PROGRAMプログラム

東京・春・音楽祭-東京のオペラの森2014-

ミュージアム・コンサートピアノ音楽紀行~パリ
山田武彦

プログラム詳細

© 堀田力丸
■日時・会場
2014.3.29 [土] 14:00開演(13:30開場)※ この公演は終了いたしました。
東京都美術館 講堂

■出演
ピアノ:山田武彦

■曲目
ダングルベール:前奏曲(《組曲 第3番 ニ短調》より)
ダカン:かっこう(《クラヴサン曲集 第1巻》組曲 第3番より)speaker.gif[試聴]
フォーレ:ヴァルツ・カプリス 第1番 イ長調 op.30 speaker.gif[試聴]
フランク:前奏曲、コラールとフーガ speaker.gif[試聴]
ドビュッシー(山田武彦編):牧神の午後のための前奏曲 speaker.gif[試聴]
ドビュッシー:喜びの島 speaker.gif[試聴]
メシアン:喜びの聖霊のまなざし(《幼な子イエスにそそぐ20の眼差し》より)speaker.gif[試聴]
H.ベルグ(山田武彦編):脱走兵
[アンコール]
ドビュッシー:月の光

【試聴について】
speaker.gif[試聴]をクリックすると外部のウェブサイト「ナクソス・ミュージック・ライブラリー」へ移動し、
プログラム楽曲の冒頭部分を試聴いただけます。
ただし試聴音源の演奏は、「東京・春・音楽祭」の出演者および一部楽曲で編成が異なります。


~ピアノ音楽紀行~

出演者

ピアノ:山田武彦 Takehiko Yamada 東京藝術大学大学院にて作曲を学んだ後、1993年フランス政府給費留学生としてパリ国立高等音楽院ピアノ伴奏科に入学、同クラスの7種類の卒業公開試験を、審査員の満場一致により首席で一等賞(プルミエ・プリ)を得て卒業。数多くの演奏者と共演、的確でおおらかなアンサンブル、色彩豊かな音色などが好評を博し、コンサート、録音、放送等の際のソリストのパートナーとして ▼続きを見る 厚い信頼を得ている。また、2004年より“イマジン七夕コンサート”音楽監督、2007年より“下丸子クラシックカフェ”ホスト役を担当するなど、ユニークなコンサートの企画にも参加している。現在は洗足学園音楽大学教授・作曲コース統括責任者。ピアノ&作曲マスタークラスチーフ。楽曲分析、和声法、対位法、伴奏法などの講座を担当。全日本ピアノ指導者協会正会員、日本ソルフェージュ研究協議会理事。

© Wataru Sato ▲プロフィールを閉じる

ピアノ:山田武彦 Takehiko Yamada

■曲目解説

ダングルベール:
前奏曲(《クラヴサン曲集 組曲 第3番 ニ短調》より) (1689)
 フランスのバロック全盛期に活躍したジャン=アンリ・ダングルベールは、フランス・クラヴサン楽派の創始者シャンボニエールに師事し、その後任としてルイ14世の宮廷クラヴサン奏者となった。《組曲第3番》は《クラヴサン曲集》に収められた4つの組曲のひとつ。「前奏曲」は17世紀後半のフランスのクラヴサン組曲に見られる「プレリュード・ノン・ムジュレ(拍節のない前奏曲)」の様式を採っており、一部の旋律線以外は小節線のない全音符のみで記されている。

ダカン:かっこう(《クラヴサン曲集 第1巻 第3組曲》より) (1735)
 ルイ=クロード・ダカンは、ラモーと並ぶフランス・バロック後期の作曲家・鍵盤楽器奏者。主要な教会のオルガン奏者を歴任し、最終的にはノートルダム大聖堂のオルガン奏者となった。「かっこう」は、4つの組曲を収めた《クラヴサン曲集第1巻》の第3組曲の1曲目。かっこうの鳴き声を模して繰り返されるホ短調の短三度が印象的である。

フォーレ:ヴァルス=カプリス 第1番 (1882)
 19世紀後半、社会の主役に踊り出た裕福なパリ市民のサロンでは、ウィーンの影響などもあって、華やかなワルツがもてはやされた。「ヴァルス=カプリス」は、奇想曲の即興的要素を取り入れたワルツで、この時代の流行を表している。フォーレは同名の作品を4曲作曲しているが、この第1番は初期のフォーレらしい豊かな旋律を特徴としている。

フランク:前奏曲、コラールとフーガ (1884)
 歌曲や舞台音楽に偏りがちだったフランスに、独自の器楽音楽の伝統を根付かせる目的で1871年、「国民音楽協会」が設立された。フランクは、サン=サーンスやフォーレらとともにその設立に参加し、のちに代表も務めた。「前奏曲、コラールとフーガ」は1884年の作曲。生涯にわたり教会のオルガニストを務めたフランクらしい作風を持っており、前奏曲にはバッハ主題(B–A–C–H)が用いられている。

ドビュッシー(山田武彦編):牧神の午後への前奏曲(1894)
 1894年、国民音楽協会の演奏会において、音楽による空間表現への扉を開き、20世紀の芸術音楽を予見した作品が初演された。《牧神の午後のための前奏曲》である。ドビュッシーが象徴派の詩人マラルメの同名詩からインスピレーションを得て作曲した管弦楽作品で、彼の実質的な出世作と言える。ニンフを目にした半獣神が気だるいまどろみのなかで陶然と欲望に耽るという白昼夢を、モーダルな手法で奏でる。

ドビュッシー:喜びの島 (1904)
 アントワーヌ・ヴァトーの絵画『シテール島への巡礼』に触発された作品で、これも国民音楽協会の演奏会で初演された。シテール島はギリシャ神話の美神アフロディテゆかりの島で、ヴァトーはそれを「田園に集って愛を語り合う若い男女のグループの宴」として描いた。そうした世界をドビュッシーはピアノの技巧を駆使し、色彩の変化や連なりによる夢幻の世界として表現している。

メシアン:
喜びの聖霊のまなざし(《幼な子イエスにそそぐ20のまなざし》より) (1944)
 《幼な子イエスにそそぐ20のまなざし》は、20世紀フランス音楽を主導したメシアンが1944年に作曲した全20曲、120分を超える大作。「喜びの精霊のまなざし」はその第10曲にあたる。初演時のメシアン自身の解説には「荒々しい踊り、角笛の喜びに満ちた音、狂喜する聖霊……祝福された神の喜びに満ちた愛がイエス・キリストの魂に宿る」とある。

B.ヴィアン− H.ベルグ(山田武彦編):脱走兵 (1954)
 本曲は、フランスの作家・詩人のボリス・ヴィアンがインドシナ戦争中に作詞した反戦歌として人気を博した。大統領宛に反戦を訴える脱走兵の手紙のかたちをとっており、当時のフランスで熱狂的に迎えられたが、放送禁止曲にもなった。


主催:東京・春・音楽祭実行委員会 共催:東京都美術館
協力:タカギクラヴィア株式会社/日東紡音響エンジニアリング株式会社


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