JOURNAL

ハルサイ的「世界街歩き」

ドレスデン

プラハ、ウィーン、バイロイト 、ラヴェンナ…。
2005年に「東京のオペラの森」としてスタートし、2009年より「東京・春・音楽祭」として新たな幕開けをした音楽祭。
その16年の歩みの中で縁の生まれた、世界の街の数々をご紹介していきます。さあ、一緒に世界旅行へ。

ドイツ連邦共和国ザクセン州 州都ドレスデン

 ドイツの古都、ドレスデン。ライプツィヒと同じく東部のザクセン州にあり、州都です。
 エルベ川が流れるここはチェコ国境も近く、古き良き建物が並ぶ美しい街。1726年に建てられたバロック的なフラウエン教会(聖母教会)が最も有名でしょうか?こうした建物の多いドレスデンは「百塔の街」などとも呼ばれています。

 もっともこれらは第2次世界大戦での爆撃により、徹底的に破壊され、フラウエン教会やドレスデンの誇るゼンパーオーパー(ドレスデン国立歌劇場)も戦後に復興されたもの。それも戦後50年近く、ドレスデンはソ連の衛星国家である東ドイツの都市でしたし、その再建も随分後となりました。

 それにしてもよく思うのですが、ヨーロッパでは街が復興されるとき、建築物を元の通りに再建しますよね。きっと強い愛着と誇りがそうさせるのでしょう。これは日本ではあまり見られないことではないでしょうか?それも文化の違い。

 閑話休題。
 ドレスデンからちょっと離れますが、隣にはマイセンの街があります。ご存じ有名な陶磁器で有名なところです。このマイセンの陶磁器のルーツは日本の有田焼。輸出された有田焼は17世紀頃、ヨーロッパの貴族の間で大変に人気があり、その中にザクセンのアウグスト王がいました。この王が「有田焼の柿右衛門様式のものを作れ」と命じたことでマイセンに製陶工場が出来たのでした。

マイセン陶磁器

 ドレスデンに話は戻ります。ここはまた音楽都市でもあります。かの地の誇るゼンパーオーパーのオーケストラ、シュターツカペレ・ドレスデン(ドレスデン国立歌劇場管弦楽団)は世界最古の楽団であり、その創立は約500年前!モーツァルトももちろんここで作品初演を行いましたし、ワーグナーやR.シュトラウスもこのオーケストラを愛しました。特にシュトラウスは彼の12のオペラのうち、半数以上をドレスデンで初演したほど。(《ばらの騎士》もそのひとつ。台本を書いたホフマンスタールもまた、シュトラウスへの手紙で「ウィーンより、初演はぜひドレスデンで」と書いたくらいです)

 この伝統は今でも残り、シュターツカペレ・ドレスデンのR.シュトラウス作品演奏は指揮者が誰であろうと、光輝く自発的な響きと非常な勢いがあり、「これは我々の作品だ!」と高らかに宣言しているようなプライドを感じます。

ドレスデンのクリスマス市

 ドレスデンのオーケストラにはもうひとつ、コンサートを主体とするドレスデン・フィルがあり、「東京・春・音楽祭」でおなじみのマレク・ヤノフスキが現在首席指揮者を務めています。そしてベートーヴェンやワーグナーの作品でシュターツカペレに負けない演奏を繰り広げて評判です。

 さて、もうすぐクリスマス。ドレスデンのクリスマス市はミュンヘンなどと共に有名で、観光シーズンには大変な賑わいです。そのクリスマス・アドヴェントには古くからフラウエン教会でアドヴェント・コンサートが毎年開かれており、心清められる愉悦が味わえるのですが、この時期、叶うことならば行ってみたいものですね・・・。

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