JOURNAL

ふじみダイアリー 今日のハルサイ事務局

下町の老舗の心意気が沁みます

「せっかく来たんだから、どうぞ!」
 と、美味しそうな名物のあんみつを出してくれる老舗甘味屋さんのご主人。
 音楽祭にご支援・ご協力いただいている地元・上野の商店街に打ち合わせに伺うと、街の皆さんのあたたかい言葉に、下町ならではの人情さをいつもひしひしと感じます。

「音楽祭もコロナで大変ですね。でもアメ横に出す広告の旗、今年も出してくれますよね。あれがないと、春が来た気がしなくて。今年も商店街で半分費用を持つから、絶対にお願いしますよ!」
 ああ、ここでやってよかった! スタートから17年。音楽祭をコンサートホールの中に閉じ込めるのでなく、地域の活性化にもつなげたい。東京・春・音楽祭は上野の街の皆さんと一緒に歩んできました。

 聞けばやはりコロナ禍でお店の経営にはさまざまなご苦労があるようです。外出自粛の影響でお客様が来ないのなら、いっそ休業してしまったほうが経済的なダメージを抑えられるのだけれど、従業員の方々の雇用や仕入れ業者さんの売り上げを維持するため、赤字覚悟であえて時短営業しているというお店か少なくありません。旦那や女将さんたちの心意気。こちらもなんだか勇気づけられるような気がします。

 東京・春・音楽祭で毎年開催している「桜の街の音楽会」は、街頭やお店、公共のスポットで無料で音楽を楽しんでいただける好評企画です。残念ながら今年は、不特定多数の方が集まって密になる事態を避けるため、従来の形での開催は難しそうです。でもたとえば会場で事前に収録した演奏動画をWebにアップするなど、何らかの方法で「桜の街の音楽会」の精神をお伝えできる方向を模索しているところです。世界の全員で困難を乗り越えたとき、桜の花に彩られた上野の街角で、うららかな陽光を浴びて音楽を楽める日が、必ずまた戻ってくることを確信しながら。

2度目の緊急事態宣言で始まった2021年。開催準備が佳境を迎えている東京・春・音楽祭も、大小の変更や新たな対応を余儀なくされています。しかし、ほとんどの公演を中止・延期せざるを得なかった昨年の悔しさは2度と味わいたくありません。1カ月先の状況が見通せないという、まさに緊急事態が続くなか、3月19日の開幕日に、無事に皆さまをお迎えできることを信じて、全力で努力を重ねているところです。「ふじみダイアリー」では、現在直面しているさまざまな課題や、準備の進捗状況などをお知らせしていきます。




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