PROGRAMプログラム

東京・春・音楽祭-東京のオペラの森2015-

東京春祭 歌曲シリーズ vol.15ロバート・ディーン・スミス(テノール)

現代屈指のヘルデン・テノールとして、聖地バイロイトをはじめ名門歌劇場で数々の主役を歌っているスミス。ドイツリートから、伝説のテノール・ジーリを思わせるようなイタリア歌曲まで、“歌の花束”をお届けします。

プログラム詳細

2015:04:10:19:00:00



■日時・会場
2015.4.10 [金] 19:00開演(18:30開場)
東京文化会館 小ホール

■出演
テノール:ロバート・ディーン・スミス
ピアノ:ジャン・フィリップ・シュルツェ

■曲目

シューマン:
 ことづて op.77-5
 ミルテとばらの花を持って op.24-9
 ぼくの心はくらい op.25-15
 ひそやかな愛 op.35-8
 ひそやかな涙 op.35-10

ワーグナー:《ヴェーゼンドンク歌曲集》より
 悩み
 夢

シェーンベルク:《2つの歌》 op.1
 1. 感謝
 2. 別れ

R.シュトラウス:
 ひそかな誘い op.27-3
 私は恋を抱いて op.32-1
 解き放たれて op.39-4
 明日こそは! op.27-4
 ツェチーリエ op.27-2

ドナウディ:ああ愛しい人の

クレッセンツォ:巣の中のつばめ

トスティ:
 悩み
 暁は光から闇をへだて


[アンコール]
ワーグナー:《リエンツィ》第5幕 より リエンツィの祈り
ドニゼッティ:私は海に家を建てた
R.シュトラウス:献呈
エイミー・ビーチ :
 《3つのブラウニングの歌》op.44 より No.2 ああ、一日愛してるのに


ロバート・ディーン・スミスが出演するその他の公演
東京春祭ワーグナー・シリーズ vol.6
『ニーベルングの指環』第1日《ワルキューレ》
東京春祭 合唱の芸術シリーズ vol.2
ベルリオーズ 《レクイエム》~都響新時代へ、大野和士のベルリオーズ
 

出演者

テノール:ロバート・ディーン・スミス Tenor:Robert Dean Smith 1997年、リヒャルト・ワーグナーのバイロイト音楽祭で上演された《マイスタージンガー》のヴァルター・フォン・シュトルツィング役で鮮烈なデビューを果たして以来、世界各国の一流の歌劇場やコンサート・ホールで活躍。ドラマティックなヘルデンテノールの役の解釈者として絶賛されており、世界中の劇場やコンサート・ホールで▼続きを見るメータ、パッパーノ、ティーレマン、ムーティ、バレンボイム、サヴァリッシュ、ブーレーズ、フォン・ドホナーニ、ハイティンク、ナガノ、ガッティなどの指揮者と共演、現在最も知名度の高い歌手のひとりとして、その地位を確固たるものにしている。
バイロイトでは《トリスタンとイゾルデ》のタイトルロール、《マイスタージンガー》のヴァルター・フォン・シュトルツィング、《ローエングリン》のタイトルロール、《ワルキューレ》のジークムントなどを歌ってきた。この他にもミュンヘン・バイエルン国立歌劇場(《マイスタージンガー》、《フィデリオ》、《トスカ》、《マノン・レスコー》、《魔弾の射手》、《スペードの女王》)、ウィーン国立歌劇場(《トリスタンとイゾルデ》、《マノン・レスコー》、《マイスタージンガー》)、ミラノ・スカラ座(《ローエングリン》、《フィデリオ》)、ベルリン・ドイツ・オペラ(《マイスタージンガー》、《フィデリオ》、《ローエングリン》、《パルジファル》)、ドレスデン州立歌劇場(《マイスタージンガー》、《カルメン》、《ローエングリン》)、ロンドン・コヴェント・ガーデン王立歌劇場(《マイスタージンガー》、《ローエングリン》、《カーチャ・カバノヴァ》)、新国立劇場(《運命の力》、《ワルキューレ》)、ロス・アンジェルス・オペラ(《影のない女》)、サン・フランシスコ歌劇場(《マイスタージンガー》)、マドリッド・レアル劇場(《パルジファル》、《影のない女》)、バルセロナ・リセウ大劇場(《パルジファル》、《ナクソス島のアリアドネ》)、ハンブルク州立歌劇場(《スペードの女王》)、フィレンツェ歌劇場(《マイスタージンガー》)。アムステルダム歌劇場(《マイスタージンガー》)などに出演している。
コンサートで共演したことのあるオーケストラには、バイエルン放送交響楽団(マーラー《大地の歌》)、バイエルン国立管弦楽団(《大地の歌》)、ロイヤル・コンセルトヘボウ管弦楽団(《大地の歌》、コダーイの《ハンガリー詩篇》、ベートーヴェンの《交響曲第9番》、ストラヴィンスキーの《エディプス王》)、ロンドン交響楽団(エルガーの《ゲロンティアスの夢》)、フィラデルフィア管弦楽団(ベートーヴェンの《ミサ・ソレムニス》)、サンタ・チェチーリア国立音楽院管弦楽団(ドヴォルジャークの《レクイエム》、《ワルキューレ第一幕》)、ベルリン国立歌劇場管弦楽団(マーラーの《交響曲第8番》)、パリ管弦楽団(ベートーヴェンの《交響曲第9番》、コンサート形式の《フィデリオ》)、ロス・アンジェルス・フィル(ベートーヴェンの《交響曲第9番》)、ウィーン交響楽団(《ベートーヴェンの《交響曲第9番》、ドヴォルジャークの《スターバト・マーテル》》、ハンブルク・シンフォニカー(オペラ・ガラ)、ベルリン・ドイツ交響楽団(ベートーヴェンの《オリーヴ山上のキリスト》)、SWR放送管弦楽団(シェーンベルク《グレの歌》)、モンテ・カルロ・フィルハーモニー管弦楽団(コンサート形式の《パルジファル》)、シンシナティ交響楽団(コンサート形式の《ローエングリン》)などがある。
2001年8月には、バイロイト祝祭劇場で行われたバイロイト音楽祭の125周年を祝うクリスティアン・ティーレマン指揮によるベートーヴェンの《交響曲第9番》の公演で、バイロイト祝祭管弦楽団、合唱団と共演、テノール・ソロを歌うという栄誉に浴した。アルテ・ノヴァからリリースされたワーグナーのオペラ・アリア集のCDは、リリック・ディスク国際アカデミーのオルフェ・ドールを受賞している。
米国、カンザス州に生まれ、ピッツバーグ(カンザス)州立大学ではMargaret Thunemannに、ニューヨーク・シティのジュリアード音楽院ではダニエル・フェッロに、またヨーロッパではジャニス・ハーパー教授に師事した。多くのドラマティック・テノールがそうであるように、最初はバリトン歌手としてスタートし、ドイツの歌劇場で何年か歌っていた。優れたトレーニングと舞台で見せる多才さによって、オペラとコンサートの両方で、いろいろな言語やスタイルでの幅広いレパートリーをこなす存在となっている。
最近の出演には、ニューヨーク・メトロポリタン歌劇場での《ナクソス島のアリアドネ》と《蝶々夫人》、クリスティアン・ティーレマン指揮によるバーデン・バーデン祝祭劇場での《ナクソス島のアリアドネ》、ウィーン国立歌劇場での《影のない女》、ビルバオでの《死の都》、ミュンヘンのバイエルン国立歌劇場での《タンホイザー》と《ナクソス島のアリアドネ》、ドレンスデン・ゼンパーオーパーでの《ローエングリン》、パリのオペラ・バスティーユでの《トリスタンとイゾルデ》と《アイーダ》などがある。
今後の出演予定には、ミュンヘンのバイエルン国立歌劇場での《影のない女》、オビエドでの《オテロ》でのデビュー、ウィーン国立歌劇場での《タンホイザー》と《フィデリオ》、トゥールーズとヘルシンキでの《トリスタンとイゾルデ》、ロンドンのコヴェント・ガーデン・王立歌劇場での《ナクソス島のアリアドネ》などがある。

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テノール:ロバート・ディーン・スミス Tenor:Robert Dean Smith

ピアノ:ジャン・フィリップ・シュルツェ Piano:Jan Philip Schulze ドイツ出身のジャン・フィリップ・シュルツェは、ソリストとして、室内楽奏者として、歌曲の伴奏者として、成功をおさめている。 ミュンヘン音楽演劇大学、モスクワのチャイコフスキー音楽院で学び、ヘルムート・ドイチュ、ディートリヒ・フィッシャー=ディースカウもとで、歌曲の伴奏の分野を学ぶ。▼続きを見る イタリア、スペイン、南アフリカの国際コンクールで受賞したことをはじめとし、まもなくヨーロッパ地域、また日本での活躍につながる。 これまでに、ディートリヒ・ヘンシェル、ジュリアン・バンセ、ヨナス・カウフマン、レイチェル・ハルニッシュなどの著名な歌手の伴奏をつとめる。また、ヴィオレッタ・ウルマーナの常任伴奏者として、ブリュッセル、ミラノ・スカラ座、シュヴェルツェンベルク、グラーツ、ストラスバーグ、ロンドン・ヴィグモア・ホール、バルセロナ、アントワープなどでの演奏会のほか、ミュンヘン音楽祭、ザルツブルク音楽祭、エディンバーグ音楽祭でも伴奏をつとめる。室内楽奏者、ソリストとしては、現代曲の演奏に注力している。Ensemble Tri Log Munichのピアニストであり、オデッサ、ザグレブ、ベルリン、マドリッドなどで世界の作品を演奏している。 ハンス・ワーナー・ヘンツェの勧めにより、作曲家のピアノ全作品の演奏も行っており、マドリッド、ジェノヴァ、ローマ、スカラ座、旧オペラ座、ハンブルクなどでも披露している。 ハノーファ音楽演劇大学の"Liedgestaltung"の教授であり、国際マスタークラスの教鞭をとることもある。

©M.Buhler
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ピアノ:ジャン・フィリップ・シュルツェ Piano:Jan Philip Schulze

■曲目解説

シューマンの歌曲
 シューマンの歌曲創作は、彼が30歳を迎えた1840年、いわゆる「歌の年」に始まる。レグリュの詩による「ことづて」は、全5曲《リートと歌 第3集》の最後を飾る歌で、1850年の作品。逸る気持ちを表現するかのような伴奏にのせて、愛のメッセージを自然に託して歌う。ハイネの詩による作品24の《リーダークライス》(全9曲)は、「歌の年」の端緒となった作品。その終曲「ミルテとばらの花を持って」は、自らの作品にこそ、この恋を刻もうという静かな決意に満ちている。「ぼくの心はおもい」は、結婚の贈り物として妻クララに捧げられた《ミルテの花》(全26曲)の第15曲。「歌の年」に書かれたこの歌は、シューマンの暗い情熱が色濃く出た異色の作である。やはり「歌の年」に作られた《ケルナーの詩による12の歌曲》から第8曲「ひそやかな愛」は、恋の苦しみから生まれた小さな歌(詩)そのものへの愛惜がモチーフで、言葉少ないピアノ前奏が心に沁みる。また同歌曲集の第10曲「ひそやかな涙」は、誰もが心に抱く黄昏の憧憬を歌う。穏やかな気持ちの流れが微妙にその色合いを変化させていく様が美しい。

ワーグナーの歌曲
 1857年当時、パトロンだった富豪ヴェーゼンドンクの夫人マティルデとの道ならぬ恋は、ワーグナー最初の楽劇《トリスタンとイゾルデ》へと昇華された。そのマティルデ夫人から贈られた詩に付曲したのが《ヴェーゼンドンク歌曲集》(全5曲)である。その第4曲「悩み」は、心の痛みを与える愛にむしろ感謝さえするという歌。また第5曲「夢」は、《トリスタンとイゾルデ》第2幕の二重唱にも用いられた。かなわぬ愛を、せめて夢へと託す切ない歌である。

シェーンベルクの歌曲
 初期のシェーンベルクはツェムリンスキーをただ一人の師として、後期ロマン主義を受け継ぐ作品を書いていた。1897年に作曲されたレーヴェツォフの詩による《2つの歌》も古典的調性の枠を留めた後期ロマン派の香りあふれる歌曲。「感謝」は、深い懊悩をもたらす愛に感謝を捧げる歌。「別離」では、失恋の痛苦を文学的に歌う。

R.シュトラウスの歌曲
 R.シュトラウスは生涯にわたり、折に触れて歌曲を書き継いだ。1894年、シュトラウス最初の歌劇《グントラム》の失敗の傷心を癒すために書かれた《4つの歌》作品27の第3曲「ひそかな誘い」は、マッケイの詩による。恋人を優しく口説きつつ華やかな宴から静かな夜の庭へと誘う、心地よい陶酔感に満たされた歌。1896年に書かれた《5つの歌》作品32の第1曲「私は恋を抱いて」は、ヘンケルの詩による。愛の絶頂にある歓びをゆったりとした美しい旋律で歌う。1898年の《5つの歌》作品39の第4曲「解き放たれて」は、デーメルの詩による。愛する人との死別、その至高の愛が官能的に表現されている。マッケイの詩による「明日こそは!」は、前出《4つの歌》の第4曲。美しい前奏に続いて歌われるのは、愛に満たされた幸せな沈黙の時間である。ハインリヒ・ハルトの詩による「ツェチーリエ」は、前出《4つの歌》の第2曲。花嫁を優しく諭すような情熱的な内容となっている。

ドナウディ:「ああ、愛する人の」
 イタリア・パレルモ生まれのドナウディは、多ジャンルにわたる作品を残したが、オペラ作曲家としても活動した。この「ああ、愛する人の」は、彼の代表作である歌曲集《古典様式による36のアリア》の1曲。詩もドナウディ自身が書いており、最愛の人を喪った悲しみを歌っている。

クレッセンツォ:「巣の中のつばめ」
 ナポリ生まれのクレッセンツォは、のちにアメリカに帰化して「アメリカのトスティ」と呼ばれて愛された。ルイジ・シーカの詩による「巣の中のつばめ」は彼の代表作で、春の花咲く頃に毎年帰ってくる仲の良いつばめが、今は帰らない人を思い起こさせるという切ない歌。

トスティの歌曲
 トスティは、イタリア・オペラの黄金期、サロン用歌曲に専心し、400曲近い歌曲を遺した。恋人を愛するがゆえの心の苦しみを歌う「悩み」は、リッカルド・マッツォーラの詩による。また、ダンヌンツィオの詩による《4つのアマランタの歌》所収の第2曲「暁は光から闇をへだて」は、スケールの大きな音楽で、神聖な光に消されていく夜(夢)への愛惜を歌う。


主催:東京・春・音楽祭実行委員会
※掲載の曲目は当日の演奏順とは異なる可能性がございます。
※未就学児のご入場はご遠慮いただいております。
※やむを得ぬ事情により内容に変更が生じる可能性がございますが、出演者・曲目変更による払い戻しは致しませんので、あらかじめご了承願います。
※チケット金額はすべて消費税込みの価格を表示しています。
※ネットオークションなどによるチケットの転売はお断りいたします。

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