JOURNAL

ふじみダイアリー 今日のハルサイ事務局

宣言延長でさらに苦境。東京春祭、頑張りどころです!

いよいよ開幕目前。しかしそんなタイミングで1都3県の緊急事態宣言が再延長され、さらに出口が見えなくなっています。すでに、外国人アーティストが出演する一部の公演の中止という苦渋の決断をせざるを得ませんでした。今後も予断を許さない状況ではありますが、最悪の場合も頭の片隅に置きながら、とにかく開催準備を進めている東京・春・音楽祭事務局です。「ふじみダイアリー」では、現在直面しているさまざまな課題や、準備の進捗状況などをお知らせしています。

 すでに公式サイトでお知らせしたとおり、今年の東京・春・音楽祭の公演日程を一部変更させていただきました。緊急事態宣言の延長に伴う入国制限の影響による公演中止、また、終演時間を午後8時にするための開演時間の繰り上げなどです。一方でミュージアム・コンサートの詳細をようやく発表することができたものの、やはり悔しい決断でした。

 今年のハルサイ開幕を飾るはずだったブルーノ=レオナルド・ゲルバーのピアノ・リサイタルは、いったん会期後半に日程をずらして開催に望みを託していたのですが、それもかないませんでした。じつは予定していた開幕日の3月19日はゲルバーの80歳のバースデイ。皆さんと一緒に巨匠の「傘寿」をお祝いできなくなってしまったのはとても残念です。今回の来日ではハルサイ以外にも全国でたくさんの公演が予定されていて、招聘事務所も各地の主催者さんもぎりぎりまで可能性を探って努力していました。ご本人も「必ず行く」と意欲を示してくれていたのですが、宙ぶらりんのまま準備をしていただくのにも限界があります。ご高齢ということもあり、「渡航可能になりました。明日日本へ飛んでください」というわけにもいきません……。

 海外からの出演者を迎えるにあたっては、宿泊ホテルの確保にも、例年になく苦労しています。今回は最初から外国人出演者は2週間の隔離期間を前提に準備を進めてきました。コストがそれだけ増えることも頭が痛いのですが、より深刻なのは練習のための音出しの問題です。器楽にせよ声楽にせよ、ホテルの自室で音を出して練習してよいかどうか、ほかの一般の宿泊の方との兼ね合いもあってなかなかデリケートな問題です。隔離ですから、ホテル外の音楽スタジオに通うことはもちろん、ホテル内の宴会場などを利用することもできません。しかもピアニストにはピアノも必要です。でも客室内にピアノを持ちこめるホテルはかなり限られているのです。ハルサイでは個人の私邸をお借りすることなども視野に入れながら対応しています。

 ゲルバーのために用意した部屋は、別の出演者のために使用することになりそうです。その出演者の部屋をまた別の出演者に……。公演自体の中止・延期も含めて、このところは毎日、欠けたピースにほかのピースをはめ込むパズルのようなやりくりに頭を悩ませ、ため息を繰り返しています。

 1都3県の宣言の再延長により、見通しがいっそう悪くなっているのは事実です。今後もさらに、公演中止や日程変更のお知らせをしなければならないかもしれません。チケット発売もぎりぎりになり、ご迷惑をおかけするかもしれませんが、なにどぞご理解くださいますようお願い申し上げます。





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