PROGRAMプログラム

東京・春・音楽祭-東京のオペラの森2013-

ミュージアム・コンサート東博でバッハ vol.15 寺神戸 亮(ヴァイオリン)

東京春祭の人気シリーズ「東博でバッハ」。今年もまた多彩な顔ぶれ、実力派たちが並び、それぞれのバッハをお届けします。音楽を愛し、学ぶすべての人を魅了するバッハの様々な魅力を、今年もお楽しみください。

プログラム詳細

2013:04:09:19:00:00

© 青柳 聡
■日時・会場
2013.4.9 [火] 19:00開演(18:30開場)
東京国立博物館 法隆寺宝物館エントランスホール

■出演
ヴァイオリン:寺神戸 亮

■曲目
テレマン:
 無伴奏ヴァイオリンのための幻想曲 第1番 変ロ長調 TWV40:14 speaker.gif[試聴]
J.S.バッハ:
 無伴奏ヴァイオリンのためのソナタ 第2番 イ短調 BWV1003 speaker.gif[試聴]
 無伴奏ヴァイオリンのためのソナタ 第1番 ト短調 BWV1001 speaker.gif[試聴]
 無伴奏ヴァイオリンのためのパルティータ 第2番 ニ短調 BWV1004 speaker.gif[試聴]
[アンコール]
J.S.バッハ:ラルゴ(無伴奏ヴァイオリンのためのソナタ 第3番 BWV1005より)

【試聴について】
speaker.gif[試聴]をクリックすると外部のウェブサイト「ナクソス・ミュージック・ライブラリー」へ移動し、
プログラム楽曲の冒頭部分を試聴いただけます。
ただし試聴音源の演奏は、「東京・春・音楽祭」の出演者および一部楽曲で編成が異なります。


~東博でバッハ~

出演者

ヴァイオリン:寺神戸亮 Ryo Terakado 1961年ボリヴィア生まれ。1983年に日本音楽コンクール・ヴァイオリン部門で第3位入賞。桐朋学園大学を首席で卒業すると同時に東京フィルハーモニー交響楽団にコンサートマスターとして入団。しかし、在学中より興味を抱いていたオリジナル楽器によるバロック演奏に専心するために1986年に退団、オランダのデン・ハーグ王立音楽院に留学、▼続きを見る シギスヴァルト・クイケンのもとで研鑽を積む。同院在学中から演奏活動を始め、「レザール・フロリサン」「シャペル・ロワイヤル」「コレギウム・ヴォカーレ」「ラ・プティット・バンド」等のヨーロッパを代表する古楽器アンサンブルのコンサートマスターを歴任してきた。またソリストとしても数多くのオーケストラと協奏曲を共演。日本では、弦楽四重奏団「ミト・デラルコ」の第1ヴァイオリン奏者や「バッハ・コレギウム・ジャパン」のコンサートマスターとして活躍、日本を代表する古楽奏者として幅の広い活動を行っている。2006年より、復元楽器「ヴィオロンチェロ・ダ・スパッラ」を用いた演奏活動も精力的に行い、国内外の話題を集めている。近年はボヤン・ヴォデニチャロフ(フォルテピアノ)や曽根麻矢子(チェンバロ)といった国内外の古楽器奏者との活動を展開しており、長年デュオを組んでいるヴォデニチャロフとは、ベートーヴェンやモーツァルトのヴァイオリン・ソナタを録音している。 デンオン・アリアーレ・シリーズを中心に多くのCDを出しており、特にコレッリ『ヴイオリン・ソナタ集』(1995)、モーツァルト『ヴァイオリン協奏曲第3番、他』(1996)、ヴィオロンチェロ・ダ・スパッラによるJ.S.バッハ『無伴奏チェロ組曲全曲』(2008)はレコード・アカデミー賞を、バッハ『無伴奏ヴァイオリンのためのソナタとパルティータ』は芸術祭優秀作品賞(2000)を受賞する等、いずれも好評を博している。最新の録音はテレマン『無伴奏ヴァイオリンのための12のファンタジア』(2011)。「第1回北とぴあ国際音楽祭」(1995)において、パーセルの《ダイドーとエネアス》で指揮者デビュー。以後、同音楽祭ではラモーやモーツァルト等、フランス・バロックとモーツァルトの作品を中心に公演し、日本で最もバロック・オペラに精通した貴重な存在として注目を集めている。現在、デン・ハーグ王立音楽院教授、桐朋学園大学音楽学部特任教授。ブリュッセル在住。

公式サイト http://www.lesboreades.info/RyoTerakado/

©T.Nagata ▲プロフィールを閉じる

ヴァイオリン:寺神戸亮 Ryo Terakado

■曲目解説

テレマン:無伴奏ヴァイオリンのためのファンタジア 第1番 変ロ長調 TWV40:14
 当時はJ.S.バッハを凌ぐほどの人気を誇ったテレマンは、バッハとも親交があり、その次男カール・フィリップ・エマニュエル・バッハの名付け親にもなっている。1735年に出版された《無伴奏ヴァイオリンのためのファンタジア》は全12曲。対位法やヴァイオリンの高度な技巧を織り交ぜながらも、「幻想曲」という自由な形式のせいか、バッハの無伴奏作品とは対照的に即興風のリラックスした音楽である。
 今回演奏される第1番は、即興的にたっぷりと歌うラルゴに始まり、フーガ的な提示部を持つ明るい協奏曲風のアレグロ、一転してグラーヴェでは荘重な雰囲気の旋律が奏され、最後に先の快活なアレグロの再現で曲を閉じる。

J.S.バッハ:無伴奏ヴァイオリンのための作品
 《無伴奏ヴァイオリンのためのソナタとパルティータ》の全6曲は、ソナタとパルティータそれぞれ3曲ずつで構成されている。1720年の日付がある自筆譜は存在するが、それらは清書譜であるため、作曲されたのは1720年以前と推定されている。一挺のヴァイオリンによる和声や対位法の表現、演奏技巧の可能性がとことんまで突き詰められた作品である。

無伴奏ヴァイオリンのためのソナタ 第2番 イ短調 BWV1003
 無伴奏における3曲のソナタはすべて「緩/急/緩/急」の教会ソナタの形式をとった4楽章構成で、第2楽章がフーガになっている。
 何よりもこの第2番を特徴づけるのは第2楽章に置かれた長大なフーガだろう。第1楽章グラーヴェは、巧みに用いられた重音を従えて大きく歌うように奏され、次に続くフーガの前奏曲的な役割を担う。第2楽章フーガは、全楽章の中で最もスケールが大きく、起伏に富んだダイナミクスをつけるための高度な技法が用いられている。第3楽章アンダンテでは、重音による通奏低音部を従えて、美しく清らかな旋律が伸びやかに歌う。終楽章のアレグロでは、無窮動的に繰り出される速いテンポの16分音符が、同じパッセージに強弱をつけて奏されることにより、エコーのような効果を生み出している。

無伴奏ヴァイオリンのためのソナタ 第1番 ト短調 BWV1001
 ソナタの第1番は、第3楽章にシチリアーナという、シチリア島起源の田園的な舞曲が置かれているのが特徴である。
 第1楽章は、全6曲の無伴奏作品群の冒頭を飾るアダージョ。重音による和声進行の暗示から音階的な旋律が淀みなく流れ出すように、深い瞑想へと誘われる。第2楽章は、巧みに書かれたフーガで、ヴァイオリン2挺で奏されているかのような疑似対位法が展開される。第3楽章は一転してのどかなシチリアーナとなる。牧歌的な旋律は素朴だが、楽曲全体で見ればフーガの緊張に続いて、気分を安らかに弛緩させる役割を担っている。第4楽章プレストは、息をつく間もないほどの速いテンポで16分音符のパッセージが一気に駆け抜ける。

無伴奏ヴァイオリンのためのパルティータ 第2番 ニ短調 BWV1004
 「パルティータ」は、いくつかの舞曲が並べられた組曲といった意味を持つ。このパルティータ第2番が、最も知られているのは、ひとえに第5楽章に置かれた「シャコンヌ」による。第4楽章までは、アレマンダ/コレンテ/サラバンダ/ジーガという伝統的な舞曲の定型で進み、ボリューム的にはこれらが前半に相当する。そして後半を占めるのが、3拍子の古い舞曲を出自とするシャコンヌである。シャコンヌ冒頭で呈示される8小節の主題は、4小節ずつ前後半に分かれて同じ和声進行を繰り返し、その8小節の主題がさらに30回に渡り変奏されていく。


主催:東京・春・音楽祭実行委員会 共催:東京国立博物館

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