1851年秋、シューマンはヴァイオリン・ソナタを2曲続けて完成させた。この第1番は、9月12～16日という短期間に一気呵成に書かれた。全3楽章からなり、第1楽章はソナタ形式の「情熱的な表現で」（アレグロ・アパッショナート）、第2楽章はヴァイオリンの優しい旋律に始まるロンド形式のアレグレット、第3楽章のソナタ形式による「生き生きと」（アレグロ・コン・ブリオ）では、コーダで第1楽章の第1主題が回想され、全体の統一が図られている。

「こんなに胸騒ぎが」による序奏と変奏曲
　イタリアの鬼才パガニーニが、ヴァイオリンの超絶技巧を追求した作品の一つで、パガニーニの死後、出版された。序奏と主題の提示、3つの変奏、コーダからなる。主題は、若きロッシーニが輝かしい成功を収めた全2幕の歌劇《タンクレディ》（1813年初演）の有名な旋律から採られている。
《24のカプリース》より
　ヴァイオリンの伝説的なヴィルトゥオーソであったパガニーニが、超絶技巧を盛り込んで作曲した《24のカプリース》は、独奏曲としては唯一、彼の存命中の1820年に出版された。「第4番 ハ短調」は、重音奏法による哀愁を帯びた美しい旋律。「第24番 イ短調」は、主題と11の変奏からなり、曲集の掉尾を飾る。

　4曲あるショパンのスケルツォの中でもっとも有名な第2番は、1837年の作。中間部にトリオが挿入された一種のソナタ形式で、劇的な部分と抒情的な部分のコントラストが鮮やか。明から暗までショパンならではのロマンティシズムがあまねく染みわたっている。

　1885年、サン＝サーンス50歳の時の作品で、初演者であるベルギーの著名なヴァイオリニスト、マルタン・ピエール・マルシックに献呈された。2曲あるサン＝サーンスのヴァイオリン・ソナタのうち、この第1番は人気があり、サン＝サーンスの室内楽の中でも傑作と評されている。2つの楽章はさらに2つの部分に分かれて間断なく演奏されるが、これら4つの部分は古典的なソナタの4楽章に対応している。