HARUSAI JOURNAL春祭ジャーナル

春祭ジャーナル 2016/02/26

東京国立博物館の担当者に聞く
「ミュージアム・コンサート」の魅力

東京・春・音楽祭では、上野エリアの博物館や美術館で開催されるコンサートも"聴きもの"のひとつ。これらのミュージアム・コンサートは「東京春祭」の前身「東京のオペラの森」時代の2006年から続く企画。なかでも東京国立博物館では「東博でバッハ」シリーズが人気を集めていて、今年で30回を数えます。会期中、東博で主に有料コンサートが行われているのは、日本の考古展示と特別展示がある「平成館」のラウンジ、そして法隆寺から皇室に献納された宝物の展示がある「法隆寺宝物館」(3/14まで休館中)エントランスホールの2会場。それらに加えて正門内池前の屋外や本館大階段でも、さまざまな無料コンサート(「桜の街の音楽会」)が予定されています。そこで、東博のコンサート担当の関谷泰弘さん、佐藤英恵さんに、ミュージアム・コンサートの魅力や上野おすすめの楽しみ方をお聞きしました。

文・高坂はる香(ライター)


関谷泰弘さん

関谷:博物館の来場者に音楽を楽しんでいただけているのはもちろん、これまで東博に来たことがなかった方々が足を運んでくださるきっかけにもなっていると感じます。

佐藤:博物館が好きな方、音楽が好きな方、両方の愛好家をつなげることができるイベントだと思います。ちょうど上野公園の桜も良い季節なので、お花見をしてから博物館を楽しんでも良いし、博物館からのお帰りにお花を見ても良い。その中に音楽があれば、なおさら素敵ですね。

関谷:お花見シーズンには多くの方が上野を訪れますが、これまでは各博物館、美術館、それぞれで何かしている感じでした。でも「東京春祭」のおかげで横のつながりができ、一緒に盛り上げようという雰囲気が生まれたと思います。音楽祭のパンフレットを見ると、上野にどんな文化施設があるのかが全部わかりますよね。音楽を通して、上野全体を立体的に楽しんでいただけるようになったのは、良いことだと思います。


佐藤英恵さん

関谷:そうですね。時代の違いにかかわらず、クラシカルなバッハの音楽は博物館の雰囲気に合っていると思います。法隆寺宝物館の夜の公演では、休憩中に展示室を見ていただけます。展示を見て、また客席で音楽を聴く。さらにコンサートの際は、特別に重要文化財の黒門を開放しているので、こちらから入退場いただけます。こうしてコンサートを楽しむ一連の流れは、なかなかおもしろいのではないでしょうか。休憩中、みなさん熱心に展示を見てくださっているので、嬉しいですね。

佐藤:夜の博物館は、日中とはまたガラッと雰囲気が違いますので、きっと楽しんでいただけるはずです。開館時間外の有料コンサートご来場者には、後日博物館の総合文化展をご覧いただける無料招待券をお配りしていますので、これをきっかけに、また昼間の展示も見ていただけたらと思います。



東京・春・音楽祭-東京のオペラの森2015-
東博でバッハ vol.22 安田謙一郎(チェロ)
法隆寺宝物館エントランスホールにて

関谷:狩野永徳の檜図屏風を修復した際、修復の一環として作成したレプリカがあるのですが、昨年、チェロの安田謙一郎さんらのコンサートでそれを後ろに立てて演奏していただきました。これがとても絵になって、素敵でしたね。今年もどこかの公演で使うことができたらと思います。



東京・春・音楽祭-東京のオペラの森2009-
東博でバッハ vol.3 渡辺玲子(ヴァイオリン)
平成館ラウンジにて

佐藤:室内の公演では、やはり弦楽器がいいですね。ヴァイオリンやチェロはもちろん、ギターもすばらしいです。クラシックに馴染みがない方にとっては、クラシックのコンサートというとオーケストラというイメージが強いと思いますが、「東京春祭」のミュージアム・コンサートでは小編成でいろいろな楽器を聴けるので、新しい発見をされる方も多いのではないでしょうか。

関谷:東博の屋内会場は響きも良いようです。クラシック愛好家の方にとっても、ホールで聴くのとは違う、新しい経験になるのではないでしょうか。
あと、毎年屋外の無料コンサートに出演してくださっている「Vive!サクソフォーン・クヮルテット」の公演では、演奏が始まるとすぐに人の輪ができて、すごく盛り上がります。偶然やってきた方も楽しんでくれているのがわかって、いいなぁ、と思いますね。屋外コンサートは雨や強風となると大変なのですが、音楽祭スタッフのみなさんにご協力いただいて毎回の公演を創り上げています。
今年は本館大階段前の無料コンサートも復活します。とても雰囲気がいいので、楽しみにしていただきたいです。


関谷:上野公園には、有名なものからあまり知られていないものまでいろいろな像やオブジェがありますから、探してみるのもおもしろいかもしれません。有名な西郷隆盛像や上野大仏はじめ、科博の前には野口英世像がありますし、「ラジオ体操発祥の地」の碑もあります。正岡子規記念球場の横には、摺鉢山という古墳もあるんですよ。

佐藤:清水観音堂には、歌川広重が浮世絵で描いたことでも知られる「月の松」があります。お花見がてら、いろいろな場所を散策してみてください。さくら通りを抜けて、大噴水のある広場の正面に見えるのが東博の本館ですので、そのまままっすぐいらしていただけたら!

関谷:本館北側の庭園は、春と秋に2週間ずつ一般開放しています。上野公園のソメイヨシノとは別の種類のさまざまな桜が咲いていますので、どうぞ見にいらしてください。


東京国立博物館で開催する公演
~東博でバッハ~

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