PROGRAMプログラム

東京・春・音楽祭-東京のオペラの森2014-

ミュージアム・コンサート東博でバッハ vol.19 山崎伸子(チェロ)& 小林道夫(チェンバロ)

プログラム詳細

© 堀田力丸
■日時・会場
2014.3.26 [水] 19:00開演(18:30開場)※ この公演は終了いたしました。
東京国立博物館 法隆寺宝物館エントランスホール

■出演
チェロ:山崎伸子
チェンバロ:小林道夫

■曲目
J.S.バッハ:
 ヴィオラ・ダ・ガンバ・ソナタ 第2番 ニ長調 BWV1028 speaker.gif[試聴]
 ヴィオラ・ダ・ガンバ・ソナタ 第1番 ト長調 BWV1027 speaker.gif[試聴]
レーガー:無伴奏チェロ組曲 第2番 ニ短調 op.131c-2 speaker.gif[試聴]
J.S.バッハ:
 ヴィオラ・ダ・ガンバ・ソナタ 第3番 ト短調 BWV1029 speaker.gif[試聴]
[アンコール]
J.S.バッハ:トッカータ、アダージョとフーガ BWV564より アダージョ

【試聴について】
speaker.gif[試聴]をクリックすると外部のウェブサイト「ナクソス・ミュージック・ライブラリー」へ移動し、
プログラム楽曲の冒頭部分を試聴いただけます。
ただし試聴音源の演奏は、「東京・春・音楽祭」の出演者および一部楽曲で編成が異なります。


~東博でバッハ~

出演者

チェロ:山崎伸子 Nobuko Yamazaki 広島生まれ。「子供のための音楽教室」広島分室を経て、桐朋女子高等学校音楽科、同大学音楽学部卒業。齋藤秀雄、レイヌ・フラショー、堤剛、安田謙一郎、藤原真理各氏に師事。
第1回民音室内楽コンクール第1位、第44回日本音楽コンクール・チェロ部門第1位。卒業後、文化庁海外派遣研修員として、2年間ジュネーブでピエール・フルニエに師事。
▼続きを見る 帰国後は日本国内の主要オーケストラとの共演、リサイタル、室内楽のほか、サントリーホール・オープニングシリーズでイギリス室内管弦楽団との共演をはじめ、スイス・ロマンド管弦楽団や、バンベルク交響楽団のソリストに選ばれるなど、活躍を続けている。 また、カザルスホール主催のチェロ連続リサイタルでも卓越した音楽性が高く評価された。 さいたまアーツシアター・カルテットの主軸として、ベートーヴェンの弦楽四重奏全曲に取り組むなど、室内楽においても卓越した音楽性を発揮している。最近では、マルタ・アルゲリッチ、堀米ゆず子等とサントリーホールにて共演。「見事に自身の歌を聴かせて情感の幅をより豊かに、またふくよかにしてくれた山崎の充実ぶりも驚異的だった。感動と同時に感謝である。」(諸石幸生:音楽の友2005年3月号より) 1987年「村松賞」、「グローバル音楽賞第1回奨励賞」受賞。第49回レコード・アカデミー賞<室内楽曲部門>「チェロ・リサイタル4」(共演:野平一郎)を受賞。 12年度『東燃ゼネラル音楽賞』(旧:エクソンモービル音楽賞)奨励賞受賞。 現在、東京藝術大学教授。

© 武藤 章 ▲プロフィールを閉じる

チェロ:山崎伸子 Nobuko Yamazaki

チェンバロ:小林道夫 Michio Kobayashi 東京藝術大学音楽学部楽理科卒業。在学中より伴奏者として活動を始めた。1956年毎日音楽賞新人奨励賞を受賞。この頃より中山悌一氏の伴奏者に選ばれ、ドイツ音楽について同氏より徹底した訓練薫陶を受けた。
1960年前後から、来日した世界的な音楽家たちとの共演が始まり現在までに、声楽では▼続きを見る ヤノヴィッツ、アメリング、マティス、デ・ラ・カーザ、オジェー、ヘフリガー、シュライヤー、エクヴィルツ、ヒュッシュ、フィッシャー・ディスカウ、プライ、器楽ではランパル、ツェラー、ニコレ、グラーフ、ラルデ、ラリュー、コッホ、ホリガー、ダム、スーク、シルヴァースタイン、ヘッツェル、ヘルシャー、ベッチャー、フルニエ等の芸術家たち、また、カラヤン指揮のベルリン・フィルハーモニー管弦楽団、ミュンヒンガー指揮のシュトゥットガルト室内オーケストラとステージをともにしている。
1965年北西ドイツ音楽アカデミー(デトモルト市)に留学。チェンバロと室内楽を学び1966年秋に帰国後は、鍵盤楽器奏者、室内楽奏者、伴奏者、また、指揮者として極めて多方面にわたって活躍している。 1970年第1回鳥井音楽賞(現在のサントリー音楽賞)を受賞。1972年ザルツブルク国際財団モーツァルテウムより記念メダルを受けた。1979年モービル音楽賞を受賞。
国立音楽大学大学院教授、東京藝術大学客員教授、大阪芸術大学大学院教授を経て、現在は大分県立芸術文化短期大学客員教授。 ▲プロフィールを閉じる

チェンバロ:小林道夫 Michio Kobayashi

■曲目解説

J.S.バッハ:ヴィオラ・ダ・ガンバ・ソナタ 第1番~第3番
 楽器を弾く際に、脚で挟んだり膝の上に立てたりするスタイルをとることから、イタリア語で「ガンバ(膝・脚)のヴィオラ」と呼ばれるヴィオラ・ダ・ガンバは、17世紀後半から18世紀前半にかけて黄金期を迎え、18世紀中頃には衰退の途にあった。
 バッハによる3曲の《ヴィオラ・ダ・ガンバ・ソナタ》BWV1027~29の成立は、1720年頃、バッハのケーテン宮廷楽長時代と推測されている。ケーテンの宮廷楽団にはアーベルというガンバの名手がいたことも、作曲の動機であったかもしれない。3曲とも、「ヴィオラ・ダ・ガンバ」と「チェンバロの右手」という上声2部の独奏パートと、「チェンバロの左手」という低音旋律パートからなっている。これは、2つの楽器によるトリオ・ソナタとも言える形である。今日、この3曲は、チェロとチェンバロで演奏されることも多い。
 第1番 BWV1027は、「緩/急/緩/急」の教会ソナタ形式で書かれている。全曲を通じて、なだらかな旋律のゆったりとした美しさを持つ典雅な曲である。なお、本作は《2つのフルートと通奏低音のためのソナタ》BWV1039と同曲で、オルガン作品への改編もみられる。第2番 BWV1028も、やはり教会ソナタの形式をとるが、ニ長調という明るい調性にもかかわらず、どこか思索的な影の差す音楽となっている。緩急楽章のコントラストが見事で、特に第3楽章アンダンテは、2つの上声の主題旋律が切れ目なく続き、美しい。第3番 BWV1029は、前2作と違い、「急/緩/急」3楽章構成の協奏曲風形式となっており、スケールも3曲中最も大きい。第1楽章冒頭から《ブランデンブルク協奏曲 第3番》冒頭にも似た主題が歌い出され、全曲を通じて内容的にも技巧的にも充実した作品である。

レーガー:無伴奏チェロ組曲 第2番
 1914年に書かれた3曲の無伴奏チェロ組曲は、それぞれ当時の高名なチェロ奏者に捧げられている。この第2番は、ベルリンで名声を博していたフーゴ・ベッカーに捧げられた。バッハの無伴奏チェロ組曲第2番と同じニ短調という調性を持ち、3曲の中では唯一、4楽章構成となっている。古典的な響きを持ちながら、レーガーのロマン主義的な情熱が注ぎ込まれている。
 第1曲プレリュードは、古典的な香りを湛えて、淀みのない情感あふれる楽想が紡がれる。素朴な足取りの軽快な第2曲ガヴォットを経て、第3曲ラルゴでは、抒情的な美しさに満ちた旋律が朗々と歌われる。第4曲ジーグは、速いテンポで丁寧に刻まれる音符がストイックな雰囲気を醸し出し、全曲を閉じる。この曲を書いた2年後、レーガーは43歳の若さで世を去った。


主催:東京・春・音楽祭実行委員会 共催:東京国立博物館 協力:日東紡音響エンジニアリング株式会社

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