HARUSAI JOURNAL春祭ジャーナル

春祭ジャーナル 2012/11/06

連載《マイスタージンガー》講座~《マイスタージンガー》をもっと楽しむために vol.1

恒例となっている音楽ジャーナリストの宮嶋極氏によるオペラ鑑賞講座。今年は《ニュルンベルクのマイスタージンガー》をより深く、より分かりやすくご紹介いただきます。連載第1回は、「総論」と「第1幕への前奏曲」の解説です。


文・宮嶋 極(音楽ジャーナリスト、スポーツニッポン新聞社文化社会部長)

 リヒャルト・ワーグナーのオペラや楽劇を毎年1作ずつ、演奏会形式で上演していく「東京春祭ワーグナー・シリーズ」。ワーグナー生誕200年となる2013年は、楽劇《ニュルンベルクのマイスタージンガー》が上演される。タクトはバイロイト音楽祭におけるカタリーナ・ワーグナー演出による同作のプロダクション(07~11年)で指揮を担当したセバスティアン・ヴァイグレ。演奏はNHK交響楽団。また、バイロイトでヴァルター役を演じて高い評価を得るなど、当代随一のヘルデン・テノールの呼び声も高いクラウス・フロリアン・フォークトをはじめ世界で活躍する実力派のワーグナー歌手が顔を揃えるとあって、本場さながらの高水準の演奏が期待される。

 このステージをより深く楽しんでいただくために本稿では過去3年間のWeb解説と同様に物語と音楽を同時並行的に追いながら、ワーグナーがそこに込めたメッセージについて考えていきます。テキストに記された言葉、譜面の中のさまざまな旋律に込められた多種多様な意味合いを分かりやすく紐解いていくことで、一人でも多くの方に《マイスタージンガー》の魅力を理解していただけるよう、これまで筆者が取材した指揮者や演出家らの話なども参考にしながら、一幕ずつ4回に亘って進めていきます。初回は総論に続いて第1幕への前奏曲を詳しく紹介します。なお、台本の日本語訳については、国内の公式翻訳である日本ワーグナー協会監修 三宅幸夫/池上純一翻訳『ワーグナー ニュルンベルクのマイスタージンガー』(白水社)を、譜面はドーバー社刊のフル・スコアとPETERS版のピアノ&ボーカル・スコアを参照しました。

☆作品データ
作曲:1862~67年
台本:作曲家自身の手によるドイツ語のオリジナル台本
初演:1868年6月21日、ミュンヘンの宮廷国民歌劇場 
   指揮はハンス・フォン・ビューロー
設定:16世紀中ごろのニュルンベルク

【総論】

①作品の全体像

 全3幕15場からなる《ニュルンベルクのマイスタージンガー(以下、マイスタージンガー)》、休憩を含まない正味の上演時間が4時間半を超える長大な楽劇である。ちなみにワーグナー作品上演の聖地とされるバイロイト音楽祭では幕間の休憩を1時間取ることもあって、真夏の陽光が降り注ぐ午後3時に開演しても、終演は午後10時近くなり、祝祭劇場を出ると辺りは真っ暗になっている。

 長大ではあるが、ワーグナーの歌劇・楽劇の中では比較的親しみやすい作品といえよう。その理由の第一は《ニーベルングの指環(以下、リング)》に代表されるようにワーグナーの舞台作品は初期のものを除くと神話や伝説の世界を題材としたものばかりだが、これに対して《マイスタージンガー》は16世紀中盤のニュルンベルクを舞台に実在の人物ハンス・ザックスを中心に描かれた喜劇(ワーグナーの作品群の中では初期を除けば喜劇自体が珍しい)であり、人間と芸術の価値の素晴らしさを高らかに歌い上げるという主題が多くの人に共感を抱かせるものであるからだ。

 第2の理由として考えられるのが、《マイスタージンガー》はハ長調を主調とする全音階進行が多用されていることである。これは前作の《トリスタンとイゾルデ(以下、トリスタン)》が半音階進行を突き詰めて古典派以来の機能和声の壁を打ち破る寸前にまで至った結果、全曲にわたって旋律は複雑となり、一部の場面を除いては口ずさむのすら容易ではないのに対して、《マイスタージンガー》は劇中歌の場面をはじめ親しみやすい旋律が数多く織り込まれており、思わず一緒に歌いたくなるようなメロディーが随所に登場する。

 一部の解説書には《トリスタン》=暗→半音階進行→前衛的、《マイスタージンガー》=明→全音階進行→古典回帰、などの位置付けがなされているのを見かけるが、筆者はそう単純なものではないと考える。確かに両者は対照的な性格を持つ作品ではあるが、根底では共通する要素を数多く含んでいるからだ。和声についても《マイスタージンガー》は表面的には古典回帰したような全音階進行が目立つが、注意深くスコアをチェックしてみると《トリスタン》で確立した半音階進行が内声部に隠されていたり、この時期のワーグナーならではの工夫が凝らされた和声によって《マイスタージンガー》の特徴ともいえる壮麗な響きを生み出すことを可能にしているのである。これらについては第1幕の前奏曲以降、作品を詳細に見ていく中で、具体的に紹介していくことにする。

 いずれにしても《マイスタージンガー》は、多くの市民が登場し、明るく活力に満ち溢れた人間ドラマが繰り広げられる魅力的な作品ということができる。

②創作の経緯と初演

 《マイスタージンガー》が作曲されたのは《トリスタン》の完成(1859)から3年後の1862年から67年にかけてのこと。台本は3度の散文稿執筆を経て62年初頭に完成させている。しかし、着想を得たのは《タンホイザー》の完成とほぼ同時期の1845年ごろとされる。悲劇の後に喜劇を上演する古代ギリシア劇のスタイルに倣って《タンホイザー》と対になる喜劇を書きたいというのが、そもそもの創作動機だった。台本執筆にあたってワーグナーは、中世の終盤に活躍したマイスタージンガー(親方歌手)に関する多くの資料に目を通し研究を重ねている。マイスタージンガーの組織や職位(親方→詩人→歌手→弟子→見習い)、歌を作り歌う上での形式(バール)や文法、修辞、旋律の在り方などの規則も細かく調べて作品の中に反映されているのである。

 初演は1868年6月21日、ミュンヘンの宮廷国民歌劇場でハンス・フォン・ビューローの指揮で行われ、大成功を収めた。この時、ワーグナーは客席から湧き起こった大喝采にバイエルン国王ルートヴィヒ2世が座る劇場の貴賓席から身を乗り出すようにして応えたという。バイロイトでの初演は1888年にハンス・リヒターの指揮で行われ、日本では1960年11月2日に日比谷公会堂でマンフレッド・グルリット指揮、ヴォルフラム・フンパーディンクの演出によって初めて上演された。

③歴史や政治との関わり

 《マイスタージンガー》を論ずる上で19世紀後半から20世紀にかけての歴史や政治との関わりも重要なテーマのひとつであろう。もちろんこれは本稿の主たるテーマではないが、作品の性格を理解する上では避けては通れない問題でもあるので、少しだけ触れておきたい。

 第2次世界大戦前のナチス政権下のドイツにおいて《マイスタージンガー》が政治的プロパガンダの道具として利用されたことは多くの人が知る史実である。そもそもこの作品が作られ、初演された19世紀後半のドイツは800年以上続いた神聖ローマ帝国が崩壊し多くの小国家が乱立。それが再びゆるやかな統合に向かって動き出し、ドイツ人の間に民族意識の高揚と古き良き時代へのノスタルジーが高まりをみせ始めた時期でもあった。 初演時、第3幕後半の祝祭の場では、背景に神聖ローマ皇帝の居城が霞んで見えるニュルンベルクの街のシルエットのセットが組まれていたそうで、これを見た観客・聴衆はノスタルジーをかき立てられ、最終盤のハンス・ザックスの演説にドイツ民族の誇りと統合に向けた新時代への期待を膨らませることになった。ドイツの観客にとっては見るもの、聴くもののすべてが魂を揺さぶられる楽劇だったのである。その結果、前述の通り初演は大成功したのであった。

 《マイスタージンガー》に対するそうした受け止め方は、その後も長く続いた。第1次世界大戦でドイツが敗北後の1924年に初めてバイロイトでこの作品が上演されたときには、ザックスの歌唱の途中で客席からドイツ国歌の合唱が自然発生的に沸き起こった、とのエピソードも残されている。

 こうしたことに目を付けたのがナチスだった。ヒトラーが政権をとった1933年以降は毎年ニュルンベルクで党大会が開催され、夜には市内の歌劇場で《マイスタージンガー》を上演するのが慣わしとなった。ナチスのお抱え演出家であったベヌート・アーレントによる舞台はプロパガンダ色丸出しで、ザックスの歌唱はヒトラーばりのアジテーションのような大仰な歌わせ方だったという。

 一方、同じ33年のバイロイトには熱烈なワグネリアンであったヒトラーが首相として公式訪問。この年上演された《マイスタージンガー》(カール・エルメンドルフ指揮、ハインツ・ティーチェン演出)はラジオでドイツ全土に生中継され、幕間には宣伝相のゲッペルスによる「この作品にはドイツの精神のすべての要素が含まれている」といった内容の演説も放送された。ちなみにバイロイトからの生中継はこれが初めてである。

 ドイツのマイスターの崇高な精神と芸術の素晴らしさを明るいタッチで描いたワーグナーの人間ドラマはナチスによって歪められ、ドイツ国民を戦争へと駆り立てる道具にされたのである。ヒトラーが特にこだわったとされるのは「不吉な攻撃の手が迫っている。ドイツの国も民も散り散りになり(中略)異国の腐臭漂うガラクタがドイツの地に植え付けられる。(中略)だからこそマイスターを敬おう。その心があればたとえ神聖ローマ帝国が煙と消えようともドイツの神聖な芸術はいつまでも残るであろう」とのマイスター芸術の尊さを説くザックスの言葉であった。皮肉なことにこの言葉の通り、第3帝国と称したナチス・ドイツが敗戦によって雲散霧消した後もワーグナーの芸術は21世紀の現代においてドイツのみならず、全世界に広がり多くの人に愛され続けているのである。

【第1幕への前奏曲】

 ワーグナーはオペラや楽劇を創作するにあたり、まず台本を完成させてから作曲に取り掛かることが多かったが、《マイスタージンガー》に限っては散文稿を書いている途中の1861年頃に突然、イメージが涌いて第1幕への前奏曲の骨格部分を書き上げた。

 この前奏曲の特徴は古典派交響曲のソナタ形式のような構成となっているのに加えて、高度な対位法が駆使されていることである。演奏時間約10分間の前奏曲は全体を①主題提示部→②展開部→③再現部→④終結部(コーダ)の4パートに分けられる作りとなっている。さらにハ長調(C-dur)に始まり転調しながら最後はハ長調に回帰して終わるというのもソナタ形式的なスタイルである。絶対音楽のような形を取りながらも、本編で使われる主要なライトモティーフ(示導動機)を次々と提示することで、巨大な楽劇の全体像を映画の予告編のようにわずか10分間に凝縮して聴かせる点もワーグナーならではの卓越した手法といえよう。

 では、冒頭から順を追って見て行こう。

①主題提示部に当たる部分

 テンポは「中庸を保った速さで」と指定されている。オーケストラのトゥッティ(全奏)で高らかに奏でられる有名な旋律は「マイスタージンガーの動機」(譜例①)で、調性はもちろんハ長調。明るく堂々たる雰囲気を醸し出す調で、マイスター(親方)たちの権威と威厳を表現している。


譜例1

 ハ長調で書かれた他の曲としてはモーツァルトの交響曲第41番やベートーヴェンの交響曲第5番第4楽章などが挙げられるが、何よりもこの前奏曲以上にハ長調の性格が端的に表現された曲はないだろう。それはワーグナーがある"仕掛け"を施しているからにほかならない。汁粉を作る際に塩をごく少量入れて甘みを引き立たせることは、よく知られた料理のテクニックだが、これと同じようなことをワーグナーはこの曲の冒頭から行っているのである。

 簡単に説明しよう。ハ長調はC(ド)の音を主音とする調性で、基本となる和音はC(ド)・E(ミ)・G(ソ)である。前奏曲が始まって2小節目の4拍目、ヴィオラとトロンボーンの2番に与えられた音はCis(ド♯)(譜例②)。ハ長調の響きの中にコッソリと仕込まれた"異物"のごときCisがハーモニーの全体像にコントラストをもたらす効果を生みだし、汁粉に入れる塩と同じようにハ長調の響きが一層強調されるのである。同時にこの"異物"はハーモニーに重層的な複雑さをもたらし、ノー天気な明るさとは一線を画す響きの世界の構築を可能としているのである。《トリスタン》の半音階進行で調性の壁を崩壊させる寸前まで進んだこの時期のワーグナーならではの高等テクニックということができる。こうした仕掛けはこの本作の随所に散りばめられているのである。

譜例2

 「マイスターの動機」が一段落した直後の31小節目にフルートが奏でる旋律が「求愛の動機」(譜例③)だが、さり気なく半音階進行が用いられていることにも注目していただきたい。続く41小節目のアウフタクトから登場する堂々たる旋律が「タヴィデ王の動機」(譜例④)で、本編では第3幕後半、祝祭の場にマイスターたちが彼らのシンボルであるダヴィデ王が描かれた旗を掲げて入場してくる際の音楽となっている。ダヴィデ王の絵は竪琴を手にしていることから、この動機の演奏にはハープも加わる。続いて第1ヴァイオリンによって提示されるのが「(マイスターの)芸術の動機」(譜例⑤)である。各パートが上行、下行を交差させながら対位法的に旋律を重複させて盛り上がりを見せ、一端収束する96小節目までが、ソナタ形式の主題提示部第1主題と位置付けられる。

譜例3


譜例4


譜例5

 97小節目から121小節目までが第2主題に当たる部分で、第1主題に比べると穏やかで優しい楽想が続く。まず、第1ヴァイオリンによって「愛の動機」(譜例⑥)が演奏される。調性はホ長調。明るくのどかな響きのする調である。「愛の動議」は、そのままヴァイオリンによって3連符を伴う「(愛の)情熱の動機」(譜例⑦)へと移行していく。


譜例6


譜例7

②展開部にあたる部分

 122小節目から157小節目までが展開部と位置付けることができる。木管楽器群が「マイスタージンガーの動機」と「ダヴィデ王の動機」をミックスして展開させたような軽快な旋律(譜例⑧)を奏でる。調性は変ホ長調(Es-dur)。これは第3幕後半、祝祭の場で市の書記であるベックメッサーが、ザックスの計略に引っかかっておかしな歌を披露してしまうシーンで使われる旋律。続いてチェロ→ヴィオラ→第2ヴァイオリンへと引き継がれながら拡大していくのが「哄笑の動機」(譜例⑨)。ベックメッサーが広場に集まった町の人々から笑いものにされる場面の音楽である。


譜例8


譜例9

③再現部にあたる部分

 158小節目からが再現部。本編では第3幕最終盤のザックスの演説からフィナーレまでをコンパクトにしたような作りとなっている。「マイスタージンガーの動機」をベースに「愛の動機」「ダヴィデ王の動機」などが重層的に折り重なっていき、音楽は立体的な盛り上がりを見せていく。

④コーダ

 211小節目、全オーケストラによる「マイスタージンガーの動機」が高らかに演奏されるところからがコーダに当たるパート。わずか11小節とはいえ、壮麗なコーダは聴く者を圧倒する見事なものである。オーケストラ・コンサートで単独で取り上げられる時と異なり、和音の解決を見ずにそのまま第1幕、カタリーナ教会における聖歌の合唱へとアタッカー(切れ目なく)でつながっていく。

 ところで、この壮麗かつ重層的な響きが特徴の前奏曲を音だけで聴くと、さぞや大編成のオーケストラで演奏していると思いきや、意外や意外、ほぼ2管編成のごく普通のサイズなのである。《マイスタージンガー》は第3幕でステージ上に登場するバンダを除くと《さまよえるオランダ人》と並んでワーグナーの舞台作品の中では最小規模のオーケストラ編成なのだ。いかに小ぶりな編成かは、最大編成の《リング》の第3夜《神々の黄昏》と比較してみると一目瞭然である。

《マイスタージンガー》→ピッコロ フルート2 オーボエ2 クラリネット2 ファゴット2 ホルン4 トランペット3 トロンボーン3 バス・テューバ1 ティンパニ シンバル トライアングル グロッケンシュピール ハープ1 弦5部

《神々の黄昏》→ピッコロ フルート3 オーボエ4(4番はコールアングレと持ち替え) クラリネット3 バス・クラリネット1 ファゴット3 コントラファゴット1 ホルン8(5~8番はワーグナー・テューバと持ち替え) トランペット3 バス・トランペット1 トロンボーン4 バス・テューバ1 ティンパニ2 テナードラム シンバル トライアングル グロッケンシュピール ドラ ハープ6 弦5部(第1ヴァイオリンから順に16・16・12・12・8の指定あり)

 さらにドーバー版のフル・スコアで比べてみると《マイスタージンガー》第1幕への前奏曲、全オーケストラが壮麗に鳴るコーダ冒頭の楽譜段数は20段。これに対して《神々の黄昏》第3幕「ジークフリートの葬送行進曲」でオーケストラが全開となる部分はナント! 30段にも及ぶ。その差が10段約20声部もあるにもかかわらず、《マイスタージンガー》の響きが薄くならないのはなぜなのか。

 それは前述した通り《トリスタン》で獲得した半音階進行によるさまざまな和声の技法を随所に散りばめることによって、主調を強調するのと同時に複雑な響きを生み出す効果をもたらしていること。前奏曲の中からもう一例だけ挙げておこう。「タヴィデ王の動機」の旋律はC→E→G G→A→Gと進行する。これに付けられる内声部の和音はC・E・Gのようなコードとなるのが普通だが、動機の最初のC→E→G部分のEの音が鳴っている時に内声を担当する金管楽器はA・C・Eという短調の和音を吹いている(譜例⑩)のである。それまでの作曲家ではあまり見られないワーグナーならではの"スゴ技"といえよう。

譜例10

 さらにバッハ以来の対位法を一層進化させ、より多くの旋律や声部を重層的に組み合わせるのに成功していることである。対位法とは簡単にいうと複数の旋律や声部を組み合わせて同時に演奏する技法で、古典派時代に盛んに活用された。円熟期のワーグナーは義父であるフランツ・リストの影響もあってバッハに強い関心を抱いていたようで、独自にバッハ研究も行っていたという。その成果を実際の音楽に盛り込んだのが、この《マイスタージンガー》というわけである。

 本編劇中ではヴァルターがザックスに導かれて伝統的な形式をマスターしていきながら、そこに新しい息吹を吹き込んだ素晴らしい歌を作り上げる。同じくこの前奏曲もソナタ形式のような作りや対位法の多用など伝統的な手法をベースにしながらも、そこに独自の創意工夫を凝らすことによって、それ以前にはなかった鮮やかな効果を伴った音楽に仕上げている。その意味では、ワーグナーは「伝統と革新」「規則と独創」というこの楽劇全体の主要テーマを第1幕の前奏曲で自ら実践してみせたのである。


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