JOURNAL

ハルサイ的「世界街歩き」

ウィーン vol.2

プラハ、ウィーン、バイロイト 、ラヴェンナ…。
2005年に「東京のオペラの森」としてスタートし、2009年より「東京・春・音楽祭」として新たな幕開けをした音楽祭。
その16年の歩みの中で縁の生まれた、世界の街の数々をご紹介していきます。さあ、一緒に世界旅行へ。

 ウィーンの話を続けましょう。
 なんといっても音楽好きにとっては、掘り下げても掘り下げてもまだまだ足りないくらいの土地なのですから。

 日本で言えば、ちょうど京都のようなところですね。そう、「千年の都」である京都とウィーンにはどこか似たところが。とてつもない古い伝統をもつがゆえに、むしろそれをバネに新しいものが生み出されるようなところまで。無調や12音技法の音楽を生み出したシェーンベルクや、美術でいえばクリムトのような芸術家もここウィーンの出でした。
 それに20世紀前半に目覚ましく新鮮なオペラを生み出したR.シュトラウスの書簡集などを読んでいますと、打合せに使うホテルなど、(ホテル・インペリアルとか)今もあるところが登場するのがいいですね。

 こうしてウィーンの重層的で厚い芸術文化は、前回触れた、元ウィーン・フィルの名コンサートマスター、キュッヒルさんのこともそうでしたが、私たちの「東京・春・音楽祭」を通しても私たちに色濃く伝えられています。
 この実例、挙げていくとほかにもいくつもあるのですが、例えば・・・

① 「東京・春・音楽祭」で行われる「マラソン・コンサート」(毎回テーマを設定して、珍しい曲もたくさん採り上げられる)では毎年、ウィーン楽友協会の資料館から貴重な楽譜をお借りしています。これには歴史的な作曲家や演奏家の書き込みなども!


② 音楽祭の前身、「東京のオペラの森」時代に上演したヴェルディ《オテロ》、チャイコフスキー《エフゲニー・オネーギン》は、ウィーン国立歌劇場との共同制作で、この舞台はウィーンでも上演されています。


③ ウィーン市第一区と、この音楽祭が行われる上野がある台東区は姉妹都市なのです。昨年は特に、「日本・オーストリア国交樹立150周年」で、また「台東区とウィーン市第一区イネレシュタットの姉妹都市提携30周年」というメモリアル・イヤーでしたので、オープニングセレモニーも大々的に行いました。

 どうでしょう?よりウィーンが身近に見えてきませんか? 逆に、またいつかウィーンを訪れた際、この「東京・春・音楽祭」のことが脳裏に浮かんでくるかもしれませんね。

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