PROGRAMプログラム

東京・春・音楽祭-東京のオペラの森2014-

ミュージアム・コンサートピアノ音楽紀行~ロシア
アレッシオ・バックス

プログラム詳細

© 青柳 聡
■日時・会場
2014.3.16 [日] 14:00開演(13:30開場)※ この公演は終了いたしました。
東京都美術館 講堂

■出演
ピアノ:アレッシオ・バックス

■曲目
ラフマニノフ:
 前奏曲 嬰ハ短調op.3-2 speaker.gif[試聴]
 ヴォカリーズ op.34-14(バックス編)speaker.gif[試聴]
 前奏曲 変ト長調 op.23-10 speaker.gif[試聴]
 ゴパック(ムソルグスキー:歌劇《ソロチンスクの市》より)speaker.gif[試聴]
 前奏曲 ト長調 op.32-5 speaker.gif[試聴]
 前奏曲 ト短調 op.23-5 speaker.gif[試聴]
ムソルグスキー:組曲《展覧会の絵》speaker.gif[試聴]
クライスラー(ラフマニノフ編)
 愛の悲しみ
 愛の喜び
ムソルグスキー:組曲《展覧会の絵》
[アンコール]
ベートーヴェン(バックス編):トルコ行進曲
ブラームス(バックス編):ハンガリー舞曲 第5番

【試聴について】
speaker.gif[試聴]をクリックすると外部のウェブサイト「ナクソス・ミュージック・ライブラリー」へ移動し、
プログラム楽曲の冒頭部分を試聴いただけます。
ただし試聴音源の演奏は、「東京・春・音楽祭」の出演者および一部楽曲で編成が異なります。


~ピアノ音楽紀行~

出演者

ピアノ:アレッシオ・バックス Alessio Bax 1977年イタリア生れ。9歳でバーリ音楽院に入学、通常10年かかるコースを5年で修了し首席で卒業。16歳で全額奨学金を受けアメリカ・ダラスの南メソジスト大学に入学、スペイン人の巨匠ホアキン・アチュカロに師事し、ピアノ演奏コースで音楽修士号を取得。1997年第3回浜松国際、2000年リーズ国際ピアノ・コンクール優勝。
これまでに、欧米の主要オーケストラやNHK交響楽団等、90以上のオーケストラと共演。 ▼続きを見る 世界各地でリサイタルを行うほかジョシュア・ベル、スティーヴン・イッサリース、今井信子などと室内楽で共演。また、ロンドンのクイーン・エリザベス・ホール国際ピアノ・シリーズ、ヴェルビエ音楽祭をはじめとする多くの国際音楽祭に招かれている。
2012年シーズンはユーリ・テルミカーノフ指揮サンクトペテルブルク・フィルとの再共演でサンクトペテルブルク冬の音楽祭のオープニングを飾るほか、ソル・ガベッタ(チェロ)との共演によるカーネギー・ホール・デビュー、リンカーンセンター室内楽協会での公演、合衆国内外でのリサイタル等が予定されている。
録音も多く、これまでに『バロック・リフレクションズ』『ラフマニノフ前奏曲&メロディー』『ブラームス作品集』『モーツァルト協奏曲第24番、第27番ほか』をリリース(シグナム・レコード)。
2009年エイヴリー・フィッシャー・キャリア・グラントを受賞。演奏活動の傍ら、南メソジスト大学で後進の指導にあたっている。ニューヨーク在住。 ▲プロフィールを閉じる

ピアノ:アレッシオ・バックス Alessio Bax

■曲目解説

ラフマニノフ:
前奏曲 嬰ハ短調(op.3-2)、前奏曲 変ト長調(op.23-10)、前奏曲 ト長調(op.32-5)、
前奏曲 ト短調(op.23-5)、ヴォカリーズ(op.34-14/バックス編)、
ゴパック(ムソルグスキー:歌劇《ソロチンスクの市》より)

 ラフマニノフは、ロシア国民楽派のなかでも「西欧派」と言われたモスクワ音楽院の出身。「前奏曲 嬰ハ短調」は、ラフマニノフが同音楽院を卒業した1892年に作曲され、彼の代名詞的作品となった曲である。この作品には「鐘」という副題が付けられることがあるが、それは冒頭から全曲を通じて奏でられる3つの和音と、それに呼応する高音部の主題がロシア正教会の鐘(カリヨン)の響きを模していることに由来する。
 ラフマニノフはこの他に、作品23の《10の前奏曲》(1903)と、作品32の《13の前奏曲》(1910)と合わせて、24のすべての調性の前奏曲を作曲している。もちろんこれはバッハやショパンの前例に倣ったものだが、24曲を大きな1つの作品として構成する考えはなかったようだ。今回はそのうち、作品23から第5番ト短調と第10番変ト長調が、作品32からは第5番ト長調が演奏される。曲はシンプルな3部形式を基本とし、印象主義風の揺らめくリズム・旋律とラフマニノフらしい叙情性を併せ持っている。
 「ヴォカリーズ」は《14の歌曲集》作品34の最後に置かれた作品。本来はソプラノ(またはテノール)のための曲で、歌詞を持たずに母音だけで歌われる。メロディアスで甘美な楽想が人気を博し、ピアノやヴァイオリンなど独奏楽器用に編曲された。
 「ゴパック」は、ラフマニノフがロシア革命の難を逃れてアメリカに亡命したあとの作品で、ムソルグスキーの歌劇《ソロチンスクの市》の第3幕に登場する舞曲がもとになっている。ちなみに「ゴパック」とは、ウクライナのコサック・ダンスに由来する民族舞踏である。

クライスラー(ラフマニノフ編):愛の悲しみ、愛の喜び
 プログラム前半を締めくくるのは、ラフマニノフがピアノ用に編曲したクライスラー作曲の「愛の悲しみ」「愛の喜び」。ヴァイオリン・リサイタルのアンコール・ピースとして演奏されることも多いお馴染みの曲で、クライスラーならではの名調子を堪能できる。

ムソルグスキー:組曲《展覧会の絵》
 「ロシア国民楽派」を主導し、主に1850年代後半から70年代にかけて活躍した「五人組」のなかでも、ムソルグスキーは「反西欧・反プロフェッショナリズム・反アカデミズム」という五人組の理念を、音楽的にもっともよく体現した作曲家といえる。
 粗野で荒々しいリズムが叩き付けられ、和声がぶつかり合い、そこから色彩豊かな響きが放射されたかと思うと、繊細な音色が紡いだ糸の間からこぼれるような光の粒が煌めく――そんな鮮やかな対比が当時としては斬新なものとして受けとめられた。
 組曲《展覧会の絵》(1874)は、1922年にラヴェルが編曲した管弦楽版によって広く世界に知られるようになったが、原曲は、39歳で急逝したムソルグスキーの親友で建築家・画家のヴィクトル・ハルトマンの回顧展における絵の印象を、音の絵画風に描いたピアノ独奏のための組曲である。
 本作はムソルグスキーの生前には一度も演奏されず、出版もされなかった。そして1886年に出版されたピアノ譜も、発見者のリムスキー=コルサコフの改訂が施されたものだった。ピアノ版が一般にも知られるようになったのはホロヴィッツが編曲・録音してからで、さらに原典版が再評価され始めたのは、リヒテルが1958年に録音して以降のことだった。


主催:東京・春・音楽祭実行委員会 共催:東京都美術館
協力:タカギクラヴィア株式会社/日東紡音響エンジニアリング株式会社

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