東京・春・音楽祭-東京のオペラの森2014-
ミュージアム・コンサートピアノ音楽紀行~北欧
田部京子
プログラム詳細
2014:04:06:14:00:00
2014.4.6 [日] 14:00開演(13:30開場)
東京都美術館 講堂
■出演
ピアノ:田部京子
■曲目
O.メリカント:ワルツ・レント op.33
パルムグレン:5月の夜(組曲《春》op.27 より)
ペッテション=ベリエル:《フレースエーの花々》第1集 op.16 より
夏の歌
ローンテニス
シベリウス:
ロマンス(《10の小品》op.24 より)
5つの小品集《樹の組曲》op.75より
ピヒラヤの花咲くとき

白樺の木

樅の木

5つの小品集《花の組曲》op.85より
ひな菊
カーネーション
《5つのロマンティックな小品》op.101 より
ロマンス

ロマンティックな情景

グリーグ:
《ペール・ギュント》第1組曲 op.46

朝
オーゼの死
アニトラの踊り
山の魔王の宮殿にて
《抒情小曲集》より
アリエッタ (第1集 op.12より)

ノクターン (第5集 op.54より)

春に寄す (第3集 op.43より)

小人の行進 (第5集 op.54より)

あなたのおそばで (第9集 op.68より)

トロルドハウゲンの婚礼の日 (第8集 op.65より)

グリーグ:
《ホルベアの時代から》より「ガヴォット」
「君を愛す」
【試聴について】

プログラム楽曲の冒頭部分を試聴いただけます。
ただし試聴音源の演奏は、「東京・春・音楽祭」の出演者および一部楽曲で編成が異なります。
~ピアノ音楽紀行~
出演者
ピアノ:田部京子 Kyoko Tabe
東京藝術大学附属音楽高校在学中、日本音楽コンクールに最年少で第1位に輝き一躍注目を集めた。東京藝術大学に進学後、文化庁派遣芸術家在外研修員としてベルリン芸術大学に留学。
エピナール国際ピアノコンクール第1位、シュナーベルコンクール第1位、ミュンヘン国際音楽コンクール(ARD)第3位、ショパン国際ピアノコンクール最優秀演奏賞など輝かしい成績を収める。
メリカント:ワルツ・レント
オスカル・メリカントはフィンランドの音楽家で、生前、同国ではシベリウスと同等以上の人気を誇っていたという。本曲は、そんなメリカントの愛らしい小品。1898年に出版された。
パルムグレン:組曲《春》より「5月の夜」
フィンランドの作曲家、セリム・パルムグレンはピアニストとしても活躍し、多くのピアノ曲や合唱曲を残した。特にこの「5月の夜」は演奏頻度が高く、全編にわたって四分音符の和音が上下するなかに短いテーマが織り込まれていくユニークな曲である。
ペッテション=ベリエル:《フレースエーの花々》より「夏の歌」「ローンテニス」
ヴィルヘルム・ペッテション=ベリエルの《フレースエーの花々》は、自身が居を構えたフレースエー島(スウェーデン・イェムトランド県)の風土を音楽で綴った作品で、彼の代表作。「夏の歌」は、短い北欧の夏の喜びを伸びやかに歌っている。「ローンテニス」は、十六分音符の流れるような旋律が明るい陽光のなか遊戯に興じる人々を連想させる。
シベリウス:《10の小品》より「ロマンス」
《10の小品》(作品24)は、1894年から1903年までの約10年間に書かれた小品をまとめたもので、第9曲「ロマンス」は1903年の作曲。シベリウスのピアノ作品のなかでも特に有名な1曲で、透明感あふれる叙情性を堪能できる。
シベリウス:《樹木の組曲》より「ピヒラヤの花咲くとき」「白樺の木」「樅の木」
《樹木の組曲》という通称を持つ「5つの小品集」(作品75)は、交響曲第5番などと同時期の作品で、簡潔かつ内省的なシベリウスの作風をよく表している。第1曲「ピヒラヤの花咲くとき」は、頻繁に拍子と調性を変えながら、最後は四分の四拍子・ト長調に落ち着く。第4曲「白樺の木」は、風になびく白樺を描いた絵を見るような作品。ちなみにフィンランドの国樹と言えば「白樺」とのこと。第5曲「樅の木」は、北欧において生命と死の象徴とされる樅の木から、民族の遠い記憶が語りかけてくるような音楽である。
シベリウス:《花の組曲》より「ひな菊」「カーネーション」
こちらは作品75とは対照的に、身近な「花」に寄せる親しみの感情にあふれた小品集で、作曲は1916年。第1曲「ひな菊」は、風に揺れる可憐なひな菊の様子が細かなリズムで表現される。第2曲「カーネーション」では、左手の分散和音に乗ってカーネーションの優しい佇まいが描き出される。
シベリウス:《5つのロマンティックな小品》より「ロマンス」「ロマンティックな情景」
シベリウス晩年のピアノ作品で全5曲からなる。「ロマンス」はその第1曲。作品24の「ロマンス」と同名だが、音楽面でも近似性が感じられるのではないだろうか。第5曲「ロマンティックな情景」は、本曲集の白眉。静かに流れるメロディは、まさにシベリウスの枯淡の境地と言えよう。
グリーグ:《ペール・ギュント》第1組曲
もともとは、イプセンの戯曲『ペール・ギュント』のための劇付随音楽。同作は劇場上演を意図しないレーゼドラマとして書かれたので、実際の上演にあたってイプセンは、構成上の弱点を補う目的でグリーグに音楽を依頼した。テーマや構成をめぐって作曲は難航したが、1875年に完成。翌年の上演も成功裡に終わり、グリーグの名声は一段と高まった。そして1888年、グリーグは26曲からなる劇音楽より4曲を抜粋して「第1組曲」(管弦楽版)を編み、さらにピアノ用にも編曲した。
第1曲「朝」は第4幕の前奏曲、第2曲「オーゼの死」は第3幕の前奏曲と第4幕の劇音楽、第3曲「アニトラの踊り」は第4幕、第4曲「山の魔王の宮殿にて」は第2幕の劇音楽である。
グリーグ:《抒情小曲集》より
「アリエッタ」「ノクターン」「春に寄す」「小人の行進」「あなたのおそばで」「トロルドハウゲンの婚礼の日」
一般には《ペール・ギュント》やピアノ協奏曲などの人気が高いが、グリーグの本領は、北欧の自然や伝統文化、心情などを繊細な筆致で描いたピアノ曲や室内楽にあると言える。《抒情小曲集》は、1867年に出版された第1集から1901年の第10集まで書き継がれたピアノ独奏曲集で、それぞれ数曲程度の小品が収められている。
今回は、第1集(1867)から「アリエッタ」、第3集(1886)から「春に寄す」、第5集(1891)から「ノクターン」と「小人の行進」、第8集(1896)から「トロルドハウゲンの婚礼の日」、第9集(1899)から「あなたのおそばで」が取り上げられる。
主催:東京・春・音楽祭実行委員会 共催:東京都美術館
協力:タカギクラヴィア株式会社/日東紡音響エンジニアリング株式会社/日本コロムビア株式会社