PROGRAMプログラム

東京・春・音楽祭-東京のオペラの森2012-

ミュージアム・コンサート  東博でバッハvol.9 高木和弘(ヴァイオリン)

プログラム詳細

Photo:青柳 聡
■日時・会場
2012.3.27 [火] 19:00開演(18:30開場)※ この公演は終了いたしました。
東京国立博物館 法隆寺宝物館エントランスホール

■出演
ヴァイオリン:高木和弘

■曲目
J.S.バッハ:
 無伴奏ヴァイオリンのためのパルティータ 第3番 ホ長調 BWV1006 speaker.gif[試聴]
 無伴奏ヴァイオリンのためのパルティータ 第2番 ニ短調 BWV1004 speaker.gif[試聴]
イザイ:無伴奏ヴァイオリン・ソナタ 第6番 ホ長調 op.27-6 speaker.gif[試聴]
J.S.バッハ:
 無伴奏ヴァイオリンのためのソナタ 第3番 ハ長調 BWV1005 speaker.gif[試聴]

~東博でバッハ~
【試聴について】
speaker.gif[試聴]をクリックすると外部のウェブサイト「ナクソス・ミュージック・ライブラリー」へ移動し、
プログラム楽曲の冒頭部分を試聴いただけます。
ただし試聴音源の演奏は、「東京・春・音楽祭」の出演者および一部楽曲で編成が異なります。


出演者

ヴァイオリン:高木和弘 Violin:Kazuhiro Takagi 大阪に生まれる。これまでに和波孝禧、森悠子、エドワード・ウルフソン、エドワード・シュミーダーの各氏に師事。6歳よりヴァイオリンを始め、国内で数々のコンクールに優勝及び入賞を果たし、大阪で最も古い歴史と伝統を誇る大阪府立北野高等学校を卒業後渡仏。リヨン国立高等音楽院に学び、1994年に主席で卒業。1995年、渡米し南メソジスト大学に学ぶ。その後も2000年より文化庁派遣芸術家在外研修員としてシカゴのルーズベルト大学に在学。主な賞歴としては1997年ブリュッセルで行われたエリザベート王妃国際音楽コンクール入賞、1998年ジュネーヴ国際音楽コンクール第3位(1位なし)、2001年アメリカ・インディアナ州で行われたフィショフ室内楽コンクールにてユーシア弦楽四重奏団の第1ヴァイオリン奏者として第1位等が挙げられる。国内では、2005年度文化庁芸術祭新人賞、大阪文化祭賞大賞受賞、2007年度第19回ミュージック・ペンクラブ音楽賞オーディオ部門録音作品賞を受賞と、その芸術家としての認知と評価も非常に高い。
近年は音楽のジャンルの壁を飛び越えての活動もめざましく、DJ YOKU率いるクラブ系サルソウルオーケストラA Hundred Birdsのヴァイオリン奏者として、またヒップホップのキーボーディスト、タケウチカズタケ氏とのユニットtokyo.pandaのヴァイオリンとしてもシーンを沸かせている。FUKUOKA LOVE& COLLECTIONやBANANA REPUBLICのショー等、ファッションショーでの出演も数多い。国内外のオーケストラとのソリストとしてもこれまで大阪フィルハーモニー交響楽団、大阪交響楽団、関西フィルハーモニー管弦楽団、日本センチュリー交響楽団、東京交響楽団、ベトナム国立交響楽団、ヴュルテンベルク・フィルハーモニー管弦楽団等との共演も多数ある。コンサートマスターとしてもダニエル・バレンボイム率いるシビック・オーケストラ・オブ・シカゴのコンサートマスター、ドイツのヴュルテンベルク・フィルハーモニー管弦楽団の首席コンサートマスターを経て、現在は国内の様々なオーケストラから多くの出演依頼がある。室内合奏の分野においても、恩師・森悠子女史率いる長岡京室内アンサンブルでの経験を活かし、リリス・チェンバー・オーケストラのリーダーとしても活動を展開中である。近年、日本で最高権威を誇る日本音楽コンクールの審査員としても度々招かれている。
現在、東京交響楽団コンサートマスター、山形交響楽団特別首席コンサートマスター、長岡京室内アンサンブルメンバー、いずみシンフォニエッタ大阪メンバー、リリス・チェンバー・オーケストラのリーダー、A Hundred Birds, tokyo.pandaのヴァイオリニストとして演奏活動を展開中。

©Naomi Kawakami

ヴァイオリン:高木和弘 Violin:Kazuhiro Takagi

■曲目解説

J.S.バッハ:無伴奏ヴァイオリンのためのパルティータ第3番 ホ長調 BWV1006
「パルティータ」という語には複数の舞曲楽章を並べた「組曲」という意味合いがあり、「アルマンド−クーラント−サラバンド−ジーグ」という楽章配列が、J.S.バッハ(1685-1750)の時代においては定型であった。しかし彼の無伴奏パルティータは第3番に至って、全体の楽章構成が前奏曲に始まるより自由なものとなり、軽快で明るい印象の舞曲が並ぶ。特に3曲目のガヴォットは単独で演奏されることもあり、その親しみやすい旋律は誰しも一度は耳にしたことがあるだろう。

J.S.バッハ:無伴奏ヴァイオリンのためのパルティータ第2番 ニ短調 BWV1004
「シャコンヌ」といえば、バッハの無伴奏パルティータ第2番の第5楽章が思い浮かぶように、ほぼシャコンヌの代名詞的な存在といえる名曲である。前半は、定型に基づいた伝統的な舞曲が並ぶが、後半の第5楽章シャコンヌは、舞曲という枠組みを遥かに超えた長大な音の建築物となっている。シャコンヌ冒頭に呈示される8小節の主題は、4小節ずつ前半後半に分かれて同じ和声進行を繰り返している。その8小節の主題が、さらに様々な変奏を経て30回繰り返されるなかで、たった一挺のヴァイオリンによる多声的な響き、和声と対位法の可能性がとことんまで試されていくのである。

イザイ:無伴奏ヴァイオリン・ソナタ第6番 ホ長調 op.27-6
ウジェーヌ=オーギュスト・イザイ(1858-1931)は、ベルギーのヴァイオリニスト、作曲家、指揮者である。作品27となる《無伴奏ヴァイオリンのための6つのソナタ》は、当然ながらバッハの《無伴奏ヴァイオリンのためのソナタとパルティータ》を意識した作品であるが、6曲はすべて、それぞれ異なるヴァイオリニストに献呈されており、この第6番はスペイン出身のマヌエル・キロガに捧げられている。そのためか、ハバネラ(キューバからスペインに輸入された舞曲)風のカデンツァを持っている。

J.S.バッハ:無伴奏ヴァイオリンのためのソナタ第3番 ハ長調 BWV1005
一連の舞曲が並ぶパルティータのような室内ソナタに対して、教会ソナタは「緩−急−緩−急」の4楽章形式をとり、それぞれの楽章は舞曲の名称を持たない。コレッリによって確立されたこの2つのソナタ形式は、イタリアから輸入され、バッハが活躍したバロック時代において、その頂点を迎えた。バッハの無伴奏ソナタは3曲とも教会ソナタの4楽章構成の定型配置をとっているが、いずれも第2楽章にドイツ的な「フーガ」が配されており、特にこの無伴奏ソナタ第3番の354小節に及ぶ長大なフーガは、バッハが遺したフーガのなかでも最長のものである。



主催:東京・春・音楽祭実行委員会 共催:東京国立博物館

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