PROGRAMプログラム

東京・春・音楽祭-東京のオペラの森2016-

ミュージアム・コンサート「ボッティチェリ展」 記念コンサート vol.3
平尾雅子(ヴィオラ・ダ・ガンバ)

平尾雅子がルネサンス音楽のスペシャリスト達とともにお贈りする歌と器楽アンサンブル。清らかなソプラノの歌声、そしてイタリア・ルネサンス絵画に頻繁に登場する楽器リュートやヴィオラ・ダルコ(ヴィオラ・ダ・ガンバの最初期の名称)による人間味溢れる調べをお楽しみください。

プログラム詳細

2016:03:31:14:00:00

■日時・会場
2016.3.31 [木] 14:00開演(13:30開場)[約60分]
東京都美術館 講堂

■出演
ヴィオラ・ダ・ガンバ:平尾雅子頼田 麗
ソプラノ:名倉亜矢子
リュート:佐藤亜紀子

■曲目
<フィレンツェで鳴り響いた宗教曲>
 マリーア、明けの明星よ
 緑の園の泉よ
 アヴェ・マリーア
 愛はすべてに打ち勝つ
 かたくなで邪悪な心よ
 いかついあの山へ

<メディチ家ゆかりの音楽家たち>
 ギヨーム・デュファイ:麗しきおとめ [試聴]
 アレクサンデル・アグリーコラ:ああ、ヴィーナスの枷 1
 アレッサンドロ・コッピーニ:ジプシーの歌
 ハインリッヒ・イザーク:幸せな日はもう二度と
 グリエルモ・エブレオ・ダ・ペーザロ:

ラ・バッサ・カスティーリャ(ラ・スパーニャ)

 フィリップ・ヴェルドロ:これぞ至福の日 [試聴]

<ミラノのスフォルツァ家、フェッラーラのエステ家、

マントヴァのゴンザーガ家に仕えた音楽家たち>

 ジョスカン・デ・プレ?〔ジョスカン・ダスカーニォ〕:
  神よあなたを信じます
  こおろぎ [試聴]
 ジョスカン・デ・プレ:
  手に負えない幸運の女神
  千々の悲しみ
 ヨアン・アンブロジオ・ダルツァ:サルタレッロ [試聴]
 アントワーヌ・ブリューメル:タンデルナーケン
 バルトロメオ・トロンボンチーノ [マルケット・カーラ?] :

苦しみに我が頬は濡れ

 バルトロメオ・トロンボンチーノ:戦いだ、戦いだ [試聴]

[アンコール]
グリエルモ・エブレオ・ダ・ペーザロ:

ラ・バッサ・カスティーリャ(ラ・スパーニャ)


【試聴について】
[試聴]をクリックすると外部のウェブサイト「ナクソス・ミュージック・ライブラリー」へ移動し、プログラム楽曲の冒頭部分を試聴いただけます。ただし試聴音源の演奏は、「東京・春・音楽祭」の出演者および一部楽曲で編成が異なります。


~「ボッティチェリ展」 記念コンサート~

チケットについて

■チケット料金(税込)

席種 全席自由
料金 ¥2,100
残席状況 本公演は終了いたしました。

 ■一般発売日
 2015年12月10日(木)10:00

■曲目解説

平尾雅子(ヴィオラ・ダ・ガンバ)

本日の「ボッティチェリ展」記念コンサートは、歌と器楽のコラボレーションで、当時の世俗曲や宗教曲をお届けしたいと思います。

プログラムは3つのセクションに分かれています。まず第1にフィレンツェのメディチ家の礼拝堂などで鳴り響いた宗教曲をお聴きいただきます。イタリア半島では13、14世紀以降、ラウダというイタリア語による単旋律賛歌が盛んに歌われていました。ラウダは民衆的性格を持ち、しだいに器楽を伴う多声音楽として、正式な典礼以外の場で人々の心の支えとなっていたのです。さらに15世紀フィレンツェでは、多声世俗曲のコントラファクトゥム(一種の替え歌)として、イタリア語の宗教的歌詞を当てはめたラウダが流行しました。ロレンツォ・デ・メディチ[イル・マニーフィコ](1449-92)やジローラモ・サヴォナローラ(1452-98)の詩によるラウダも残っています。本日はこのようなラウダに古いラテン語のモテトゥスを交えて演奏いたします。

第2のセクションは、ロレンツォ・デ・メディチやその他メディチ家の貴族にゆかりの音楽家たちの作品です。メディチ家は、ボッティチェリのような画家や彫刻家ばかりでなく、たくさんの音楽家を庇護していました。とりわけロレンツォは音楽をこよなく愛し、自ら優れた弦楽器奏者、舞踏家でもありました。仕えた音楽家はイタリア人にとどまらず、遠くアルプスの北、フランスやフランドル地方出身者も数多く含まれていました。

北方からやって来た作曲家として最初に登場するのは、若き日のロレンツォがこの上なく賞賛し尊敬したというデュファイ(1397-1474)です。ロレンツォの父、ピエロの時代、フィレンツェのサンタ・マリーア・デル・フィオーレ大聖堂の献堂式(1436)のために作曲し、優れた歌手たちを送りました。アグリーコラ(1445-1506)とイザーク(1450頃-1517)は、ロレンツォの命でフィレンツェに移住しました。とりわけイザークはロレンツォと私的な親交も深く、大聖堂やメディチ家直属のアヌンツィアータ教会での公的仕事のほか、息子たちの音楽のレッスンもしていました。最後に取り上げるヴェルドロ(1480頃-1552以前)がフィレンツェに来たのはロレンツォの死後ですが、本日は政治思想家で『君主論』で有名なニコロ・マキャヴェッリ(1469-1527)のテキストによる声楽曲を取り上げます。

フィレンツェ生まれのコッピーニ(1465-1527)は、アヌンツィアータ教会でイザークらと同僚の音楽家でした。ヘブライ人グリエルモ(1420-84)は舞踏集を編纂しましたが、そこにはロレンツォ創作の舞踏もいくつか収録されています。

都市国家の集まりであったイタリア半島では、フィレンツェのメディチ家ばかりでなく、様々な宮廷で音楽活動が盛んに繰り広げられていました。一例を挙げますと、フェッラーラから嫁いだマントヴァ王妃イザベラ・デステは数台のヴィオラ・ダルコ(ヴィオラ・ダ・ガンバの最初期の形)の合奏をこよなく愛したと伝えられています。

そこで最後のセクションでは、ミラノのスフォルツァ家、フェッラーラのエステ家、マントヴァのゴンザーガ家に仕えた素晴らしい音楽家たちの作品をご紹介します。当時代を代表する作曲家ジョスカン・デ・プレ(1450頃-1521)は、フランスの宮廷を皮切りにイタリアでもミラノ、ローマ、フェッラーラなどあちらこちらの宮廷や教会で活躍しました。スフォルツァ家のアスカニォ枢機卿に由来するジョスカン・ダスカーニォなる音楽家と同一人物か? という謎は、今日未だに決定的な証拠に欠けるようです。ダルツァ(1508頃活躍)はミラノのリュート奏者、フランス人ブリュメル(1460-1515)はフェッラーラのエステ家、ヴェローナ出身のトロンボンチーノ(1470-1534/35)はマントヴァのゴンザーガ家やエステ家を賑わした宮廷音楽家として知られています。

ボッティチェリの時代に生きた人々の営みや人間模様を想像しつつ、どうぞお楽しみ下さい。

主催:東京・春・音楽祭実行委員会 共催:東京都美術館(公益財団法人東京都歴史文化財団)

後援: イタリア大使館朝日新聞社 協力:日本音響エンジニアリング株式会社


※掲載の曲目は当日の演奏順とは異なる可能性がございます。
※未就学児のご入場はご遠慮いただいております。
※やむを得ぬ事情により内容に変更が生じる可能性がございますが、出演者・曲目変更による払い戻しは致しませんので、あらかじめご了承願います。
※チケット金額はすべて消費税込みの価格を表示しています。
※ネットオークションなどによるチケットの転売はお断りいたします。

(2016/03/31更新)

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