PROGRAMプログラム

東京・春・音楽祭-東京のオペラの森2015-

《24の前奏曲》シリーズ vol.4スクリャービン    野平一郎(ピアノ)

《24の前奏曲》シリーズ、今シーズンの最後を飾るのは、没後100年となるスクリャービン。
独自の色彩感を放つ野平一郎が、スクリャービンの神性な世界と、ラヴェルや現代作品を、抜群のセンスでお届けします。

プログラム詳細

2015:04:09:19:00:00

■日時・会場
2015.4.9 [木] 19:00開演(18:30開場)
東京文化会館 小ホール

■出演
ピアノ:野平一郎

■曲目
ラヴェル:
 水の戯れ speaker.gif[試聴]
 高雅で感傷的なワルツ speaker.gif[試聴]
ベンジャミン:《3つの練習曲》
 第1曲 アイアンビック・リズムによる幻想曲
 第2曲 ハイドンの名による瞑想曲
 第3曲 相対性ラグ
スクリャービン:
 ピアノ・ソナタ 第9番 op.68 《黒ミサ》speaker.gif[試聴]
 24の前奏曲 op.11 speaker.gif[試聴]

[アンコール]
ラヴェル:ハイドンの名によるメヌエット

 
【試聴について】
speaker.gif[試聴]をクリックすると外部のウェブサイト「ナクソス・ミュージック・ライブラリー」へ移動し、
プログラム楽曲の冒頭部分を試聴いただけます。
ただし試聴音源の演奏は、「東京・春・音楽祭」の出演者および一部楽曲で編成が異なります。



出演者

ピアノ:野平一郎 Piano:Ichiro Nodaira 1953年生まれ。東京藝術大学、同大学院修士課程作曲科を修了後、フランス政府給費留学生としてパリ国立高等音楽院に学ぶ。作曲、ピアノ、指揮、プロデュース、教育等の多方面に渡る活動を行う。ピアニストとしては国内外のオーケストラにソリストとして出演する一方、多くの内外の名手たちと共演し、室内楽奏者としても活躍。古典から現代までレパートリーは幅広い。▼続きを見るマヌリやベンジャミン、松平頼則の作品を世界初演。リゲティ、武満徹作品他の日本初演を行う。また、東京シンフォニエッタの初代代表を務めた。80曲以上に及ぶ自らの作品の中にはフランス文化省、アンサンブル・アンテルコンタンポラン、IRCAM、ベルリン・ドイツ交響楽団、国立劇場その他からの委嘱作品がある。2002年に東京でエレキギター協奏曲《炎の弦》をステーヴ・ヴァイのソロで、また05年にはドイツでオペラ《マドルガーダ》をケント・ナガノ指揮で、06年には東京でチェロとオーケストラのための《響きの連鎖》を初演。12年6月パリでサクソフォーンとコンピュータのための《息の道》を世界初演。第12回中島健蔵音楽賞(1996)、第35回サントリー音楽賞(2004)、第55回芸術選奨文部科学大臣賞(2005)、紫綬褒章(2012)、尾高賞(1996、2013)を受賞。現在、静岡音楽館AOI芸術監督、東京藝術大学作曲科教授。

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ピアノ:野平一郎 Piano:Ichiro Nodaira

■曲目解説

ラヴェルの作品
 ラヴェルはパリ音楽院在学中の1901年、この《水の戯れ》を作曲した。初演は酷評されたが、今日ではラヴェル独自の書法が開花した曲として高い評価を得ている。また、ピアノ音楽における印象主義の幕開けを告げた曲とも位置づけられている。7の和音・9の和音を基調としたアルペジオ、不協和音により、光とともに変化する噴水の色彩が巧みに表現されている。
 《高雅で感傷的なワルツ》は1911年に作られ、翌年には管弦楽版が編曲された。ラヴェルは自ら、シューベルトのワルツを手本にしたと語っている。短い7曲のワルツとエピローグは鮮明なコントラストを成し、尖鋭的な和声とペダルを多用した重層的な響きがあいまって、回顧的でありながら超現実的な世界を現出させている。

ジョージ・ベンジャミン:3つの練習曲
 ロンドン出身のジョージ・ベンジャミンは1970年代後半、パリ音楽院に留学し、メシアンから才能を認められた。のちにはブーレーズにも認められ、IRCAM(フランス国立音響音楽研究所)との協力体制を築きあげた。よって、彼の作品はイギリス音楽よりもむしろ、フランス音楽の伝統を汲んでいる。音という光が乱反射し、相互に新しい色彩をつくりだしているかのような本作は、研ぎ澄まされた美しさと現代的な響きを持っている。

スクリャービンの作品
 単一楽章から成るピアノ・ソナタ 第9番《黒ミサ》は、1912~13年にかけて作られた。《黒ミサ》という通称は、曲の性格がピアノ・ソナタ第7番《白ミサ》と好対照をなすことによる。本曲は「第7番」とともに、スクリャービンの神秘主義への傾倒が指摘されている。冒頭の物憂い主題が変奏されつつ次第に速度を増し、悪魔的なプレストに達するが、最後にはどこか退廃的な静けさが訪れる。
 《24の前奏曲》は、1890年代半ばの二度にわたるヨーロッパ旅行の際に作曲したものと、それ以前に作曲したものとが組み合わされており、作曲期間としてはモスクワ音楽院に入学した16歳から24歳までと幅広い。スクリャービンはショパンの《24の前奏曲》に倣って、C音を起点として平行調を挟みながら5度圏をめぐる配列方式をとっている。情感的なパッセージと流麗な和声にはショパンの影響が感じられるが、息の長い旋律や倍音を存分に生かした和声などには、スクリャービンの独自性が見られる。少年期から青年期にかけて作られたこれら24曲は、いずれも瑞々しい感性に満ちている。


主催:東京・春・音楽祭実行委員会
※掲載の曲目は当日の演奏順とは異なる可能性がございます。
※未就学児のご入場はご遠慮いただいております。
※やむを得ぬ事情により内容に変更が生じる可能性がございますが、出演者・曲目変更による払い戻しは致しませんので、あらかじめご了承願います。
※チケット金額はすべて消費税込みの価格を表示しています。
※ネットオークションなどによるチケットの転売はお断りいたします。

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