PROGRAMプログラム

東京・春・音楽祭-東京のオペラの森2012-

ミュージアム・コンサート 東博でバッハ vol.10 中野振一郎(チェンバロ)

プログラム詳細

Photo:ヒダキトモコ
■日時・会場
2012.3.28 [水] 19:00開演(18:30開場)※ この公演は終了いたしました。
東京国立博物館 法隆寺宝物館エントランスホール

■出演
チェンバロ:中野振一郎

■曲目
[パルティータへの道]
J.S.バッハ:
 組曲 イ短調 BWV818a speaker.gif[試聴]
 イギリス組曲 第2番 イ短調 BWV807 speaker.gif[試聴]
 フランス組曲 第4番 変ホ長調 BWV815 speaker.gif[試聴]
 パルティータ 第4番 ニ長調 BWV828 speaker.gif[試聴]
[アンコール]
J.S.バッハ:組曲 イ長調 BWV832 より サラバンド

~東博でバッハ~
【試聴について】
speaker.gif[試聴]をクリックすると外部のウェブサイト「ナクソス・ミュージック・ライブラリー」へ移動し、
プログラム楽曲の冒頭部分を試聴いただけます。
ただし試聴音源の演奏は、「東京・春・音楽祭」の出演者および一部楽曲で編成が異なります。


出演者

チェンバロ:中野振一郎 Cembalo:Shinichiro Nakano 京都府生まれ。1986年、桐朋学園大学音楽学部演奏学科(古楽器専攻)卒業。
1990年10~11月に大阪で開いた4回連続の独奏会「ヨーロッパ・チェンバロ音楽の旅」により「大阪文化祭金賞」等を受賞。翌年7月、フランスの「ヴェルサイユ古楽フェスティバル」のクープラン・サイクルに出演。ケネス・ギルバートやボブ・ファン・アスペレンら欧米を代表する名手とともに「世界の9人のチェンバリスト」の一人に選ばれる。1992年6月、「バークレー古楽フェスティバル」に最年少の独奏家として招かれる。1993年、ロンドンの独奏会場ウィグモア・ホールでデビュー・リサイタルを開き、「日本人には珍しいパーソナリティーを持っている」と評価される。1994年10~12月にはサイモン・スタンデイジとの二重奏を含む3回連続の演奏会「チェンバロ三夜物語」を東京で開き、その「豊かな表現」(音楽評論家・岡部真一郎=日本経済新聞)が改めて注目を集めた。
1995年3、6、10月と日本経済新聞社主催の「日経リサイタルシリーズ/ワークショップ オブ ミュージック」に出演し、「柔軟・自由・ほどよい即興で自然体、“楽興の時”をきざんでゆく」(音楽評論家・中河原理=朝日新聞)、「さりげない素顔を見せるこの若い音楽家は、間違いなく、日本が世界に誇るべき名手である」(音楽評論家・岡本稔=日本経済新聞)等と評された。
1999年2月のドイツ招聘演奏旅行ではコレギウム・ムジクム・テレマンを見事に率いて聴衆を沸かせ、ソリストだけでなく、オーケストラの音楽を構成するディレクターとしての魅力も国際的にアピールした。同年10月にはバッハの大曲《ゴルトベルク変奏曲》をCD収録し、リサイタルを開催。「各変奏が持つ世界を可能な限り忠実に描出しようとする真摯な姿勢には心を打たれる」「先人たちの遺産を鑑み、大地をしっかり踏まえた中野の解釈の方が説得力が大きい」「この基本的な解釈にさらなる年輪が刻まれるのを見守っていきたい」(音楽評論家・岡本稔=日本経済新聞)等と絶賛された。12月の大阪公演はこれを皮切りに毎年行なわれている。
2003年5月末にはドイツより日本人として唯一招聘され「バッハ・フェスティバル・ライプツィヒ2003」に出演。ソロ演奏会及びコレギウム・ムジクム・テレマンとの共演等、ソリスト、ミュージックディレクターとしての力量を遺憾なく発揮。なかでもライプツィヒにおける《ゴルトベルク変奏曲》は特筆すべき公演で、現地でも高く評価された。この様子はNHK教育テレビ「芸術劇場」で放映され、国内でも話題を呼んだ。2004年7〜8月に行なったドイツでの単独リサイタルツアーは現地でも大絶賛され、また同年10月に開催したリサイタルは「平成16年度文化庁芸術祭・大賞」を受賞した。近年は、幅広いレパートリーに楽しいトークを交えたレクチャー・リサイタルを全国各地で開き、高い人気を呼んでいる。
録音にも意欲的で、フランス、イタリア、ドイツ等、各国の作曲家の作品を取り上げた多数のソロ・アルバムをリリース。なかでも2000年にリリースした『ゴルトベルク変奏曲』はヒストリカル・チェンバロとモダン・チェンバロによる演奏を併せて収録し、レコードアカデミー賞に輝いた。コレギウム・ムジクム・テレマンとの共演によるCDも2000年以来毎年リリースしている。2004年5月には、バッハ『フランス組曲』を発表(「レコード芸術」の特選版)。『パーセル作品集』は2009年度第47回レコードアカデミー賞(音楽史部門)に輝く。2010年には『エリザベス朝のヴァージナル音楽』と『太陽王ルイ14世時代のクラヴサン音楽』を同時リリースし話題を集めている。

©稲見伸介

チェンバロ:中野振一郎 Cembalo:Shinichiro Nakano

■曲目解説

組曲 イ短調 BWV818a
 1717年、バッハはケーテンの宮廷楽長に就任した。経済的にも安定した時期であったが、1720年に妻マリア・バルバラを亡くし、翌年には宮廷歌手のアンナ・マグダレーナ・ヴィルケと再婚するなど、彼にとっては激動の時期でもあった。
 《組曲イ短調》BWV818は、1720年代に作曲されたとされる。後述する《フランス組曲》と同時期の成立ということで、本来はその一部を成すものとして構想されたという説もあるが、詳細は不明。その後BWV818は、楽章の追加などいくつかの改訂を経て、今回演奏されるBWV818aとして成立した。プレリュード、アルマンド、クーラント、サラバンド、メヌエット、ジーグの全6曲による組曲で、前奏曲とメヌエットはこの改訂稿で新たに追加されたものである。

イギリス組曲 第2番 イ短調 BWV807
 全部で6曲残された《イギリス組曲》であるが、正確な作曲年や名称の由来(少なくともバッハ自身の命名ではないとされる)など、不明な点も多い。
 この第2番は、少なくとも1725年以前に作曲されたと推定されている。プレリュード、アルマンド、クーラント、サラバンド、ブレー、ジーグの全6曲による組曲で、一連の組曲の中でも華やかさと柔らかさが際立った作品である。

フランス組曲 第4番 変ホ長調 BWV815
 前述した《イギリス組曲》に比べ、ややコンパクトで軽やかな趣の作品が多い《フランス組曲》であるが、作曲年など不明な点が多いところは共通している。
 《フランス組曲第4番》は1722年頃の作品。プレリュード的な要素も兼ね備えたアルマンドに始まり、クーラント、サラバンド、ガヴォット、エア、ジーグと続く。

パルティータ 第4番 ニ長調 BWV828
 1723年、バッハはライプツィヒの聖トーマス教会のカントル(教会での音楽に関する業務を取り仕切る役職で、現在まで続く名誉職)、並びに市の音楽監督に就任した。《マタイ受難曲》など一連の宗教作品はこの時代に作曲されたもので、彼の音楽人生でもピークの時期であったと言えよう。さらなる境地を拓き始めたバッハであるが、同時にライフワークである鍵盤楽器作品の可能性も探求し続けていた。その中でも特に有名なのが、1725年から1731年にかけて作曲された6曲の《パルティータ》である。
 第4パルティータは、一連の作品の中でも長大なものに属する。ニ長調という調性を反映した喜ばしい雰囲気を特色とし、序曲、アルマンド、クーラント、アリア、サラバンド、メヌエット、ジーグの全7曲から構成されている。



主催:東京・春・音楽祭実行委員会 共催:東京国立博物館

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