JOURNAL

ふじみダイアリー 今日のハルサイ事務局

皆さまのエール、そして「謎の入金」事件

緊急事態宣言が延長された早春の東京。海外からの入国規制がどうなるのかなど、先行きが見えないなかで、予測できない事態への対応も協議しながらの開幕準備に追われる東京・春・音楽祭事務局です。「ふじみダイアリー」では、現在直面しているさまざまな課題や、準備の進捗状況などをお知らせしています。

 現在、チケット販売の開始を見合わせている東京・春・音楽祭2021ですが、3月19日に開幕に向けて、一日も早く発売をご案内できるように準備を進めています。

 昨年の東京春祭は、ちょうど新型コロナウイルスの最初の拡大期と重なったために、予定していたほとんどの公演が中止・延期を余儀なくされました。頭を抱えたのが、チケット代金の払い戻しという大事な問題です。対象は数万人ものお客様。4月7日には最初の緊急事態宣言が発令されるなか、マンパワーも限られた事務局で、確実かつスピード感も必要な課題に取り組む日々が始まりました。

 膨大な作業と格闘しながら、あることに気がつきました。郵送やWebで払い戻しを請求していただく際の書式に設けていた「備考欄」に、多くの皆さまがメッセージを書き込んでくださっているのです。

「上野の桜の季節の音楽祭をいつも楽しみにしています。コロナに負けないでください」

「頑張れ!ハルサイ」

「今年は無観客での配信ありがとうございます。来年も楽しみにしています。次は会場で聴きたいです」

「東京・春・音楽祭では、心のよりどころとなるような公演に出会えたり、演奏家の方々と触れ合い、感動を分かち合ったり、素敵な経験ばかりさせていただきました。 また来年、上野の森で皆さまとかけがえのない時間を共有できますように」

 励ましの言葉の数々。チケット担当のスタッフだけでなく、事務局全員に回覧して、しっかりと拝読しました。涙でかすむ目をこすりながら……。

 政府は昨年4月下旬、チケット代を払い戻す代わりに、それを「寄付」に当てて税優遇を受けられる制度を施行しました。しかしじつは東京春祭では、それ以前から払い戻しの放棄を申し出てくださる方が大勢いらっしゃったのです。公演中止はとても悔しい決断でしたが、逆境のなかで触れた、皆さまのあたたかい応援のお気持ちに、事務局一同心から、深く感謝しています。

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 ご寄付といえば、こんな「事件」もありました。東京春祭には、音楽祭をご支援いただくために、年会費を頂戴して運営している賛助会員の組織があります。昨年の春、その入金口座に、不明名義からの多額のご入金があったのです。

 賛助会員のお申し込み名簿には該当のお名前がなく、チケットご購入者のリストを過去にさかのぼってしらみつぶしに調べても照合できません。万策尽きて、公式サイト上にお名前の苗字部分だけを公開して、入金した方に名乗り出てもらおうという作戦に出ましたが、それも不発。これはいったい誰なのか。匿名のご寄付なのでしょうか……。

 秋風が吹き、なかば調査を諦めかけていた頃、一本のお電話で謎が解けました。
「賛助会員に入会しようと思ってずいぶん前に送金したのだが連絡がない。どうなっているのか」
 入会申し込みのお手続きをせずに会費だけを振り込んだあと、そのまま放置されていたようなのです。経緯を説明して快くご納得いただきましたが、半年間の謎が解決して、私たちも胸のつかえがおりた気分でした。

 東京春祭では現在、音楽祭継続のための皆さまのご支援をお願いしています。上述の賛助会員のほかにも、より簡単にお手続きいただける「オンライン寄付」と、少額からご入会いただける「サポーターズクラブ」を新設いたしました。広く皆さまのお力添えを賜りますよう、お願い申し上げます。




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