PROGRAMプログラム

東京・春・音楽祭-東京のオペラの森2014-

ミュージアム・コンサート東博でバッハ vol.21 ウェン=シン・ヤン(チェロ)

プログラム詳細

2014:04:10:19:00:00

© 堀田力丸
■日時・会場
2014.4.10 [木] 19:00開演(18:30開場)
東京国立博物館 法隆寺宝物館エントランスホール

■出演
チェロ:ウェン=シン・ヤン

■曲目
J.S.バッハ:無伴奏チェロ組曲 第1番 ト長調 BWV1007 speaker.gif[試聴]
ライマン:ソロⅠ(1981) speaker.gif[試聴]
J.S.バッハ:無伴奏チェロ組曲 第2番 ニ短調 BWV1008 speaker.gif[試聴]
ライマン:ソロⅡ(2002)
J.S.バッハ:無伴奏チェロ組曲 第3番 ハ長調 BWV1009 speaker.gif[試聴]
[アンコール]
J.S.バッハ:無伴奏チェロ組曲 第1番 ト長調 BWV1007より 第1曲 プレリュード

【試聴について】
speaker.gif[試聴]をクリックすると外部のウェブサイト「ナクソス・ミュージック・ライブラリー」へ移動し、
プログラム楽曲の冒頭部分を試聴いただけます。
ただし試聴音源の演奏は、「東京・春・音楽祭」の出演者および一部楽曲で編成が異なります。


~東博でバッハ~

出演者

チェロ:ウェン=シン・ヤン Wen-Sinn Yang 1965年スイス・ベルン生まれのウェン=シン・ヤンは両親が台湾人である。チューリッヒでクロード・スターク、ベルリンのウルフガング・ベッチャーに師事、マスタークラスをヤーノシュ・シュタルケル、ダーヴィド・ゲリンガスに師事。24歳にして、バイエルン放送交響楽団の首席チェロ奏者となる。▼続きを見る
1991年、ヤンはジュネーブ国際音楽コンクールで優勝。それ以来、ヨーロッパ、台湾、日本において、 ロリン・マゼール、サー・コリン・デイビス、ウルフガング・サヴァリッシュ、セミヨン・ビシコフ、ユーリ・テミルカーノフ、マリス・ヤンソンス等の世界的な指揮者と共演している。また、サン・モーリッツ、ダヴォス、ビエル、ドレスデン等のフェスティバルにもしばしば招待されている。
ヤンは、ロリン・マゼールの指揮の下、バイエルン放送交響楽団のソリストとしてたびたび共演している。楽団のムジカ・ビバ・コンサート・シリーズの50周年を記念し、ヤンはマゼール作曲の「チェロとオーケストラのための協奏曲」のヨーロッパ初演を果たした。さらに、イタリア、スペイン、アトランタのカルチャー・オリンピアードのオープニング・コンサートにも出演している。97年には台北においてフアン=ロン・パン作曲のチェロ協奏曲、ミュンヘンにおいてケビン・ヴォランス作曲のチェロ協奏曲を世界初演した。
ヤンはまた教師としても高い評判を得ている。1995~97年にかけて、ザールブリュッケン音楽院で教鞭をとり、2004年10月からはミュンヘン音楽大学の教授を務めている。また、現在でもドイツ、イタリア、スイス等でチェロのマスタークラスを数多く受け持っている。
ヤンの広大なレパートリーは多くがCDに収録されている。20以上もCD収録があり、ハイドン、シューマン、チャイコフスキー(ロココ・ヴァリエーション)のチェロ協奏曲が含まれる。ARTSミュージック・レーベルでは、高度な24バイト/96kHzテクノロジーを利用して、ルイジ・ボッケリーニの4つの協奏曲をCDとDVDオーディオに収録している。2004年、ARTSミュージックでは、ドヴォルザーク作曲のチェロとオーケストラのための協奏作品全曲のCDを発売している。さらに、ヤンはバイエルン放送TVとのコラボレーションで、アートハウス・ミュージック・レーベルからJ.S.バッハのソロ組曲のCD/DVDを製作した。
2005年、大阪と東京において佐渡裕指揮/スーパー・ワールド・オーケストラとソリストとして共演、2008年には外山雄三指揮/NHK交響楽団と共演した他、初のリサイタル・ツアーを行った。また2009年来日時は東京交響楽団との共演のほか、N響のチェリスト3名とチェロ・カルテットとしてリサイタルを行い好評を得た。2011年にはダニエル・ハーディング指揮/新日本フィルとエルガーの協奏曲を、日本センチュリー響とは小泉和裕指揮のもとショスタコーヴィチの第1番を共演した。また、2006年夏からはアフィニス・フェスティバルの講師として度々招かれている。

© 竹原伸治 ▲プロフィールを閉じる

チェロ:ウェン=シン・ヤン Wen-Sinn Yang

■曲目解説

J.S.バッハ:無伴奏チェロ組曲
 無伴奏チェロ組曲(全6曲)が書かれたのは、ケーテンの宮廷楽長時代(1717~23年)の前半と推測されている。組曲の構造は、定型であるアルマンド/クーラント/サラバンド/ジーグの4つの舞曲形式を基本として、第1曲に前奏曲が、ジーグの前の第5曲にメヌエット・ガヴォット・ブーレのいずれかの流行舞曲が置かれる。
無伴奏チェロ組曲 第1番
 ト長調はチェロの指使いに適した調性であり、非常に伸びやかな響きを生み出す。第1曲プレリュードは、本組曲を代表するほど有名な曲であり、間断なく続く16分音符の流れが、その背後で進む和声を感じさせる。第2曲は寛ぎのアルマンド、第3曲はイタリア型の速いクーラント、第4曲は優雅なサラバンド、第5曲には2つのメヌエットが用いられている。第6曲は軽快な短いジーグで最後を飾る。
無伴奏チェロ組曲 第2番
 ニ短調という調性は、音楽を内省的な方向へと導く。第1曲プレリュードは、和声よりも旋律に重点が置かれている。第2曲は高度な技巧が要求される情熱的なアルマンド、第3曲は情熱がさらに加速するようなイタリア型クーラント、第4曲は引き伸ばされた旋律に和音が重なる典雅なサラバンド。第5曲の2つのメヌエットでは、主調の第1メヌエットがニ短調、第2メヌエットがニ長調となり、古風な響きを醸し出す。第6曲フランス風のジーグは、重音がドローン(持続低音)のような響きを生む瞬間が印象的である。
無伴奏チェロ組曲 第3番
 ハ長調はチェロの重音に適しており、低音の響きが心地よい。第1曲プレリュードは淀みなく流れる16分音符がスケール感を生む。第2曲は愛らしさを持つ陽気なアルマンド。第3曲は音階的な分散和音とスラーで奏されるイタリア型クーラント。第4曲は落ち着いたサラバンドのリズムに旋律が勝っていく瞬間が美しい。第5曲ブーレは演奏会用の小品として取り上げられる機会も多い。第6曲は終曲にふさわしい伸び伸びとしたジーグとなっている。

ライマン:ソロⅠ、ソロⅡ
 現代ドイツの作曲家アリベルト・ライマンはピアニスト出身で、若き日にはフィッシャー=ディースカウらの伴奏者を務めたこともある。したがって声楽に造詣が深く、創作でも舞台・声楽作品が多い。今回のような室内楽、それも無伴奏作品は演奏頻度も少なく、貴重である。
 1981年に書かれた「ソロⅠ」は、チェロの音色が幽冥の世界における人の声、あるいはそこで交わされるくぐもった会話を想わせ、どんな形態であれ、ライマンの作品の根底には「声」があることを感じさせる。
 2002年に書かれた「ソロⅡ」では、より振幅の度合いが大きくなっており、チェロという楽器のあらゆる技巧が試され、難度も高い。



主催:東京・春・音楽祭実行委員会 共催:東京国立博物館 協力:日東紡音響エンジニアリング株式会社


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