PROGRAMプログラム

東京・春・音楽祭-東京のオペラの森2016-

夢幻能《月に憑かれたピエロ》
~〈能〉と〈シェーンベルク〉月夜の出会い

ウィーンを拠点に活躍するソプラノ中嶋彰子が企画・演出するシェーンベルク。『月』に取り憑かれた演者たちによる能とクラシックが織りなす幻想的な舞台。欧州の音楽祭でも高い評価を得た企画が、満月の東京で再び月の世界へと誘います。

プログラム詳細

2016:03:24:19:00:00

■日時・会場
2016.3.24 [木] 19:00開演(18:30開場)
東京文化会館 小ホール

■出演
ピエロ:中嶋彰子
シテ:渡邊荀之助
指揮:ニルス・ムース
ヴァイオリン、ヴィオラ:水谷 晃
チェロ:上野通明
フルート:斎藤和志
クラリネット:コハーン・イシュトヴァーン
ピアノ:斉藤雅昭
笛:松田弘之
大鼓:望月太喜之丞
地謡:佐野 登藤井雅之髙橋憲正
舞台監督:中村 豊
テクニカル・クルー:松本 徹、野島幸三郎
衣装:黒川敬子、戸川和枝
初演映像:高岡真也

■曲目
シェーンベルク:《月に憑かれたピエロ》 op.21 [試聴]

【試聴について】
[試聴]をクリックすると外部のウェブサイト「ナクソス・ミュージック・ライブラリー」へ移動し、プログラム楽曲の冒頭部分を試聴いただけます。ただし試聴音源の演奏は、「東京・春・音楽祭」の出演者および一部楽曲で編成が異なります。


~春祭ジャーナル~


チケットについて

■チケット料金(税込)

席種 S席 A席 U-25
料金 ¥5,200 ¥4,100 ¥1,500
残席状況 本公演は終了いたしました。

 ■一般発売日
 2015年11月23日(月・祝)10:00
 ※ U-25チケットは、2016年2月12日(金)12:00発売開始
  (公式サイトのみで取扱)

■曲目解説

20世紀の芸術音楽に多大な影響を及ぼしたシェーンベルク(1874-1951)の創作期は、ブラームスやワーグナーら後期ロマン派の音楽の影響を受けた大管弦楽作品中心の初期(1908頃まで)、抽象絵画を生んだカンディンスキーなどとの交流から表現主義に傾倒し、調性をもたない「無調音楽」に音楽の新たな可能性を求めた時期(1909頃-20頃)、無調音楽をさらに発展させ、調性に代わる作曲原理として「12音音楽」を確立した時期(1921-33)、ナチスの台頭に抗してユダヤ教に改宗し、アメリカに亡命した時期(1933-51)に分けることができる。

各様式への移行は漸進的・段階的に行なわれたもので、無調時代を代表する作品であるこの《月に憑かれたピエロ》が作曲された1912年以前にも、シェーンベルクはそれまで西洋音楽において支配的だった調性音楽からの脱却を試みていた。すでに1905年ごろからは規模の小さなアンサンブルを用いた弦楽四重奏曲第1番(1905)や室内交響曲(1906)によって調性の拡大を図り、さらに弦楽四重奏曲第2番(1908)やゲオルゲの詩による歌曲集《「架空庭園の書」による15の詩》(1909)など、事実上の無調宣言ともいえる作品を作曲しており、それらによって調性原理によらぬ「表現と形式との理想」(《「架空庭園の書」による15の詩》プログラム序文)へと歩みを進めていた。

《月に憑かれたピエロ》は、ベルギーの象徴派の詩人アルベール・ジローの同名のフランス語詩集から採られた21の詩で構成されている。当初は、依頼主でこの作品の初演者でもあった歌手のアルベルティーネ・ツェーメのアイデアに従って、ピアノ伴奏による連作歌曲として構想された。しかしシェーンベルクは、作曲の過程で女声と5人のアンサンブル(ヴァイオリン[ヴィオラ持ち替え]、チェロ、フルート[ピッコロ持ち替え]、クラリネット[バス・クラリネット持ち替え]、ピアノ)に変更した。全体は各7曲からなる3部構成で、第1部ではピエロの愛/性と聖性、第2部では暴力と瀆神、第3部はピエロの望郷が歌われる。

この作品でシェーンベルクは、原詩が持つ潜在意識に突き動かされる人間の不安や、渇望が生むグロテスクな側面を表出するために、シュプレヒシュティンメ(Sprechstimme)という歌唱スタイルを用いている。「書かれた音高にあたった後で、すぐにそこから離れて自由な音程をとる」(《月に憑かれたピエロ》前書き)と説明されているように、シュプレヒシュティンメは、語りのイントネーションを歌唱に取り入れたもので、和声や調性に縛られた歌(メロディ)では表現できない人間の潜在意識や内面を表出する声の手法として、その後の歌曲にも大きな影響を与えた。またこの作品には、ユダヤ教に傾倒していたシェーンベルクらしく、ユダヤ教の伝統に由来するカバラの数秘術の影響が見られるのも面白い。一例をあげると、指揮者を含めた演奏者の数(7人)は7篇の詩に対応し、それが3部構成をとることで作品番号の「21」に符合するといった具合である(さらに、21は数秘術で2+1=3とも数えられ、各詩の第1行は計3回登場する・・・等々)。そうした数への偏愛を想いながら演奏を聴くのも一興かもしれない。

主催:東京・春・音楽祭実行委員会


※未就学児のご入場はご遠慮いただいております。
※やむを得ぬ事情により内容に変更が生じる可能性がございますが、出演者・曲目変更による払い戻しは致しませんので、あらかじめご了承願います。
※チケット金額はすべて消費税込みの価格を表示しています。
※ネットオークションなどによるチケットの転売はお断りいたします。

(2016/03/22更新)

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