PROGRAMプログラム

東京・春・音楽祭-東京のオペラの森2012-

ミュージアム・コンサート 美術と音楽~絵画に描かれた楽器たちvol.2
ハープ編~篠﨑和子(ハープ)

プログラム詳細

Photo:堀田力丸
■日時・会場
2012.4.3 [火] 14:00開演(13:30開場)[約60分]
※ この公演は終了いたしました。
東京都美術館 講堂

■出演
ハープ:篠﨑和子

■曲目
デュセック:ソナタ ハ短調 speaker.gif[試聴]
ロータ:サラバンドとトッカータ speaker.gif[試聴]
アッセルマン:練習曲 op.44「泉」 speaker.gif[試聴]
サルツェード:夜の歌 speaker.gif[試聴]
ドビュッシー(ルニエ編):《2つのアラベスク》より第1番 変ホ長調 speaker.gif[試聴]
ドビュッシー:《前奏曲集 第1集》より「亜麻色の髪の乙女」 speaker.gif[試聴]
ルニエ:伝説 speaker.gif[試聴]
[アンコール]
トゥルニエ:演奏会用練習曲「朝に」

《プレ・トークのご案内》
チケットをお持ちの方は、開演前にプレ・トークにご参加いただけます。
●時間:13:35~13:55
●お話:須沢友香子[博士(美術史)ロンドン大学・コートールド美術研究所]


~美術と音楽~絵画に描かれた楽器たち~
【試聴について】
speaker.gif[試聴]をクリックすると外部のウェブサイト「ナクソス・ミュージック・ライブラリー」へ移動し、
プログラム楽曲の冒頭部分を試聴いただけます。
ただし試聴音源の演奏は、「東京・春・音楽祭」の出演者および一部楽曲で編成が異なります。


出演者

ハープ:篠﨑和子 Harp:Kazuko Shinozaki 桐朋女子高等学校音楽科を経て、桐朋学園大学音楽学部演奏学科卒業。同大学在学中にNTTドコモより奨学金を得る。また、ニース音楽院を審査員満場一致の金メダルを得て卒業。1992年、第4回日本ハープコンクール・ジュニア部門優勝、1993年、第1回リリー・ラスキーヌ国際ハープコンクール・ジュニア部門第2位、1997年、第9回日本ハープコンクール・プロフェッショナル部門第2位、1998年UFAM国際音楽コンクール・ハープ上級部門第1位、2001/04年、第5回及び第6回USA国際ハープコンクール入賞、2006年、第18回エクソンモービル音楽賞洋楽部門奨励賞、2008年度第19回出光音楽賞受賞。2002年、文化庁派遣芸術家在外研修員として2年間フランスへ留学。新日本フィルハーモニー交響楽団、東京交響楽団、東京シティ・フィルハーモニック管弦楽団、東京ニューシティ管弦楽団、神奈川フィルハーモニー管弦楽団、大阪センチュリー交響楽団、セントラル愛知交響楽団等、国内主要オーケストラとの共演の他、東京オペラシティ・リサイタルシリーズ「B→C」、フィリアホール「女神との出逢い」、紀尾井ホール「紀尾井ニュー・アーティスト・シリーズ」、びわ湖ホール「びわ湖からはばたく」、トッパンホール「エスポワールシリーズ」等のリサイタルや、室内楽の演奏会へも多数出演。また、東京のオペラの森、サイトウ・キネン・フェスティバル松本等にも参加している。2009年、小澤征爾音楽塾講師。
2002年『塔の中の王妃』(Meister Music)でCDソロデビュー。その他、篠﨑史子との『メリー・クリスマス』(Sony Records)、チェンバロのローラン・テシュネとの『チェンバロ+ハープⅡ(DVD付)』(ALM Records)、工藤重典との『モーツァルト:フルートとハープのための協奏曲K.299』(Meister Music)等がリリースされている。これまでに、母・篠﨑史子、ヨセフ・モルナール、マリー=クレール・ジャメ、ミッシェル・ヴィオーム、イザベル・モレッティ、ジェルメーヌ・ロレンツィーニ各氏に師事。

©Satoru MITSUTA

ハープ:篠﨑和子 Harp:Kazuko Shinozaki

■曲目解説

J.L.デュセック:ソナタ ハ短調
ボヘミア生まれのヨハン・ラディスラウス・デュセック(1760-1812)は、生涯ヨーロッパ各地を駆け巡った。その波乱万丈な人生は、まさに「ボヘミアン」という言葉に相応しい。ピアノ作品の作曲家としては、ロマン派の先駆けとなって名声を博したが、ハープ奏者との因縁浅からぬ彼は、ハープのための作品も書いている。この《ソナタ ハ短調》は、数少ない古典期のハープ独奏作品であり、世界中のハープ奏者のレパートリーともなっている。

N.ロータ:サラバンドとトッカータ
フェデリコ・フェリーニやフランシス・コッポラの映画作品に、忘れ得ぬ音楽を添えたイタリアの作曲家ニーノ・ロータ(1911-1979)。彼にとって映画音楽は本領ではなかったが、世間が彼のクラシック作品に注目したのは没後のことであった。1945年に作曲されたハープのための《サラバンドとトッカータ》は、バロック音楽の様式を借りつつも、彼の映画音楽に見られる甘美かつ独創的な音楽性が反映された作品である。

A.アッセルマン:練習曲 op.44「泉」
アルフォンス・アッセルマン(1845-1912)はベルギー出身のハープ奏者で、後述するルニエ等、20世紀を代表する多くのハープ奏者が彼によって育てられた。数十曲のハープ独奏曲を書いたが、その代表作である「泉」は、ハープの演奏技術を駆使した練習曲として現代のハープ奏者を魅了すると同時に、美しい泉の湧き出るさまを思い起こさせるような音楽表現が、ハープ愛好家をも魅了する佳品となっている。

C.サルツェード:夜の歌
カルロス・サルツェード(1885-1961)はフランス出身のスペイン人ハープ奏者。ルニエの弟子であり、主にアメリカに渡って活動した。彼が開発した特殊奏法の数々は、現代のハープ演奏史に多大な影響を与えている。《夜の歌》は、印象派風の調べの中に、彼が開発した爪で弦をこする奏法や楽器の胴を叩く奏法等、スペインのフラメンコ・ギターを彷彿とさせるような新しい音色への探求が取り入れられた聴き応えのある作品となっている。

ドビュッシー(ルニエ編):《2つのアラベスク》より第1番
1888年作曲、1891年に改訂されたピアノ作品《2つのアラベスク》は、クロード・ドビュッシー(1862-1918)の初期における重要作品である。典型的な三部形式ながら、和声は当時の新しい技法に影響を受ける等、初期の作風を知る上で興味深い。第1番における軽やかなアルペッジョは、繊細な感覚の美しさを誰の耳にも印象的に残すものだろう。今回演奏されるハープ版は、フランスの女流ハープ奏者アンリエット・ルニエ(1875-1956)によるものである。

ドビュッシー:《前奏曲集 第1集》より「亜麻色の髪の乙女」
24曲構成の前奏曲集と言えば、バッハ《平均律クラヴィーア》或いはショパン《24の前奏曲》の存在が大きい。ドビュッシーの《前奏曲集》は、各12曲の全2集に収められ、彼の後期ピアノ作品における集大成である。1910年完成の第1集8曲目「亜麻色の髪の乙女」は、フランスの高踏派詩人ルコント・ド・リール(1818-1894)の同名詩に登場する少女に捧げられたもの。さくらんぼの唇を持つ美少女の面影が、牧歌的な旋律と優美な和音の中に浮かび上がる。

H.ルニエ:伝説
前出のドビュッシー作品の編曲をしたルニエであるが、彼女は優れた教師として著名な門弟を輩出し、また作曲家としても多くのハープ作品を書いて、この楽器のレパートリー開拓に多大な貢献を果たした。《伝説》は1903年の作品で、フランスの詩人ルコント・ド・リールの『妖精たち』をもとに書かれたもの。メロディックな導入部から、やがて技巧的な要素が差し挟まれ、それらを交えた展開によって神秘的な音の世界を創り出している。



主催:東京・春・音楽祭実行委員会 共催:東京都美術館

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