PROGRAM
プログラム
東京・春・音楽祭
Spring Festival in Tokyo
ミュージアム・コンサート
Museum Concert
博物馆·音乐会
「ミロ展」記念コンサート vol.3 大井浩明(ピアノ)
Concert Inspired by “Joan Miró” vol.3 Hiroaki Ooi(Piano)
Concert Inspired by “Joan Miró” vol.3 Hiroaki Ooi(Piano)

プログラム詳細
Detail
※この公演は終了しました。
日時・会場
東京都美術館 講堂
Date / Place
Tokyo Metropolitan Art Museum, Auditorium
Date / Place
东京都美术馆 讲堂
出演
ピアノ:大井浩明
Cast
Piano:Hiroaki Ooi
曲目
武満 徹:クロッシング(1962 独奏版世界初演)
川島素晴:夢の迷宮 ~武満 徹「ミロの彫刻のように」断片(1995)に基づく(2025 世界初演)
J.ケージ:易の音楽 (全4巻)
Program
Toru Takemitsu: Crossing for pianist(s)(1962 World Premiere of solo version)
Motoharu Kawashima:Labyrinth of Dreams – based on Toru Takemitsu’s ‘Comme la sculpture de Miró’ (2025 World Premiere)
John Cage:Music of Changes(1951)
チケット情報
Ticket
料金(税込)
全席自由 | ネット席 |
---|---|
¥2,500 | ¥1,000 |
Price(tax included)
All Seats Unreserved | Live Streaming |
---|---|
¥2,500 | ¥1,000 |
来場チケット
先行発売
※先行発売はございません。
一般発売
1月26日 [日] 10:00
※当日券の取扱いについて
残席があり会場にて当日券を販売する際、料金は各券種+500円となります。
オンライン・チケットサービス等で事前のご予約をお勧めいたします。
ネット席
発売
- 2025年2月21日[金] 12:00
ライブ配信のみとなります。会場で開催する公演と同時刻に、ご自身のPC・スマホ・タブレット画面にてご鑑賞いただけます。公演終了後のアーカイブ配信はございません。
ネット席の詳細はこちら
Admission ticket
Release Schedule
January 26 [Sun.] at 10:00
※Same day ticket
If seats are still available on the day of the concert, the same day tickets will be on sale for an additional 500JPY to each ticket price.
We recommend purchasing ticket in advance.
Streaming ticket
Release Schedule
- February 21 [Fri.], 2025 at 12:00
Only Live-Streaming is available. You can enjoy the concert through your devices (e.g. computer). There is no archive streaming.
details of the LIVE-Streaming ticket
曲目解説
Song Commentary
曲目解説PDFダウンロード曲目解説
文・川島素晴
武満徹:ピアニストのためのクロッシング(独奏版世界初演)
1961年に一柳慧がアメリカから帰国してケージらの音楽を持ち込んだことで、その後の日本に前衛旋風が巻き起こり、武満徹(1930–96)もその影響を受けて図形楽譜に取り組みはじめた。そうした中、1962年、武満はグラフィックデザイナーの杉浦康平との共作で、図形楽譜を用いた一連の作品を制作した。《ピアニストのためのコロナ》は円とその周辺にデザインされた図形が描かれた5色の紙に、切り込みを入れて円部分を重ねて回転して図形を確定する。《弦楽器のためのコロナII》は複数の同心円がある透明シートに、デカルコマニーの手法によって描かれた色彩的な図が印刷されており、奏者は同心円を進みながら色彩の変化を音色変化でなぞる。1963年に第1部が発表されたピアノと管弦楽のための《弧(アーク)》には、ピアニストも弦楽器奏者も、それぞれ異なる図形楽譜(これもまた杉浦康平との共作である)を演奏する指示がある箇所が存在する。(1966年までに第2部が書き加えられていった。)このうちのピアニストが担当するスコアこそが《ピアニストのためのクロッシング》であり、本来であれば、《弧》のスコアを出版社から借りればそこに付随すべきスコアなのだが、長らく紛失していたのである。1976年の改訂版が1990年に日本初演された折にも武満自身の指示により《ピアニストのためのコロナ》で代用された。なお、1974年に武満自身も録音に立ち会ってリリースされたウッドワードの録音も存在するが、それは《ピアニストのためのコロナ》との同時演奏である。
その後、2022年3月に開催された《弧》の上演に際し、長年埋もれていた《ピアニストのためのクロッシング》が発見され、(少なくとも日本では)初めて演奏された。しかしそれは、《弧》の一部、それも他の楽器との合奏の中での演奏である。今回は、《ピアニストのためのクロッシング》の独奏版としての世界初演となる。(一部の資料に一柳慧が初演とあるが、本人にはその記憶がなかったようだ。)
色彩的な《コロナ》に対して《ピアニストのためのクロッシング》はモノトーンではあるが、全16枚あるシートを(1962年の展示会後の秋山邦晴による論評によると)立体的に紙彫刻のように折り畳んでセットし、偶然開かれた状態で演奏する(ただし現時点で指示書は発見されていない)。こうした実験精神は、今回のミロ展で展示されている晩年の作品《焼かれたカンヴァス2》(1973)のような試みとも通じるだろう。事実、武満は1961年、このような図形楽譜の実践を構想しつつ、ミロ論を執筆している。そうした意味で、「ミロ展」と同時開催となった本公演は、《ピアニストのためのクロッシング》世界初演の場になるに相応しい。
川島素晴:夢の迷宮 ~武満徹「ミロの彫刻のように」断片(1995)に基づく(2025 世界初演)
武満徹は、亡くなる前年の1995年に、自身の別荘と同じ御代田の地に開館したメルシャン軽井沢美術館(2011年閉館)の最初の展覧会、「ミロ、夢の迷宮」展を鑑賞した。10月5日に癌の闘病から退院し、御代田の別荘に行ってから会期末11月19日まで約1カ月の間のどこかで、無理を押してでも観たのだ。そしてそこで観たミロ晩年の彫刻群に触発され、フルートとハープの二重協奏曲《ミロの彫刻のように》を作曲しはじめていた。「La lune(月)」と名付けられた第1楽章の冒頭、たった6小節しか存在しないが、衰えのない筆致で詳細がメモされており、卓抜で繊細なオーケストレーションの構想が垣間見える。その先を武満に成り代わって書き継ぐとすればおこがましいが、この断片から自由に夢想することなら許されよう。
武満は前述の展覧会に接してエッセイ『晩年のミロの陰影』を遺しており、かねてよりミロに傾倒していた武満が、このときは「個体としての魅力を湛えたそれぞれの色彩が私が思っていたほど単純なものではなく、深い多義性を秘めた、なにか不可思議な有機体のように感じられた」とのこと。これはそのまま、武満の晩年の音楽が目指した姿に重なる。その他、明るさの中の翳りにも言及があり、恐らくは死を意識していたであろう武満自身の晩年をミロの晩年に重ねたこれら文章の全てをここに引用することはできないが、私自身はその全文を噛み締めながら、そして「ミロ、夢の迷宮」展のカタログを観ながら、音を紡いだ。
なお、「迷宮」とは、ミロが晩年にマーグ財団の庭に創った、迷路のように無数の陶板や彫刻で満たされた空間である。一方、武満は、しばしば夢を自身の音楽構造になぞらえた。武満が観た展覧会名「夢の迷宮」は、そのまま、武満作品の音楽体験とも一致するだろう。武満が遺した断片にはじまり、迷宮に迷い込むかのように、夢想しつつ進む。
J.ケージ:易の音楽 (全4巻)
1951年、ジョン・ケージ(John Cage, 1912–92)は作曲に偶然性を導入したが、その年に半年以上をかけて完成させた、偶然性による最初の大規模な器楽作品(全4巻)である。なお、ケージ作品における偶然性と不確定性は異なる意味であり、本作では後述する方法で決定された音は全て明確に記譜されて(ただし音価は五線上の幅で示されて)おり、奏者にとって不確定的な(つまり自由な)要素はない。
本作での偶然性の実践は中国の易経に基づくが、ケージが実践した易経の方法は、六十四卦(8✕8=64マスに1〜64の数字がランダムに配列されている)を用いて、コイン投げ(3枚のコインを投げて裏表の多いものを記録し、それを最低3回行なうことによって縦の卦を、さらに最低3回行なうことによって横の卦を決める、といった過程でようやく64のうちの一つの数字が得られる)によって決定するものであった。ヨーロッパでブーレーズらにより同時代に開発されたトータル・セリエリズム(あらゆる音楽的パラメータを音列やそれに基づく数列によって決定する)と易経による決定とでは、確率論的には同じ結果を導くように思えるし、実際に音楽的な様子は近似しているが、ここでの実践は本質的に異なっている。ケージは最低6回ワンセットのコイン投げをひたすら行ない続けて、テンポ、音価、強弱、沈黙と音(音の重なり具合、鍵盤以外の演奏法なども含む)といったパラメータを決定していったが、リズム構造の大枠はそれまでのケージの作曲技法である「平方根リズム構造」を土台としているほか、音型や和音構成音など、音楽素材の一部始終を易経で決定したわけではない。
この翌年、1952年に《4分33秒》を発表したケージは、その後の偶然性の実践では「紙のしみ」を使うことで、音楽的要素の偶然性の度合いを高めていき、遂には図形楽譜などを用いた不確定性にまで至る。そのように本格的に作曲家の主観から解放されていく後年の作品に比して、本作はまだ、作曲家による創意を聴くことができる過渡期の作品である。つまり、数十分もの間、易経によるランダムな音の戯れを奏で続けているというわけではない。注意深く聴くなら、ヴィルトゥオジティの背後に見え隠れする、創意の痕跡を見出だせるだろう。
*ケージはミロと親交があった。1966年のマース・カニンガム舞踊団シッチェス(バルセロナ近郊)公演にはケージとチューダーが同行し、その公演のポスターはミロが描いたし、ケージたちの渡航前にミロが絵画をケージに送っていて、それによって欧州ツアーの予算が賄えたという。そしてその公演のときのことをケージ自身、『月曜日からの一年』の中で書いており、相互に影響関係にあったことが窺える。
主催:東京・春・音楽祭実行委員会
共催:東京都美術館(公益財団法人東京都歴史文化財団 )
協力:タカギクラヴィア株式会社/日本音響エンジニアリング株式会社
Organizer:Spring Festival in Tokyo Executive Committee
Co-presenter:Tokyo Metropolitan Art Museum
Co-operation:Takagi Klavier Inc. /Nihon Onkyo Engineering Co., Ltd.
● 記載の曲目は、当日の演奏順と異なる可能性がございます。
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