JOURNAL

ふじみダイアリー 今日のハルサイ事務局

コンサートを支える現場監督! ステージ・マネージャーも演奏家と一緒に音楽を作り上げています

目の覚めるような鮮やかな若葉の緑に包まれて、東京・春・音楽祭もいよいよ終盤を迎えました。さまざまな変更を余儀なくされた今年の音楽祭ではありましたが、あとはゴールを目指してラストスパートあるのみ。どうかご声援ください! 「ふじみダイアリー」では、ハルサイにまつわるさまざまな話題をピックアップしてお伝えしています。

 さまざまな分野のプロフェッショナルに支えられて成り立っている東京・春・音楽祭。連日の公演の現場をおまかせしているのがステージ・マネージャーの皆さんです。この人たちがいなければコンサート自体が形にならないというキーパーソン。リッカルド・ムーティのオーケストラ・コンサートのリハーサルの合間に、岩崎尚人さん、杉浦友彦さん、猪狩光弘さん、丸山孔尋さん、4人のステマネ・チームに集まっていただきました。

 ステージ・マネージャーの仕事をひとことで言うなら、公演の進行に関わるすべてを取り仕切る役割です。事前にオーケストラの配置図を描いて指揮者やホールと調整するのも、楽器のレンタルの手配をするのも、舞台上に椅子と譜面台を並べるのもステマネさんのお仕事。準備から終演後の撤収までのすべてが守備範囲です。

 でも一番大切なのは演奏者とのコミュニケーション。

 

「気持ちよく演奏してもらうために、余計なことを考えずに音楽に集中できる環境を作ること」

 と口を揃えます。演奏はしないけれども、演奏者とともに音楽に携わる仕事なのです。

 たとえば、今年のハルサイでは全公演をストリーミング配信しているので、会場には収録のためのカメラやマイクが設置されています。ときに、その機材が演奏者の集中の妨げになる場合もあるのだそうで、そんなときに、演奏者の希望を聞き、「演奏ファースト」を貫きつつ、それぞれのスタッフと調整して最善の状態で収録できる設置場所を模索するのも仕事のひとつです。配信という新たな形のお客さまが増えたぶん、これまでとは違う部分での配慮も必要になっているのですね。

 3~4公演が並行して開催される週末や、施設の閉館後の限られた時間の中で「よーいドン」で会場の設営から始めなければならないミュージアム・コンサートなど、ステマネ・チームにはハルサイならではの苦労もおかけしています。

 でも、同じことをやっても毎日違う音楽が聴こえてくるのはとても新鮮で、音楽に関わる仕事ならではの醍醐味を感じると誇らしく語る皆さん。

 日本のステージ・マネージャーの草分け的存在である故宮崎隆男氏(1927~2019)は、こう言ったそうです。

「お客さんの拍手は演奏家に対してのものだけれど、あの拍手は自分にも向けられているのだと、自信とプライドを持って仕事をしろ」

 素敵な言葉だと思います。

 今年、そんなステマネの皆さんにとってうれしいニュースがありました。ハルサイ開幕直前の3月18日、その宮崎氏の直弟子でもある猪狩光弘さんが「第31回日本製鉄音楽賞特別賞」を受賞することが発表されたのです。ステージ・マネージャーとしての受賞は、師の宮崎氏以来二人目の快挙です。おめでとうございます!

 猪狩さんは言います。

「自分のことより、この仕事が注目されたのがうれしい。同じ仕事をしているみんなにとってうれしい話だと思いますよ。本当にありがたいですね」

 実際、これを聞いた他の三人の皆さんも、「そうです。うれしかったです!」と笑顔で大きく頷いていました。いいチームです。

 今年の東京・春・音楽祭も残りわずか。皆さんに最後まで良いコンサートをお届けするために、ステマネ・チームと一緒にラストスパートです!




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