PROGRAMプログラム

東京・春・音楽祭-東京のオペラの森2012-

ミュージアム・コンサート東博でバッハ vol.11 福田進一(ギター)

-本公演は中止となりました-

プログラム詳細

東京国立博物館 法隆寺宝物館
Photo:青柳 聡
■日時・会場
2012.4.3 [火] 19:00開演(18:30開場)
東京国立博物館 法隆寺宝物館エントランスホール

■出演
ギター:福田進一

■曲目
J.S.バッハ(福田進一編)
 プレリュード、フーガ、アレグロ BWV998 speaker.gif[試聴]
 組曲 イ短調(無伴奏チェロ組曲 第5番 ハ短調 BWV1011) speaker.gif[試聴]
 組曲 ニ長調(無伴奏チェロ組曲 第6番 ニ長調 BWV1012) speaker.gif[試聴]

~東博でバッハ~
【試聴について】
speaker.gif[試聴]をクリックすると外部のウェブサイト「ナクソス・ミュージック・ライブラリー」へ移動し、
プログラム楽曲の冒頭部分を試聴いただけます。
ただし試聴音源の演奏は、「東京・春・音楽祭」の出演者および一部楽曲で編成が異なります。


出演者

ギター:福田進一 Guitar:Shin-ichi Fukuda 1955年大阪府生まれ。12歳より斎藤達也に師事、ギター奏法と音楽の基礎を学ぶ。1978年、パリ・エコール・ノルマル音楽院でA.ポンセにギターを学ぶ。また、音楽学、和声楽、楽曲分析をN.ボネに師事し首席で卒業。さらに1980年、イタリア・キジアーナ音楽院でO.ギリアに学び、最優秀ディプロマを受賞。81年、パリ国際ギターコンクールで優勝、一躍注目を集め、さらに内外でも輝かしい賞歴を重ねた。これまでに、シャルル・デュトワ指揮NHK交響楽団を始め、アテネ市交響楽団(ギリシャ)、ヴュルテンベルク・フィルハーモニー管弦楽団(ドイツ)、オルケストラ・ドゥ・グラン・レペルトワール(フランス)、キューバ国立交響楽団等、内外のオーケストラと共演。ジャズの渡辺香津美らジャンルを超えた一流ソリストとの共演でも話題を集め、絶賛を博している。
ここ数年間で世界20カ国以上の主要都市に招かれリサイタルを開催、数多くの国際ギターコンクールに審査員としても招かれている。また、海外で優れた邦人作品を積極的に演奏する等、日本の優れた音楽文化を世界に紹介した功績により、平成19年度外務大臣表彰を受ける。
2005年より山形県庄内町「響ホール」で開催されている「庄内国際ギターフェスティバルin響」の音楽監督を務め、第1回からフェスティバルの名声を国際的に高めることに成功。2006年より「Hakujuギター・フェスタ」のプロデュースを荘村清志と共に務め、毎回斬新な企画とプログラムにより大きな注目を集めている。キューバの生んだ大作曲家L.ブローウェルは「かつて聴いたことのない真のヴィルトゥオーゾ、そして“音楽家”である」と称賛し、《悲歌~イン・メモリアム・タケミツ》(96年)を献呈、さらに2006年には新作《ハープと影》を献呈、5月の日本における世界初演に引き続き、台湾、ドイツ、フランス等、各国で初演。2006年には野平一郎の大作《悲歌集》を津田ホールで世界初演。2008年5月、福田進一に献呈されたブローウェルの協奏曲《コンチェルト・ダ・レクイエム》をコブレンツ国際ギターフェスティバルでライン州立交響楽団と世界初演、その後、作曲家自身の指揮によりコルドバ管弦楽団(スペイン)でも再演され大成功を収めた。19世紀ギター音楽の再発見から現代音楽までのボーダレスな活動は世界的な評価を獲得している。
発表したCDはすでに60枚に迫り、近年ではスペイン音楽第2集『セビリア風幻想曲』(マイスターミュージック)、『ロッシニアーナ』(コロムビア)、『福田進一/アランフェス協奏曲』(飯森範親指揮ヴュルテンベルク・フィルハーモニー管弦楽団、コロムビア)、『翼~イン・メモリアム・タケミツVol.2』(コロムビア)等をリリース。なかでも『セビリア風幻想曲』は、平成15年度第58回文化庁芸術祭賞優秀賞を受賞。最新作は『エチュード・ブリランテ~タレガ作品集II』(マイスターミュージック)。ますます精力的に活動の場を広げるスーパー・ギタリストである。

公式サイト http://web.me.com/cadenza_fukuda/

ギター:福田進一 Guitar:Shin-ichi Fukuda

■曲目解説

J.S.バッハ(福田進一編):
プレリュード、フーガ、アレグロ BWV998

 1735年頃、リュートまたはチェンバロで演奏できるように作曲されたもの。簡略化されたソナタの楽章構成を用いたこの作品は、ヨハン・クロプフガンス(1708-1770頃)とシルヴィウス・レオポルト・ヴァイス(1687-1750)という、当時を代表する2人のリュート奏者との交流によって生み出されたという説がある。

組曲 イ短調(原曲:《無伴奏チェロ組曲 第5番》ハ短調 BWV1011)
 J.S.バッハの《無伴奏チェロ組曲》はその音楽性の高さから、さまざまな編成への編曲が試みられた。今回は福田進一によって編曲されたギター版によるものだが、そもそも《無伴奏チェロ組曲》の第5番は、作曲者自身によってリュート版が作られているということもあり、撥弦楽器への編作自体は極めて自然な成り行きとも言えよう。
《組曲 イ短調》の原曲である《無伴奏チェロ組曲 第5番》は本来、一番音の高い弦であるA弦の調律を緩めてG音にする、いわゆるスコルダトゥーラの技法を用いた作品であり難易度も高い。第1曲プレリュードは重々しく即興的な音の動きによる序奏部に続いて、多声的で動きのある部分へ入るフランス風序曲。第2曲アルマンドもまた、付点音符の多用で荘重な雰囲気を持つ。第3曲クーラントは、力強さと流れるような動きが一つになったフレーズの連用による典雅な佇まい。第4曲サラバンドは、曲中で唯一重音奏法を用いず半音階的な音の動きが特徴的。第5曲ガヴォットはⅠとⅡの2つに分かれていて、Ⅰが通常のガヴォット音形を使用しているのに対し、Ⅱでは三連符が全体を支配し、Ⅰとの対比が明確になっている。第6曲ジーグは、付点音符の跳ねるようなモティーフが中心となっているが、時折挟み込まれる小節を跨ぐタイにより、停滞しながら引っ張られるという不思議なリズム感が醸し出されている。

組曲 ニ長調(原曲:無伴奏チェロ組曲 第6番 ニ長調 BWV1012)
 この作品は、一連の組曲の中でも難易度が高い作品とされている。もともとは5弦のチェロ(ヴィオラ・ポンポーサという楽器を想定したという説)のために作曲され、現代では普通のチェロか古楽器のヴィオロンチェロ・ピッコロ(バッハの時代に使用されていた5弦の小型チェロ)を用いることが多い。バリオラージュ奏法(同じ音高を別の弦で交互に弾いて、音色の違いを聴かせる奏法)が特徴的な第1曲プレリュード、非常に音数の多い第2曲アルマンド、活き活きとした動きの第3曲クーラント、重音を多用した第4曲サラバンド、演奏技術の至難さが聴きどころの第5曲ガヴォット、快活さと気品を持って華やかにフィナーレを飾る第6曲ジーグの全6曲から成る。



主催:東京・春・音楽祭実行委員会 共催:東京国立博物館

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