PROGRAMプログラム

東京・春・音楽祭-東京のオペラの森2015-

リヒテルに捧ぐII(生誕100年記念)エリーザベト・レオンスカヤ ピアノ・リサイタル
~シューベルト、後期3大ピアノ・ソナタ

リヒテルとのデュオで世界の注目を集め、今もなお本国ロシア、欧州で多くの音楽家から尊敬を集める
レオンスカヤ。リヒテル生誕100年の年に満を持して32年ぶりのソロ・リサイタルが実現。
円熟の音楽家が贈る深淵なるシューベルトの世界。

プログラム詳細

2015:03:28:18:00:00

■日時・会場
2015.3.28 [土] 18:00開演(17:30開場)
東京文化会館 小ホール

■出演
ピアノ:エリーザベト・レオンスカヤ

■曲目
シューベルト:
 ピアノ・ソナタ 第19番 ハ短調 D.958 speaker.gif[試聴]
 ピアノ・ソナタ 第20番 イ長調 D.959 speaker.gif[試聴]
 ピアノ・ソナタ 第21番 変ロ長調 D.960 speaker.gif[試聴]

[アンコール]
シューベルト:
 即興曲 作品90-4
 即興曲 作品90-3

【試聴について】
speaker.gif[試聴]をクリックすると外部のウェブサイト「ナクソス・ミュージック・ライブラリー」へ移動し、
プログラム楽曲の冒頭部分を試聴いただけます。
ただし試聴音源の演奏は、「東京・春・音楽祭」の出演者および一部楽曲で編成が異なります。



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出演者

ピアノ:エリーザベト・レオンスカヤ Piano:Elisabeth Leonskaja グルジアのトビリシ生まれ。11歳で初めての演奏会を行い、その類まれなる才能により、モスクワ音楽院への入学が認められる。在学中にジョルジェ・エネスク国際コンクール、ロン=ティボー国際コンクール、エリザベート王妃国際音楽コンクールといった数々の重要なコンクールで入賞に輝く。スヴャトスラフ・リヒテルは彼女の非凡な才能に目を留め、助言をするだけでなく、▼続きを見る数多くのデュオを通して彼女の音楽家としての成長に大きな役割を果たした。リヒテルとの音楽的・個人的な親交は、1997年に彼が亡くなるまで続いた。78年、レオンスカヤはウィーンに新しく居を構え、翌年のザルツブルク音楽祭でのセンセーショナルな演奏で、西側諸国でのコンサート・ピアニストとしてのキャリアをスタートさせた。これまでにニューヨーク・フィルハーモニック、ロサンゼルス・フィルハーモニック、クリーヴランド管弦楽団、ロンドン・フィルハーモニー管弦楽団、ロンドン交響楽団、ロイヤル・フィルハーモニー管弦楽団、BBC交響楽団、チューリッヒ・トーンハレ管弦楽団、ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団、ライプツィヒ・ゲヴァントハウス管弦楽団、ハンブルク北ドイツ放送交響楽団、ケルン放送交響楽団、バイエルン放送交響楽団、チェコ・フィルハーモニー管弦楽団等、世界のトップオーケストラほぼすべてにソリストとして招かれており、クルト・マズア、クリストフ・エッシェンバッハ、クリストフ・フォン・ドホナーニ、マリス・ヤンソンス、ユーリ・テミルカーノフ、トゥガン・ソヒエフ、サー・コリン・デイヴィス、クルト・ザンデルリンク等の著名指揮者とも共演している。またザルツブルク、ウィーン、ルツェルン、シュレースヴィヒ=ホルシュタイン等、名だたる夏の音楽祭に度々登場しており、ホーエネムス、シュヴァルツェンベルクのシューベルティアーデにも参加している。また、ソリストとしての多忙な活動にもかかわらず、室内楽にも積極的に取り組み、エマーソン、ボロディン、アルテミス等の弦楽四重奏団と頻繁に演奏をともにしている。 数多くのCDがレオンスカヤの業績を証明しており、ブラームスのピアノ・ソナタ集はセシリア賞を、リストの作品集はディアパゾン・ドール賞を受賞、その他、クルト・マズア指揮ニューヨーク・フィルハーモニックとチャイコフスキーのピアノ協奏曲集、アシュケナージ指揮チェコ・フィルハーモニー管弦楽団とショパンのピアノ協奏曲第1番・第2番、ヒュー・ウルフ指揮セントポール室内管弦楽団とショスタコーヴィチのピアノ協奏曲第1番・第2番を録音している。ベルリンのeaSonusレーベルから発売された最新CDは、2014年のICMA国際クラシック音楽賞(ソロ部門)に選ばれた。シューベルトのソナタ全集が、15年秋にeaSonusからリリースされる予定。ウィーン・コンツェルトハウス名誉会員。06年、オーストリアの勲章では最高位となる第一等学術・文化名誉十字勲章を受賞。

©Julia Wesely
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ピアノ:エリーザベト・レオンスカヤ Piano:Elisabeth Leonskaja

■曲目解説

シューベルト:後期 3 大ピアノ・ソナタ

今回演奏される 3 つのピアノ・ソナタは、1828 年 9 月、シューベルトの死のわずか 2 ヵ月前に作曲された。ベートー ヴェンを意識しつつ、シューベルトならではの豊かな和声進行を持ち、作曲家としての矜持が感じられる作品群であ る。構成は 3 曲とも 4 楽章制を採用している。

《ピアノ・ソナタ 第 19 番》 の第 1 楽章は、第 1 主題・第 2 主題ともにベートーヴェンのピアノ作品との類似性が指摘されているが、4 分の 3 という拍子や展開部の音型には、自身の音楽を追求する姿勢がうかがえる。第 2 楽章は穏やかな主題で始まるが、自由な転調により遠隔調に至るなど、ロマン派的な楽想を見せている。第 3 楽章は簡素な主題がオクターブ奏法によって奏される。第 4 楽章はシューベルト最晩年の終楽章に特徴的なロンド・ソナタ形式で、飛び 跳ねるような、流麗かつ生き生きとしたフィナーレとなっている。

ハ短調の第 19 番とは対照的に、《ピアノ・ソナタ 第 20 番》 は暖かく明朗な響きを有している。その長大さから、同 じ調性だがより小規模なピアノ・ソナタ第 13 番に比して「イ長調の大ソナタ」とも呼ばれる。第 1 楽章は明るく力強い導入部を持つが、中間部では平明なメロディが用いられている。物静かな主題で始まる第 2 楽章は、速いパッセージが絡み合いながら情熱的に展開する中間部を経て、最後の鈍い後打音が不思議な余韻を残す。第 3 楽章のスケルツォでは右手・左手の交差により、快活な旋律が奏される。第 4 楽章はピアノ・ソナタ第 4 番の緩徐楽章の主題を引用し たロンド・ソナタ形式となっており、最後はテンポを上げて、華やかに曲を閉じる。

《ピアノ・ソナタ 第 21 番》 は 3 部作の最後を飾り、なおかつ作曲者の生涯最後のピアノ・ソナタでもある。第 1 楽章は優しく親しみやすい第 1 主題で歩みだし、くぐもるようなトリルの後、変ト長調の印象的な主題が浮かび上がってくる。続いて穏やかな第 2 主題が始まり、自由な転調を経てヘ長調のコデッタ(小結尾)に至るが、牧歌的な平穏を断ち切 るように低音のトリルが現れ、提示部が静かな力強さで反復される。展開部は嬰ハ短調で開始されるが、複雑な転調 をともなって現れる様々な音型が陰影に満ちた幻想的な世界をつくりだす。第 2 楽章のアンダンテ・ソステヌートは穏やかな抒情に彩られており、中間部では明るく暖かな響きを聴くことができる。第 3 楽章は快活なテンポで優美な主題を奏でながら、トリオでは一転して変ロ短調に転調する。第 4 楽章は提示部を繰り返さないソナタ形式で、冒頭およ び随所で強く奏される G 音が耳に残る。少々性急なテンポを保ちつつ複雑な転調を重ねて、最後はプレストで短く締 めくくる。長きにわたる模索を経てようやくシューベルト様式というべきものが結晶化した本作は、彼の全ソナタ中の最 高傑作であると言えよう。


主催:東京・春・音楽祭実行委員会 後援:ロシア連邦大使館

※掲載の曲目は当日の演奏順とは異なる可能性がございます。
※未就学児のご入場はご遠慮いただいております。
※やむを得ぬ事情により内容に変更が生じる可能性がございますが、出演者・曲目変更による払い戻しは致しませんので、あらかじめご了承願います。
※チケット金額はすべて消費税込みの価格を表示しています。
※ネットオークションなどによるチケットの転売はお断りいたします。

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