JOURNAL

ハルサイ的「世界街歩き」

ベルリン

プラハ、ウィーン、バイロイト 、ラヴェンナ…。
2005年に「東京のオペラの森」としてスタートし、2009年より「東京・春・音楽祭」として新たな幕開けをした音楽祭。
その16年の歩みの中で縁の生まれた、世界の街の数々をご紹介していきます。さあ、一緒に世界旅行へ。

 ドイツの首都ベルリン。
音楽ファンにとってみれば、世界に冠たるベルリン・フィルハーモニー管弦楽団の本拠地。

ドイツ連邦共和国の首都ベルリン

 もっともベルリンは、第2次世界大戦後の東西冷戦中においても、東ドイツ=ドイツ民主共和国の首都ではありましたが、西ドイツ=ドイツ連邦共和国の首都はボンである、という奇妙な時が40年以上も続いたのです。その時のベルリンにはご存じ、東西を隔てる「壁」があり、西ベルリンというのは地理的に、東ドイツの中の陸の孤島でした。アウトバーンで西ドイツをはじめ、西側諸国と自由に行き来できる場所だったとはいえ、西ベルリンに住んでいる人はどんな気持ちだったでしょう?

 さて、1989年に「ベルリンの壁」崩壊という、あまりにも劇的な瞬間からヨーロッパにあったソ連の影響下にある共産国家の数々は次々と民主化。歴史は大きく動くに至り、ベルリンは1990年から再び“統一ドイツ”の首都となりました。
ブランデンブルク門などの古い建造物とは別に、新しい近代的なビルが次々と建てられ、今はファッションでもグルメでもドイツの最先端。かつてそうだったように、ベルリンはドイツの政治の中心であると同時に、文化的にも先鋭的な街であり続けています。

 先にベルリン・フィルの名前を出しましたが、「東京・春・音楽祭」にも、これまで同団のメンバーが大勢参加してくれています。そしてまさにこのオーケストラこそ、皆さまをよく知っている通り、技量、質、規模のことは言うまでもなく、「新しいことをしてきた」という意味でも常にトップを走っている存在。その時代その時代の最高の指揮者を音楽監督に据え、カラヤン時代にはレコ―ディングを、アバド時代には楽団の若返りや新しいプロジェクト・コンサートなどの企画力を、またラトル時代には子どもたちへの教育プログラムや、今を先取りするように、ライヴ配信システム=「デジタル・コンサートホール」を確立させました。改めてすごいオーケストラですね。

 遡るとベルリン・フィルの本拠、フィルハーモニーホールは1963年に開館。外見の奇抜さと当時のカラヤンのコマーシャリズムの勢いから、「カラヤン・サーカス」などと揶揄されたらしいですが、ステージを客席が囲むようなワインヤード型(サントリーホールと同じ形状。これはカラヤンが勧められてそうなりました)が、その後どれだけ世界のコンサートホールに影響を与えたことか。

 ところで、明日4/18(日)20時からなんとベルリン・フィルの公演がライブ配信されます!
指揮は巨匠ズービン・メータ。
これは、昨年東京で行われるはずでしたが、やはりコロナ禍で中止となった東京2020大会の公式文化プログラム「東京2020 NIPPONフェスティバル」共催プログラム「東京・春・音楽祭特別公演 ベルリン・ フィル in Tokyo 2020」 の代わりに 日本のファンへ激励をこめて・・・という意味で企画されたものです。 嬉しいですね。 (配信はこちらから)

ペルガモン博物館

 ・・・新しいことばかり目を向けてしまいましたが、ひとつ昔の落ちついた文化に足を運んでみましょうか。
旧東ドイツのエリアにあるペルガモン博物館です。シュプレー河の中州が「博物館島」と呼ばれ、このペルガモン博物館以外にも4つの博物館があるという場所で、ここは世界遺産となっています。かつて19世紀半ばにフリードリヒ・ヴィルヘルム3世がこの地を作りました。
1930年に完成したペルガモン博物館は、ギリシャ=ローマ時代やヘレニズム文化時代、そしてイスラムの美術品が数多く展示されていて、ヨーロッパの古代世界の重厚さをほうふつとさせる場所です。まるで、どんどん新しくなるベルリンの街の根っこを思いださせてくれるような。
行ってみたいですね。

Copyrighted Image