イタリアのアルフレード・カゼッラの「子守唄」「前奏曲」は、いずれも《子供のための11の小品》op.35 所収。シュールな和音で無窮動風に進む。
　フランスのガブリエル・ピエルネは、若い頃のピアノ小品が親しまれている。《私の子供たちのアルバム》op.14 の中の「パストラーレ」はフォーレ風の色合いで、物悲しく音が揺れる。
　「威風堂々」で有名なイギリスの作曲家エドワード・エルガーは、結婚した年にかつて姪のために書いたものを改訂して「ソナチネ」を作曲。優しいアンダンティーノと快活なアレグロからなる。
　ハイドンによる2曲の「アレグレット」のうち「Hob.ⅩⅡ-10」は典雅なリズムや長短調の対比が快い。「Hob.Ⅲ-41」のほうは弦楽四重奏曲の終楽章で、シチリアーノの変奏による軽やかな曲。「Hob.ⅩⅥ-6」の「ピアノ・ソナタ」のアダージョはトリルや装飾音を伴った悲し気な雰囲気。
　カルロス・セイシャスはポルトガルの作曲家。D.スカルラッティに学び、多くのソナタを書いた。「ソナタ ニ短調」K.23 は、沈んだ表情のアンダンテとメヌエットからなる。
　シューマンの《子供のためのアルバム》op.68 には43曲の小品が収められているが、「シェヘラザード」は夢見るようなエキゾチックな旋律が魅力的。
　セシル・シャミナードはフランスの女性作曲家で、洒落た作品が多い。「ガヴォット」は舞曲的リズムに下降音型を散りばめ、中間部は優しくも力強い。
　バルトークは先鋭的な作風で知られるが、150曲以上からなる《ミクロコスモス》は子供のためのピアノ練習曲集。「ハエの日記から」「半音階の中での長2度」「短調と長調」は、いずれも表題を想わせるイマジナティブな小品。「バグパイプ」は「44のヴァイオリンの二重奏曲」から抜粋してピアノ用に編曲した《小組曲》の中の1曲。鋭いリズムで新奇な音が疾走する。
　フランシス・プーランク、ヴァンサン・ダンディ、ジャック・イベールらは、洗練された音楽を書いたフランス人作曲家。プーランクの「スタッカート」は子供のための小品集《村人たち》の1曲で、軽快に跳ね回る。ダンディの《シューマニアーナ》は題名の通りシューマン的な楽想がフランス風に彩られている。イベールがピアノ学習者のために書いた《15のイマージュによる小組曲》は最後のピアノ曲集で、「星たちへの子守唄」は静かで美しい音楽。
　ジョン・ケージは「偶然性の音楽」などで名を馳せた現代音楽の泰斗。「トイピアノのための組曲」はミニマル音楽的な作品で、以後の作曲家もこの楽器のために曲を書くようになった。
　「音楽時計」は18世紀頃に流行した自動演奏装置がついた時計のこと。ハイドンは音楽時計のために多くの曲を書いている。今回、どの曲が演奏されるのか？　乞うご期待！
　ロシアのセルゲイ・リャプノフのロマンティックな「人形の子守唄」は《6つのやさしい小品》op.59 の中の1曲。文字通り「やさしい」子守唄。
　アラム・ハチャトゥリアンは旧ソ連時代に活躍したアルメニアの作曲家。「スケルツォ」「小さな歌」は《子供のアルバム》所収。前者は「今日は歩かない」という表題の通り、駄々っ子の様子が見えるよう。
　チャイコフスキーの《子供のためのアルバム》には多彩な小品が束ねられているが、「甘い夢」「ワルツ」ともに、彼一流の幻想味が溢れた佳品。
　ヴィクトル・コセンコとレインゴリト・グリエールはウクライナの作曲家で、旧ソ連邦で活躍した。2人とも抒情的な作風で、コセンコの《24の子供の小品》op.25 の第6曲「ワルツ」は、まるでショパンのよう。一方、グリエールはドイツ・ロマン派の影響のもとに民俗的な要素も併せ持つ。今回は《子供のための12の小品》op.31 から「東洋の歌」「アルバムの一葉」、《24の性格的な小品》op.34 から「涙」、《8つのやさしい小品》op.43 から「夜」「ロンド」「マズルカ」の計6曲をお届けする。
　J.S.バッハを尊敬していたショパンには対位法を活かした作品があるが、フーガは珍しい。死後、発表された「フーガ イ短調」にはバッハ的な厳格さが漂う。
　日本の音楽界を切り拓いた山田耕筰。彼の柔らかな小品「おはよう」は《日本風の影絵》の第1曲。
　メキシコのマヌエル・ポンセの「ラス・マニャニータス」は「朝」の意味。メキシコではポピュラーなバースデーソングだ。