PROGRAMプログラム

東京・春・音楽祭-東京のオペラの森2015-

《24の前奏曲》シリーズ vol.3ショパン    アレクサンドル・メルニコフ(ピアノ) III

メルニコフならではの色彩感と解釈で、誰もが知るショパンの名曲に新たな息吹をもたらす。多彩で的確なタッチで描きだすショパンと没後100年を迎えるスクリャービンのロマンティックで神秘的な世界。

プログラム詳細

2015:04:01:19:00:00

■日時・会場
2015.4.1 [水] 19:00開演(18:30開場)
東京文化会館 小ホール

■出演
ピアノ:アレクサンドル・メルニコフ

■曲目
ショパン:24の前奏曲 op.28 speaker.gif[試聴]
スクリャービン:
 幻想曲 ロ短調 op.28 speaker.gif[試聴]
 2つの詩曲 op.32 speaker.gif[試聴]
 ピアノ・ソナタ 第3番 嬰へ短調 op.23
 5つの前奏曲 op.74 speaker.gif[試聴]

[アンコール]
プロコフィエフ:束の間の幻影 より Ridicolosamente
ブラームス:6つの小品 No.3
シューマン:子供の情景 より 第1曲 見知らぬ国と人々について

【試聴について】
speaker.gif[試聴]をクリックすると外部のウェブサイト「ナクソス・ミュージック・ライブラリー」へ移動し、
プログラム楽曲の冒頭部分を試聴いただけます。
ただし試聴音源の演奏は、「東京・春・音楽祭」の出演者および一部楽曲で編成が異なります。


出演者

ピアノ:アレクサンドル・メルニコフ Piano:Alexander Melnikov モスクワ音楽院でレフ・ナウモフキ教授に師事し卒業。モスクワでのメルニコフの音楽形成上最も影響を与えた瞬間には、スビャトスラフ・リヒテルとの早期の出会いが含まれる。リヒテルは、その後ロシアとフランスのフェスティバルに定期的にメルニコフを招いた。メルニコフは、ツヴィカウのロベルト・シューマン国際コンクール(1989年)、▼続きを見るブリュッセルのエリザベート王妃国際音楽コンクール(1991年)を含む有名コンクールの受賞者である。 メルニコフのプログラミングはしばしば独特だと言われる。メルニコフは、ピアニスト人生を通して持ち続けている歴史的な演奏慣行への興味を、幼い頃に発見した。この分野において彼に影響を与えたのは、数多くのプロジェクトを共にしたアンドレアス・シュタイアーとアレクセイ・リュビモフである。メルニコフは、コンチェルト・ケルン、ベルリン古楽アカデミー等の優れたアンサンブルと定期的に共演している。
メルニコフはアンドレアス・シュタイアーと共に、バッハの平均律クラヴィーア(アンドレアス・シュタイアー:ハープシコード)の抜粋を、ショスタコーヴィチの24の前奏曲とフーガ(アレクサンドル・メルニコフ:ピアノ)との音楽的対話に置くプログラムを考え出した。室内楽のパートナーとしてしばしば組む演奏家には、チェロのアレクサンドル・ルディン、ジャン=ギエン・ケラスがおり、バリトンのゲオルク・ニグルもまたメルニコフの仕事の不可欠な一員である。
メルニコフのハルモニア・ムンディ・レーベルとのかかわりは、常連のリサイタル・パートナーであるヴァイオリニスト、イザベル・ファウストを通して生まれた。2010年、ふたりのベートーヴェンヴァイオリン・ソナタ全曲録音は、グラモフォン賞とドイツのエコー・クラシック賞に輝いた。この曲の録音の試金石となったこのCDは、グラミー賞にもノミネートされた。ファウストとの最新のCDであるウェーバーの室内楽曲集は、2013年1月にリリースされた。
メルニコフのショスタコーヴィチの前奏曲とフーガ全曲録音は、BBCミュージック・マガジン賞、ショク・ド・クラシカ、ドイツレコード批評家賞の年間賞を受賞した。2011年には、同録音はBBCミュージック・マガジンの「史上最高のCD50選」に選ばれた。加えてメルニコフのディスコグラフィにはブラームス、ラフマニノフ、スクリャービンが含まれ、テオドール・クルレンツィス指揮マーラー室内管弦楽団共演のショスタコーヴィチのピアノ協奏曲集は、高い評価を受けた。
ソリストとしてこれまでに共演したオーケストラは、ロイヤル・コンセルへボウ管弦楽団、ライプツィッヒ・ゲヴァントハウス管弦楽団、フィラデルフィア管弦楽団、北ドイツ放送交響楽団、フランクフルト放送交響楽団、ロシア・ナショナル管弦楽団、ミュンヘン・フィルハーモニー管弦楽団、ロッテルダム・フィルハーモニー管弦楽団、BBCフィルハーモニック、NHK交響楽団があり、指揮者ではミハイル・プレトニョフ、テオドール・クルレンツィス、シャルル・デュトワ、パーヴォ・ヤルヴィ、ワレリー・ゲルギエフがいる。
メルニコフは、アムステルダムのムジークヘボウの2013/14シーズンのアーティスト・イン・レジデンスである。今シーズンは、アントニ・ヴィット指揮ワルシャワ・フィル共演によるBBCプロムスの初出演で始まり、その後イルジー・ビエロフラーヴェク指揮チェコ・フィルのシーズン開幕公演での演奏が続く。そのほかの今シーズンの共演者は、マーラー室内管、フライブルク・バロックオーケストラ、アムステルダム・シンフォニエッタ、シアトル響、ユタ響、ニュージーランド響などが含まれる。ソロでは、メゾン・シンフォニーク・ド・モントリオール、ロンドンのウィグモア・ホール、アントワープのDe Singel、モーツァルテウム・ザルツブルク、大阪、名古屋、東京のコンサート・ホールでの演奏が予定されている。

© Marco Borggreve
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ピアノ:アレクサンドル・メルニコフ Piano:Alexander Melnikov

■曲目解説

ショパン:24の前奏曲

ショパンは 1936 年頃からこの曲集に着手し、恋人ジョルジュ・サンドとともに静養のために訪れていたマヨルカ島で 1939 年 1 月に完成させた。

J.S.バッハに深い敬意を抱いていたショパンは、《平均律クラヴィーア曲集》の系譜に連なる作品を残す ことを望んでいた。そのため、この 《 前奏曲集》 の 24 曲は全て異なる調性で書かれている。しかし、曲の配列に関しては、長短調を交互に配列した 5 度循環によっている。つまりハ長調・イ短調・ト長調・ホ短調……というように平行短調を間に挟みながら、5 度ずつ上がっていく。第 13 番(嬰へ長調)までは♯記号 がひとつずつ増えていくが、第 14 番は嬰ニ短調(嬰へ長調の平行調)が変ホ短調と読み替えられ、これ 以降は♭記号がひとつずつ減っていく。

各曲が個別に演奏されることもあるが、現在では全 24 曲でひとつの作品を成すと考えられることが多い。 曲の長さ・難易度ともにばらつきがあり、共通した形式は見られないが、全曲通して演奏されることにより、 ショパンの音楽的魅力・エッセンスが一篇のドラマを織りなすように浮かび上がってくる。

なかでも第 7 番は大変短い曲だが、歌謡風のゆったりとした主題が印象的で、そのメロディは誰しも聞き覚えがあるだろう。また第 15 番は有名な「雨だれの前奏曲」で、雨だれの浄らかな静けさ(変ニ長調)と 鬱屈した熱情(嬰ハ短調)のコントラストが見事である。

スクリャービンの作品

《幻想曲》 は、スクリャービンがモスクワ音楽院ピアノ科教授として多忙な日々を送っていた 1900 年に 作られた曲で、情熱的な第 1 主題、26 小節にわたって繰り広げられる流麗な第 2 主題、密集和音の連打 でドラマティックに展開する第 3 主題が次々と現れ、複雑に変奏されていく。《2 つの詩曲》 の第 1 曲では2 つの旋律が絡み合い、薄靄に包まれた風景を想起させる。また、ここにはスクリャービンの後期作品の特徴である神秘和音が用いられている。力強い和音の連打が印象的な第 2 曲は、スクリャービンが 1900年頃から計画していた大規模な舞台作品《神秘劇》(未完)の断片にもとづいている。《ピアノ・ソナタ 第 3番》 は、緩・急・緩・急の 4 楽章形式。第 1 楽章の主題は暗い情念に満ちており、第 4 楽章の激しい終結部でも繰り返される。第 3 楽章にはスクリャービン自身が「星が歌う」と評した夢幻的な旋律が現れる。《5 つの前奏曲》 は作曲家最後の作品番号を持つ曲で、全編にわたって半音階的な音型・和音が聴かれ、 メランコリックな雰囲気を醸し出している。


主催:東京・春・音楽祭実行委員会 後援:ロシア連邦大使館

※掲載の曲目は当日の演奏順とは異なる可能性がございます。
※未就学児のご入場はご遠慮いただいております。
※やむを得ぬ事情により内容に変更が生じる可能性がございますが、出演者・曲目変更による払い戻しは致しませんので、あらかじめご了承願います。
※チケット金額はすべて消費税込みの価格を表示しています。
※ネットオークションなどによるチケットの転売はお断りいたします。

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