東京・春・音楽祭-東京のオペラの森2017-
ベンジャミン・ブリテンの世界I
~20世紀英国を生きた、才知溢れる作曲家の肖像
リヒテル、ロストロポーヴィチなど名だたる演奏家との交流を持ち、自身もピアニスト、指揮者として多くのステージに立ったブリテン。複雑に絡んだ社会情勢を生きた時代の伝導者としての一面に加え、歌曲や室内楽作品からオペラまで、5年かけて紹介する、東京春祭ならではの企画の第1章が幕を開けます。
プログラム詳細
2017:03:26:15:00:00
2017.3.26 [日] 15:00開演(14:30開場)
上野学園 石橋メモリアルホール
■出演
企画・構成・お話:加藤昌則
チェロ:辻本 玲
オーボエ:荒 絵理子
テノール:鈴木 准
ピアノ:加藤昌則、三浦友理枝
■曲目
ブリテン:
《5つのワルツ》 より【ピアノ:加藤昌則】
第2番 素速く、ウィットを持って

第5番 変奏曲:静かに、そしてシンプルに

組曲 《休日の日記》 op.5 より【ピアノ:三浦友理枝】
第2曲 出帆

第3曲 移動遊園地

無伴奏チェロ組曲 第1番 op.72 より VI. 無窮動と第4の歌
【チェロ:辻本玲】[試聴]
【オーボエ:荒絵理子】 [試聴]
2. フェートン
4. バッカス
6. アレトゥーサ
2つの昆虫の小品 【ピアノ:加藤昌則、オーボエ:荒絵理子】

1. バッタ
2. スズメバチ
《ミケランジェロの7つのソネット》 op.22
【テノール:鈴木准、ピアノ:加藤昌則】 [試聴]

夏の名残のバラ

[アンコール]
作者不詳(ブリテン編):フォギー・デュー
作者不詳(ブリテン編):グリーンスリーブス
【試聴について】

~春祭ジャーナル~
(今後の予定)
2018年 II. 室内楽作品 II2019年 III. 歌を伴う器楽アンサンブル作品
2020年 IV. オーケストラ作品
2021年 V. オペラ作品
チケットについて
■チケット料金(税込)
席種 | S席 | A席 | U-25※ |
---|---|---|---|
料金 | ¥3,600 | ¥2,100 | ¥1,500 |
■発売日
一般発売:2016年11月27日(日)10:00
※ U-25チケットは、2017年2月10日(金)12:00発売開始
(公式サイトのみでの取扱い)
■上野学園 石橋メモリアルホール

ブリテンの作品
ブリテンは優れたピアニストであったにもかかわらず、ピアノ作品は驚くほど少ない。《5つのワルツ》はブリテンが少年の頃(1923-25)に書いたピアノ独奏曲だが、これを彼は膨大な若書きの中から選んで、1970年に出版したのだった。今回演奏されるのは、明るく軽やかな「第2番」と、穏やかな悲しみがたゆたう「第5番」である。
1934年に作曲されたピアノ独奏のための組曲《休日の日記》は、全4曲からなり、ささやかな休日の風景が描かれている。「第2曲 出帆」では、穏やかな海を帆走する舟に、一陣の風が吹き過ぎるが、海はまた凪いで、波のきらめきを映し出す。「第3曲 移動遊園地」は、公園などに出張する小規模な遊園地で、電飾に彩られた様々な遊具のイメージが浮かぶ。
全9楽章からなる「無伴奏チェロ組曲 第1番」は、1964年に作曲され、翌年のオールドバラ音楽祭でムスティスラフ・ロストロポーヴィチにより初演された。その終曲(第9曲)「無窮動と第4の歌」は、目まぐるしく動くフレーズが、カント(歌)によってしばしば遮断され、そのせめぎ合いが高揚感をもたらす。
オーボエ独奏のための《オヴィディウスによる6つのメタモルフォーゼ》は1951年、オールドバラ音楽祭のために書かれた。オウィディウスの著作『変身譚』から6つのエピソードを取り上げた幻想的な作品である。「パン」は、愛するシリンクスの変身した葦笛を吹くパン(牧神)、「フェートン」は、太陽の戦車を駆って、ゼウスの雷によって撃ち落とされたフェートン(パエトーン)、「バッカス」は、酒神バッカスの饗宴、「アレトゥーサ」は、河の神の求愛から逃れるために泉に姿を変えられたニンフ・アレトゥーサを描いている。
「2つの昆虫の小品」は、1935年に作曲されたオーボエとピアノのための作品。女流オーボエ奏者シルヴィア・スペンサーのために書かれたが、同人による初演の記録は定かでなく、長いあいだ忘れられていた(楽譜の出版はブリテンの死後、1980年)。「バッタ」と「スズメバチ」それぞれの特徴をユーモラスにとらえている。
イタリア・ルネサンスを代表する芸術家ミケランジェロが残した詩には、何人もの作曲家が曲をつけている。《ミケランジェロの7つのソネット》は、ブリテンがミケランジェロの残した77篇のソネット(十四行詩)から7つを選んで付曲したもの。最愛の友人でテノール歌手ピーター・ピアーズのために1940年、アメリカ滞在中に書かれた。ソネット「第16番」は、愛と芸術について歌ったもの。ソネット「第31番」は、ミケランジェロが愛する美青年カヴァリエーリに贈った詩のひとつ。ソネット「第30番」も前述の美青年に贈られた詩だが、不思議な美しさを湛えている。ソネット「第55番」は、愛によって平静を失う心の動揺を歌う。ソネット「第38番」は、枯渇した愛の源泉を歌う。ソネット「第32番」は、抑えがたい情熱をもって愛の献身を説く。ソネット「第24番」では、美なるものの宿命を歌って終曲となる。
1960年にブリテンは、ショスタコーヴィチを介してロストロポーヴィチと知り合い、以来ロストロポーヴィチはブリテンの創設したオールドバラ音楽祭の常連となる。二人の出会いにより最初に生まれたのが《チェロ・ソナタ ハ長調》で、翌61年のオールドバラ音楽祭でロストロポーヴィチとブリテンにより初演された。5つの短い楽章からなり、各楽章に表題が付けられている。第1楽章は、チェロとピアノの不器用な「対話」。第2楽章は、チェロがピッツィカートに終始する「スケルツォ」。第3楽章は、重い足取りで歩くような「哀歌」。第4楽章は、どこか狂気じみた隊列を思わせる「行進曲」。第5楽章は、ブリテンの作品でよく用いられる「無窮動」である。
「夏の名残のバラ」の原曲はトーマス・ムーアの詩にもとづくアイルランド民謡で、ブリテンを含む多くの作曲家が編曲を試みている。ブリテンは1943~61年にかけて全6巻の民謡編曲集を出版しており、この曲は第4巻「ムーアのアイルランド民謡集」所収。日本では「庭の千草」というタイトルでも親しまれている。
主催:東京・春・音楽祭実行委員会 後援:ブリティッシュ・カウンシル 特別協力:上野学園 石橋メモリアルホール
※掲載の曲目は当日の演奏順とは異なる可能性がございます。
※未就学児のご入場はご遠慮いただいております。
※やむを得ぬ事情により内容に変更が生じる可能性がございますが、出演者・曲目変更による払い戻しは致しませんので、あらかじめご了承願います。
※チケット金額はすべて消費税込みの価格を表示しています。
※ネットオークションなどによるチケットの転売はお断りいたします。
(2017/03/26更新)