芝居のレパートリーに見て取れる、という考え方がある。たとえば生涯の一時期、ウィーンの民衆劇場で指揮者として活躍したミュラー(1767-1835)の場合。彼が1791年に作った《ファゴット吹きのカスパール(あるいは魔法のツィター)》は、魔法の響きを宿した楽器をテーマにした作品であり、本日は「序曲」が演奏される。あるいはこの作品と同年に初演され、現在に至るまで大ヒット作となったモーツァルト(1756-91)の《魔笛》も然り。その中から、魔法の笛や鈴にまつわるナンバーを選んでみた。
《真夏の夜の夢》は、イングランドのシェイクスピア(1564-1616)によって書かれた16世紀末の戯曲。メルヒェンの時代を迎えていた19世紀前半のドイツでも人気を博し、1843年の戯曲のドイツ初演にあたってメンデルスゾーン(1809-47)が劇用の音楽を付けた。幻想的な戯曲に相応しい夢幻的な音楽が特徴で、特に森の奥深くに住まう妖精を描いた「スケルツォ」はその典型である。
ホフマン(1776-1822)もまた、メルヒェンの時代のドイツを代表するロマン派の作家。幻想性や怪奇性に溢れた小説を書くかたわら、音楽家や評論家としても活躍する多彩ぶりを発揮した。そんな彼の作品や生涯を基に、フランスで創作された戯曲が《ホフマン物語》で、やがて同名の歌劇も作られる。作曲者は、ドイツに生まれ、後にフランスのパリで数々の喜歌劇を作ったオッフェンバック(1819-80)だが、彼の生前には完成されず、補筆を経て1881年に初演された。本日はゴンドラが幻想的に行き交うヴェネツィアで、ミューズの化身と高級娼婦が歌い交わす「舟歌」を取り上げる。
ホフマンが1816年に発表し、話題を呼んだ作品が《くるみ割り人形とねずみの王様》だ。民間伝承ではない、いわゆる「創作メルヒェン」とも呼ばれるジャンルである。なお《くるみ割り人形》といえば、ロシアのチャイコフスキー(1840-93)によるバレエ音楽が有名だが、それ以前にもこの物語を基にした音楽作品は存在した。その1つが、ドイツ・ロマン派の音楽家として活躍したライネッケ(1824-1910)が作った同名の作品。序曲が1855年、他の曲は1860年代半ばに出版された。家庭で演奏されることを念頭に書かれており、ピアノ連弾にナレーションも加わる編成となっている。
第3部「憧/夢」
ふたりは私を連れてゆく あの天国の楽園へ!
第3部は、メルヒェンの根幹を成す憧憬や夢想がテーマとなっている。
幕開けには、シューベルト(1797-1828)が1820年に作曲した《魔法の竪琴》序曲が演奏される。《魔法の竪琴》は、第2部でも取り上げた魔法の楽器をテーマとした音楽伴奏付きの劇だったが、人気を博すことはなかった。それから3年後の1823年、《キプロスの女王ロザムンデ》(以下《ロザムンデ》)という劇が上演されるにあたり、急遽その劇音楽を担当したシューベルトが、《魔法の竪琴》序曲を《ロザムンデ》のために転用。結果、こちらの名称のほうが有名になってしまった作品である。いずれにしてもシューベルトらしい、現実には存在しえぬ美しい世界への憧れを宿した1曲だ。
「ワルツ王」として、ウィーンをはじめとするドイツ語圏で一世を風靡したJ.シュトラウス2世(1825-99)。壮年期を迎えた彼は、それまで培ったダンス音楽のノウハウを基に喜歌劇の創作に乗り出すが、1871年に初演された記念すべき第1作が、アラビアンナイトを題材にした《インディゴと40人の盗賊》だ。劇中に登場する名旋律をつなげ合わせて「新作」として発表されたワルツが、その名も《千夜一夜》。異国情緒漂う雰囲気に、ウィーンという夢の街の代名詞でもあるワルツを融合させた傑作である。
夢想家ということでいえば、ドイツ・ロマン派の音楽家の典型といえるシューマン(1810‐56)を忘れるわけにはゆかない。ヴィオラとピアノのために書かれた《メルヒェンの情景》は、その典型。精神の病が重くなり始めた1851年に作られ、メルヒェンではお馴染みの森や魔界を彷彿させる曲想の中に、真の憩いへの希求が綴られてゆく。イタリア系の血筋を引きながら、ドイツ語圏で活躍したブゾーニ(1866-1924)が1879年に作曲した《メルヒェン》も、こうした系譜の上に成り立つ小品だ。
ジークフリート・ワーグナー(1869-1930)は、かのリヒャルト・ワーグナー(1813-83)の息子。マッチョ志向の父親の影から逃れるように、メルヒェン・オペラや、繊細な感覚に基づく器楽曲を残した。1913年に作られた《フルートと小管弦楽のための協奏曲》もその1つである。
ワーグナーと同時代にドイツ語圏で活躍した音楽家のヒラー(1811-85)が、1860年頃に作曲したのが《小姓と王女のバラード》である。古城、森、水の精といったメルヒェンでお馴染みの要素が、小姓と王女の束の間の悲恋を彩るという内容。ピアノとナレーションという編成からは、家庭における上演を念頭に置いたものであることが窺える。
本日の演奏会の最後を飾るのは、1893年に初演されたフンパーディンク作の歌劇《ヘンゼルとグレーテル》から。森の中で迷った兄妹が天使たちに祈りを捧げながら眠りにつく、あまりにも美しい第2幕の最終部分「夕べの祈り」「夢のパントマイム」を取り上げる。
- ※今後の新型コロナウイルス感染症拡大状況によっては、公演内容や実施方法を変更、または公演を中止する可能性がございます。最新情報は当公式サイトやSNSにてご確認ください。
- ※掲載の曲目は当日の演奏順とは異なる可能性がございます。
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