2019年3月のロンドン・デビューとなったウィグモア・ホールでのコンサートは、チケットが売り切れとなる大成功を収めた。このシーズンには、ニューヨーク市の92nd Street Y、フィラデルフィアのキンメル・センター、ミネソタ州セントポールのシューベルトクラブ、アトランタのスパイヴィ・ホール、メイン州のボウディン音楽祭、ロサンゼルスのUCLA、ドレスデンのモーリッツブルク音楽祭（ドイツ）、その他ボストン、サンフランシスコ、カナダ、東京などで演奏した。さらに、AVIEレコードからロベルト・シューマンのピアノ三重奏曲全集をリリースし、「温かい気配りと愛情」（BBCラジオ）、「酔いしれるよう」（グラモフォン）、「エキサイティングで、深く心に刻まれる」（ストリングス誌）、「フレッシュ、しなやか、ファンタスティック」（ストラッド誌）と、絶賛を浴びた。
ホルショフスキ・トリオは、卓越したピアニスト、ミェチスワフ・ホルショフスキ（1892-1993）の素晴らしい楽才、誠実性、人間性からインスピレーションを得ている。トリオのピアニスト、相沢吏江子はフィラデルフィアのカーティス音楽院でホルショフスキの最後の弟子であった。ロサンゼルスタイムズ紙に「パワープレーヤー揃い」と評されたホルショフスキ・トリオのレパートリーには、ガブリエル・フォーレ、エンリケ・グラナドス、ボフスラフ・マルティヌー、モーリス・ラヴェル、カミーユ・サン＝サーンス、エイトル・ヴィラ＝ロボス等、ホルショフスキが個人的に交流していた多くの作曲家の作品が含まれている。2014年にはブリッジ・レーベルからガブリエル・フォーレ、カミーユ・サン＝サーンス、ヴァンサン・ダンディの作品を収めたアルバムをリリースしてレコード・デビューを果たした。ホルショフスキに捧げられたこのアルバムについて、グラモフォン誌は「高度に熟練した技術・音楽性をもつグループ」による「模範とされるべき演奏」と称賛し、「ホルショフスキ・トリオの演奏を是非もっと聴いてみたい」と批評記事を結んだ。
ホルショフスキ・トリオは、ルートヴィヒ・ヴァン・ベートーヴェン、ロベルト・シューマン、ヨハネス・ブラームスのピアノ三重奏曲全曲チクルスを演奏している。また、アルノ・ババジャニアン、レナード・バーンスタイン 、ヴァンサン・ダンディ、アーサー・フット、ジェルメーヌ・タイユフェール、モートン・フェルドマン等の作品の中の世に知られていない名作を、積極的にレパートリーに取り上げている。現代音楽にも熱心に取り組み、ジョン・ハービソン、チャールズ・ウォリネン、ジョーン・タワーといった著名作曲家の作品を演奏している。タワーの75歳の誕生日を祝して制作されたアルバムには、「For Daniel」を録音した。最近ではダロン・ハーゲン、エリック・モー、アンドレア・ピント・コレイア （アメリカ室内楽協会の助成金を受けて）の作品を初演している。今後は、トリオの結成10周年を記念する「Phantasiestücke Project（ファンタジー作品プロジェクト）」でのデレク・バーメル、ポール・チハラ、デイヴィッド・フルマーによる3つの新作をはじめ、スコット・リンドロス、ルイス・カーチン、チャールズ・ウォリネンの作品を初演することになっている。トリオのヴァイオリニスト、ジェシー・ミルスはこれまでに2度グラミー賞にノミネートされた経験をもつが、作曲・編曲も手掛け、トリオのために「Painted Shadow」を作曲している。この作品はニューヨーク州ブルックリンのコンサート会場バージミュージックに委嘱されたもので、2015年1月に同会場で初演された。
ホルショフスキ・トリオはアーロン・ボイド（エッシャー弦楽四重奏団）、池田菊衛（東京クヮルテット）、マスミ・パーロスタード（パシフィカ・クァルテット）、フィリップ・イン（イン・クァルテット）、 ロベルト・ディアス等の演奏家との共演を通して、室内楽の世界を広げている。
ニューヨーク市を活動の拠点とするホルショフスキ・トリオは、現在マサチューセッツ州ケンブリッジのバードカレッジ・ロンジー音楽院とニューヨーク市のレシェティツキ協会のアンサンブル・イン・レジデンスを務めている。