PROGRAMプログラム

東京・春・音楽祭-東京のオペラの森2012-

ミュージアム・コンサート 美術と音楽~絵画に描かれた楽器たちvol.5
古楽器編~寺神戸 亮(ヴァイオリン)

プログラム詳細

Photo:堀田力丸
■日時・会場
2012.4.7 [土] 14:00開演(13:30開場)[約60分]
※ この公演は終了いたしました。
東京都美術館 講堂

■出演
ヴァイオリン:寺神戸 亮

■曲目
ビーバー:パッサカリア ト短調(《ロザリオのソナタ》より) speaker.gif[試聴]
テレマン:
 無伴奏ヴァイオリンのための幻想曲 第1番 変ロ長調 TWV40:14 speaker.gif[試聴]
 無伴奏ヴァイオリンのための幻想曲 第12番 イ短調 TWV40:25 speaker.gif[試聴]
J. S.バッハ:シャコンヌ~無伴奏ヴァイオリンのためのパルティータ 第2番 ニ短調 BWV1004より speaker.gif[試聴]
[アンコール]
J.S.バッハ:無伴奏ヴァイオリン・ソナタ 第3番 ラルゴ

《プレ・トークのご案内》
チケットをお持ちの方は、開演前にプレ・トークにご参加いただけます。
●時間:13:35~13:55
●お話:須沢友香子[博士(美術史)ロンドン大学・コートールド美術研究所]


~美術と音楽~絵画に描かれた楽器たち~
【試聴について】
speaker.gif[試聴]をクリックすると外部のウェブサイト「ナクソス・ミュージック・ライブラリー」へ移動し、
プログラム楽曲の冒頭部分を試聴いただけます。
ただし試聴音源の演奏は、「東京・春・音楽祭」の出演者および一部楽曲で編成が異なります。



出演者

ヴァイオリン:寺神戸亮 Violin:Ryo Terakado 1961年ボリヴィア生まれ。1983年に日本音楽コンクール・ヴァイオリン部門で第3位入賞。桐朋学園大学を首席で卒業すると同時に東京フィルハーモニー交響楽団にコンサートマスターとして入団。しかし、在学中より興味を抱いていたオリジナル楽器によるバロック演奏に専心するために1986年に退団、オランダのデン・ハーグ王立音楽院に留学、シギスヴァルト・クイケンのもとで研鑽を積む。同院在学中から演奏活動を始め、「レザール・フロリサン」「シャペル・ロワイヤル」「コレギウム・ヴォカーレ」「ラ・プティット・バンド」等のヨーロッパを代表する古楽器アンサンブルのコンサートマスターを歴任してきた。またソリストとしても数多くのオーケストラと協奏曲を共演。日本では、弦楽四重奏団「ミト・デラルコ」の第1ヴァイオリン奏者や「バッハ・コレギウム・ジャパン」のコンサートマスターとして活躍、日本を代表する古楽奏者として幅の広い活動を行っている。2006年より、復元楽器「ヴィオロンチェロ・ダ・スパッラ」を用いた演奏活動も精力的に行い、国内外の話題を集めている。近年はボヤン・ヴォデニチャロフ(フォルテピアノ)や曽根麻矢子(チェンバロ)といった国内外の古楽器奏者との活動を展開しており、長年デュオを組んでいるヴォデニチャロフとは、ベートーヴェンやモーツァルトのヴァイオリン・ソナタを録音している。
デンオン・アリアーレ・シリーズを中心に多くのCDを出しており、特にコレッリ『ヴイオリン・ソナタ集』(1995)、モーツァルト『ヴァイオリン協奏曲第3番、他』(1996)、ヴィオロンチェロ・ダ・スパッラによるJ.S.バッハ『無伴奏チェロ組曲全曲』(2008)はレコード・アカデミー賞を、バッハ『無伴奏ヴァイオリンのためのソナタとパルティータ』は芸術祭優秀作品賞(2000)を受賞する等、いずれも好評を博している。最新の録音はテレマン『無伴奏ヴァイオリンのための12のファンタジア』(2011)。「第1回北とぴあ国際音楽祭」(1995)において、パーセルの《ダイドーとエネアス》で指揮者デビュー。以後、同音楽祭ではラモーやモーツァルト等、フランス・バロックとモーツァルトの作品を中心に公演し、日本で最もバロック・オペラに精通した貴重な存在として注目を集めている。現在、デン・ハーグ王立音楽院教授、桐朋学園大学音楽学部特任教授。ブリュッセル在住。

公式サイト  http://www.lesboreades.info/RyoTerakado/

©T.Nagata

ヴァイオリン:寺神戸亮 Violin:Ryo Terakado

■曲目解説

ビーバー:パッサカリア ト短調(《ロザリオのソナタ》より)
北ボヘミア(現チェコ領)出身の作曲家ハインリヒ・ビーバー(1644-1704)は、ザルツブルクの宮廷で活躍し、新たなヴァイオリン奏法の開発によってヴァイオリン音楽の発展に大きな足跡を残した。1676年頃に完成した《ロザリオのソナタ》にもスコルダトゥーラ(調弦を変えて演奏する方法)と重音奏法という、当時としては画期的な奏法がふんだんに取り入れられている。この「パッサカリア ト短調」は、全15曲のソナタに続いて曲集の最後に置かれたもの。低音部で下降する4つの音の上で、様々なスタイルによる変奏が繰り広げられる。

テレマン:
無伴奏ヴァイオリンのための幻想曲 第1番 変ロ長調 TWV40:14
無伴奏ヴァイオリンのための幻想曲 第12番 イ短調 TWV40:25

ゲオルク・フィリップ・テレマン(1681-1767)はドイツの後期バロック音楽を代表する作曲家のひとりで、優に3000を超える膨大な作品を残し、当時はバッハを凌ぐほどの人気を得ていた。また、幼少期より数々の楽器を体得し、特にリコーダーの名手としても知られている。1735年出版の《無伴奏ヴァイオリンのための幻想曲》は全12曲。
今回演奏される第1番はやや即興的な楽句によるラルゴの導入部、フーガのような提示部から始まるアレグロ、ト短調に転調して荘重な雰囲気のグラーヴェ(重々しく)の後、アレグロ部分の再現によって締め括られる。
第12番は、付点リズムの連続が特徴的なモデラートのテンポによる導入部、めまぐるしく動きつつも優雅さを持ったヴィヴァーチェ(活発に)の中間部、さらにテンポを上げて、プレスト(急速に)との指定がある終結部へと向かう。

J. S.バッハ:
シャコンヌ~無伴奏ヴァイオリンのためのパルティータ 第2番 ニ短調 BWV1004より

この「シャコンヌ」は本来、J. S.バッハ(1685-1750)《無伴奏ヴァイオリンのためのパルティータ》第2番の第5楽章であるが、その荘厳かつ広大なスケール感を持つ音楽は、ブゾーニによるピアノ版やストコフスキーらによるオーケストラ版等、様々な楽器編成のために編曲され、独立した形で演奏されることも多い。今回演奏されるオリジナルのヴァイオリン版は、重音奏法の連続等、技術的難易度の高い作品として、現代のヴァイオリニストにとっても、未だ最高峰として眼前に立ちはだかる存在である。



主催:東京・春・音楽祭実行委員会 共催:東京都美術館

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