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ふじみダイアリー 今日のハルサイ事務局

海外チームの見事な連携プレイ! 歌曲シリーズ2公演をドイツからインターネット配信します

目の覚めるような鮮やかな若葉の緑に包まれて、東京・春・音楽祭もいよいよ終盤を迎えました。さまざまな変更を余儀なくされた今年の音楽祭ではありましたが、あとはゴールを目指してラストスパートあるのみ。どうかご声援ください! 「ふじみダイアリー」では、ハルサイにまつわるさまざまな話題をピックアップしてお伝えしています。

 4月17日(土)にストリーミング配信した「ベルリン・フィルのメンバーによる室内楽」はご覧いただけましたか? ベルリン・フィルハーモニー大ホールで収録した、樫本大進(ヴァイオリン)、オラフ・マニンガー(チェロ)、オハッド・ベン=アリ(ピアノ)のピアノ三重奏。本来は4月14日(水)に東京文化会館小ホールで行なう予定だった公演と同じメンバー、同じ曲目による、東京・春・音楽祭のための、撮れたての特別プログラムでした。

 この記事をお読みの音楽ファンの皆さまなら、ベルリン・フィルの演奏会映像配信サービス「デジタル・コンサートホール」をご存知だと思います。じつはその発案者がチェロのマニンガーで、彼は現在、このサービスを運営する「ベルリン・フィル・メディア」の取締役でもあります。そして、東京・春・音楽祭実行委員長の鈴木幸一がCEOを務めるIIJ(株式会社インターネットイニシアティブ)は、「ストリーミングパートナー」としてデジタル・コンサートホールをサポートするとともに配信の技術支援も行なっているという間柄なのです。

 来日できなかったマニンガーに、現地からの配信コンサートを打診したところ、「ベルリン・フィルとIIJ、そしてハルサイの関係を示す、とてもいいアイディアじゃないか!」と快諾してくれて、急きょ収録が決まりました。フィルハーモニーには映像機材が常設されていることもあり、なかなか凝ったカメラワークの映像をお楽しみいただけたと思います。

 これに味をしめたわけではないのですが、すでにお知らせしているとおり、他にも2本、「東京春祭 歌曲シリーズ」として予定していた歌曲リサイタルをドイツで収録して配信します。クリスティアン・エルスナー(テノール)の《冬の旅》[5月8日(土)20:00配信]と、クリスティアン・ゲルハーヘル(バリトン)の《白鳥の歌》[5月9日(日)20:00配信]というシューベルト・プログラム。ゲルハーヘルの《白鳥の歌》は、終曲〈鳩の便り〉の前に、同じザイドルの詩による4曲の歌曲を挿入した、興味深いオリジナル企画です。

 

 じつは最初は、この2本も室内楽と同じ日にベルリンで収録しようと考えていました。コスト的に、それならばなんとか制作可能だという大人の事情からです。でも、スケジュール調整が難航するうちにドイツがイースター休暇に入ってしまったのです。諦め気味だった私たちに、歌手たち二人の共通のエージェントからうれしい知らせがありました。ミュンヘンのガスタイクで、映像制作会社のユニテル社が撮影しているので、その前後だったら、ユニテルのチームがこちらの予算内でやってくれる。二人のスケジュールもOKだというのです。ためらう理由はありません。話はすいすいと進み、先日無事に収録が終わりました。

 じつは日本の音楽事務所と違って、ほとんどのヨーロッパのエージェントは、公演の制作はしません。自分たちでホールを借りることもなければ、ピアノの調律を依頼することもないのですが、この状況で、まずはアーティストに仕事を作るのが大事と、積極的に協力してくれたのです。「コンサート・オーガナイズは初めてだわ」と、ちょっと楽しんでいる感じでもありました。ガスタイクとユニテル含め、関係者の非常にフレンドリーな連携プレーに心から感謝しています。

配信を前に、完成した映像の一部が送られて来ました。歌手はもちろん、ピアノのゲロルト・フーバー(2公演とも)にもご注目。映像はピアニストの表情も細かくとらえているのですが、彼は弾きながらずっと歌っているのです。なるほど、歌曲ピアニストとして超売れっ子なわけですね。そんなことも如実にわかって、歌曲は案外映像向きのコンテンツなのかなと感じています。どうぞご期待ください。




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