JOURNAL

ふじみダイアリー 今日のハルサイ事務局

大反響の《マクベス》!
明日のスターが約束された二人の若手歌手の「いま」をお聴ききください!

目の覚めるような鮮やかな若葉の緑に包まれて、東京・春・音楽祭もいよいよ終盤を迎えました。さまざまな変更を余儀なくされた今年の音楽祭ではありましたが、あとはゴールを目指してラストスパートあるのみ。どうかご声援ください! 「ふじみダイアリー」では、ハルサイにまつわるさまざまな話題をピックアップしてお伝えしています。

 4月19日に公演初日を迎えたイタリア・オペラ・アカデミー in 東京 vol.2のリッカルド・ムーティ指揮《マクベス》。すごい演奏でした! おかげさまで、一般のお客さまからもジャーナリストの方からも大きな反響が寄せられています。「あんな《マクベス》が日本で聴けるなんて」「日本音楽史上の事件だ」。
 そのなかで、主役の若い二人の歌手、マクベス役のルカ・ミケレッティ(バリトン)とマクベス夫人役のアナスタシア・バルトリ(ソプラノ)について、あの素晴らしい歌手たちは誰なんだ?という声も多数いただいていますので、二人が起用された経緯についてご紹介します。

 前回2019年の「イタリア・オペラ・アカデミー in 東京」の《リゴレット》のあと、「次はさらにいい歌手を呼ぶから」と予告して帰って行きました。ムーティがアカデミーに若手歌手を起用するのは、もちろん「育成」といテーマに沿っているのですが、大物歌手は10日も2週間もある長いアカデミーに付き合ってくれないし、出演料も高くなるからという現実的な理由でもあります。今回の《マクベス》では、バンコ役のリッカルド・ザネッラート(バス)は早くから決まっていたのですが、マエストロも深く信頼する彼については、アカデミーの終盤に合流してくれればいいという目算があったようです。

 その年の夏、鈴木幸一実行委員長らがラヴェンナ・フェスティヴァルを訪れた際、「そろそろ決めてほしいのだけれど」と切り出すと、その年のアカデミーの《フィガロの結婚》の伯爵役を歌っていたルカの名前を挙げて、「彼はいいぞ。絶対にスターになる」と太鼓判。そのひとことでマクベス役が決まりました。

 

 一方のマクベス夫人役は少し難航しました。私たちからも何人かの候補を挙げて打診したのですが、マエストロのお眼鏡にかなう歌手はいません。夏も過ぎようとしていた頃、「見つけた!」という声が挙がりました。ラヴェンナ・フェスティヴァル総裁でもあるムーティ夫人クリスティーナからです。

 クリスティーナ夫人のプロダクションのオーディションを受けに来た歌手の一人がアナスタシアでした。ムーティ自身も彼女の声を確認して、「まだ粗削りなところもあるがいける」と確信を持ったようです。

 かつて、まだ無名のバルバラ・フリットリ(ソプラノ)やイルデブランド・ダルカンジェロ(バス・バリトン)がムーティによって見いだされたように、若い才能を見極めるマエストロの目は確かです。二人の将来も約束されたようなものだと言えるのではないでしょうか。世界に羽ばたく一歩手前の二人を聴くのは今回が最後のチャンスかもしれません! ぜひお聴きください。

 リッカルド・ムーティ指揮《マクベス》の2日目は本日18時30分開演です!




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