PROGRAMプログラム

東京・春・音楽祭-東京のオペラの森2014-

東京春祭ディスカヴァリー・シリーズ vol.1《E.W.コルンゴルト》~二つの世界の狭間で
~ウィーンからハリウッドへ、20世紀を生きた「最後の神童」を聴く

プログラム詳細

© 青柳 聡
■日時・会場
2014.3.31 [月] 19:00開演(18:30開場)※ この公演は終了いたしました。
上野学園 石橋メモリアルホール

■出演
ソプラノ:天羽明惠
テノール:又吉秀樹
ピアノ:村田千佳
ストリング・クヮルテットARCO
 第1ヴァイオリン:伊藤亮太郎
 第2ヴァイオリン:双紙正哉
 ヴィオラ:柳瀬省太
 チェロ:古川展生
お話・企画構成:中村伸子 [インタビュー]

■曲目
コルンゴルト:
歌劇《ポリュクラテスの指環》op.7より冒頭
おとぎ話の絵 op.3 より
 1. 魔法にかかったお姫さま speaker.gif[試聴]
 2. えんどう豆の上に寝たお姫さま speaker.gif[試聴]
 3. 山の精 speaker.gif[試聴]
まつゆき草(《6つの素朴な歌》op.9より)speaker.gif[試聴]
ヴァイオリン・ソナタ ト長調 op.6 より 第4楽章 speaker.gif[試聴]
マリエッタの歌(歌劇《死の都》op.12より)speaker.gif[試聴]
シュトラウスの物語 op.21 speaker.gif[試聴]
シェイクスピアの詞による歌曲 op.31より
 1. デズデーモナの歌 speaker.gif[試聴]
 2. 緑なす森の木陰で speaker.gif[試聴]
弦楽四重奏曲 第3番 ニ長調 op.34 speaker.gif[試聴]
ウィーンに捧げるソネット op.41 speaker.gif[試聴]
[アンコール]
コルンゴルト(田川めぐみ編):さすらいの歌(歌劇《カトリーン》より)

【試聴について】
speaker.gif[試聴]をクリックすると外部のウェブサイト「ナクソス・ミュージック・ライブラリー」へ移動し、
プログラム楽曲の冒頭部分を試聴いただけます。
ただし試聴音源の演奏は、「東京・春・音楽祭」の出演者および一部楽曲で編成が異なります。



~関連コラム~

出演者

ソプラノ:天羽明惠 Akie Amou 東京藝術大学卒業。オペラ研修所、二期会オペラ・スタジオ修了。文化庁派遣芸術家在外研修員としてシュトゥットガルト音楽大学に留学。
1995年第6回五島記念文化賞オペラ新人賞受賞。副賞として財団の助成によりベルリンで2年間研修を行う。同年7月、新人の登竜門として知られるラインスベルク音楽祭で、▼続きを見る 《ナクソス島のアリアドネ》のツェルビネッタをクリスティアン・ティーレマンの指揮で歌い、続いて8月に、ソニア・ノルウェー女王記念第3回国際音楽コンクールに優勝して、一躍注目を集めることとなった。その後、ドイツを拠点として、ジュネーヴ大劇場、ザクセン州立歌劇場(ゼンパー・オーパー)、ベルリン・コーミッシェ・オーパー等ヨーロッパ各地の歌劇場や音楽祭に出演。
年に数回帰国し、新国立劇場、サントリーホール・ホールオペラなどへ定期的に登場。
超絶的なコロラトゥーラとリリックな声が内外で高い評価を得ており、日本の主要なオーケストラの定期公演にも、著名な指揮者の下、ソリストとして出演している。
サントリーホール・オペラアカデミーのコーチング・ファカルティとして、若手の指導にも力を入れるほか、解説付きオペラの公演をプロデュースし、オペラの啓蒙活動にも積極的に取り組んでいる。
1999年度アリオン賞、2003年第14回新日鉄音楽賞フレッシュアーティスト賞をそれぞれ受賞。日本ロッシーニ協会運営委員。
これまで戸田敏子、フランシス・シマール、故エルンスト・ヘフリガーの各氏に師事。

© Akira Muto

公式サイト http://akieamou.com/ ▲プロフィールを閉じる

ソプラノ:天羽明惠 Akie Amou

テノール:又吉秀樹 Hideki Matayoshi 2010年、第40回イタリア声楽コンコルソにて優勝、ミラノ大賞受賞。
2010年、トスティ歌曲国際コンクールアジア予選大会にて第2位ならびに読売新聞社賞(2012年12月イタリアでのトスティ歌曲国際コンクールイタリア本選に出場)。
東京藝術大学音楽学部声楽科卒業。同大学大学院音楽研究(オペラ)科を首席にて修了。
▼続きを見る 在学時にアカンサス賞、同声会賞、武藤舞賞受賞。
《愛の妙薬》ネモリーノ、《ジャンニ・スキッキ》リヌッチョ、《ドンジョヴァンニ》ドン・オッターヴィオ、《イドメネオ》タイトルロール、《カルメン》ドンホセ、《マクベス》マクダフにて出演。トスティ歌曲国際コンクールアジア予選大会アジア代表、読売新聞社賞受賞。2011年イタリア・オルトーナのヴィットーリア歌劇場《ナブッコ》イズマエーレに出演。12年スポレート歌劇場特別研修員として各地でコンサートに出演。同9月スポレート音楽祭《椿姫》ガストン子爵、続く12月にイタリアで行われるトスティ歌曲国際コンクールイタリア本選大会に出場し高い評価を得た。サントリーオペラアカデミーメンバー。2011年11月二期会クリスタルコンサート、2012年二期会創立60周年記念・テノールの日に出演、ヴェルディ《椿姫》アルフレードのアリアでの輝かしい美声で絶賛を浴び、2014年9月、東京二期会《イドメネオ》(アン・デア・ウィーン劇場との共同制作)に主演予定。
輝かしい美声と確かな音楽性で将来を嘱望される逸材。コンサート分野でも、ベートーヴェンの《第九》、シューベルトのGdurミサ、Esdurミサ、プッチーニのグローリアミサ等にソリストで出演している。二期会会員

公式ブログ「オペラ三昧 by 又吉秀樹」http://ameblo.jp/okomeem ▲プロフィールを閉じる

テノール:又吉秀樹 Hideki Matayoshi

ピアノ:村田千佳 Chika Murata 東京藝術大学大学院修了後ウィーン国立音楽大学大学院ピアノ科、室内楽科修了、同室内楽科助手を務めた。東京藝術大学、聖徳大学音楽学部講師。国際ハイドン室内楽コンクール特別賞、和歌山県文化奨励賞受賞。2012年より自主企画シリーズを開始。ウィーンの仲間、世界の第一線で活躍する音楽家を迎え、ピアノ室内楽の魅力を紹介している。 ▼続きを見る

公式サイト http://otoplus-cm.com/ ▲プロフィールを閉じる

ピアノ:村田千佳 Chika Murata

ストリング・クヮルテットARCO String Quartet ARCO 数々の国内外のコンクールに入賞、またはオーケストラの首席奏者を務めるなど、既に個人として高い評価を獲得している日本の音楽界期待の4人によって1996年に結成された弦楽四重奏団。これまでに東京クヮルテット、アイザック・スターン、山崎伸子、原田幸一郎他の各氏の指導を受ける。1997年JTアートホール室内楽シリーズ及び京都でデビューコンサートを開催、▼続きを見る 妥協のない音楽創りとエネルギッシュな演奏で好評を博す。
1998年第3回宮崎国際室内楽音楽祭、北九州国際音楽祭に出演するほか、NHK-FMリサイタルへの出演、JTアートホール室内楽シリーズにおける定期的なコンサートの開催等、本格的な活動を開始。1999年第3回大阪国際室内楽コンクール弦楽四重奏部門第3位入賞(日本人として最高位)。
2000年ヴィオラの柳瀬省太を新メンバーに迎える。同年9月にはビクターより1stCD『アンダンテ・カンタービレ』を発表、12月にはカザルスホールにてCDデビューコンサートが開催された。また02年3月には2ndCD『ハイドン:《皇帝》』をリリース。これまで吉野直子(Hrp)、横川晴児(Cl)、田部京子(Pf)、赤坂達三(Cl)、大萩康司(Gt)、アワダジン・プラット(Pf)、カール・ライスター(Cl)の各氏と共演。静岡AOI音楽館レジデントクヮルテット及び東京クヮルテットとのジョイントコンサート、NHK教育テレビ「シャルル・デュトワが若者に贈る音楽事典」、新日鉄コンサート、東京オペラシティリサイタルシリーズ「B→C」、サイトウ・キネン・フェスティバルふれあいコンサートや武満徹メモリアルコンサート等に出演。近年のハイライトとしては、NHK教育「芸術劇場」やNHK-BS『クラシック倶楽部』で放送されたスティーヴ・ライヒの《ディファレント・トレインズ》で、大きな話題を集めた。 ▲プロフィールを閉じる

第1ヴァイオリン:伊藤亮太郎 Ryotaro Ito 桐朋学園ソリスト・ディプロマコース修了。第58回日本音楽コンクール・ヴァイオリン部門第1位。その後、第1回ストラディヴァリウス・コンクール優勝。チャイコフスキー国際コンクールでディプロマ賞受賞。1996年、ストリング・クァルテットARCOを結成。継続的な活動を展開している。 これまでにソリストとしてローザンヌ室内管、東響、札響と共演する他、▼続きを見る JTアートホール室内楽シリーズ、サイトウ・キネン・オーケストラ、宮崎国際音楽祭、北九州音楽祭等に参加。2005年6月札幌交響楽団コンサートマスターに就任、現在に至る。これまでに故江藤俊哉、澤和樹、堀正文、ジョルジュ・パウクの各氏に師事。▲プロフィールを閉じる

第1ヴァイオリン:伊藤亮太郎 Ryotaro Ito

第2ヴァイオリン:双紙正哉 Masaya Soshi 桐朋学園大学卒業。篠崎永育、徳永二男、A.アレンコフの各氏に師事。
大学在学中より広島交響楽団、新日本フィルハーモニー交響楽団の ゲストコンサートマスターを務める。1995年、東京交響楽団のアシスタントコンサートマスターに就任。1998年退団後はソロ、室内楽を中心に活躍。ストリング・クヮルテットARCOメンバー。▼続きを見る 2004年北九州市民文化奨励賞受賞。2005年より東京都交響楽団第2ヴァイオリン首席奏者。 ▲プロフィールを閉じる

第2ヴァイオリン:双紙正哉 Masaya Soshi

ヴィオラ:柳瀬省太 Shota Yanase 東京藝術大学音楽学部、桐朋学園ソリスト・ディプロマコースに学ぶ。
1996年、第52回ジュネーヴ国際音楽コンクールディプロマ賞。1997年、第1回淡路島しづかホールヴィオラコンクール第1位。2002年、文化庁芸術家在外派遣研修生としてイタリア・パドヴァに留学。マリオ・ブルネロ主宰のオーケストラ・ダルキ・イタリアーナで活躍。▼続きを見る 2004年から09年までシュトゥットガルト州立歌劇場管弦楽団、2009年より神奈川フィルハーモニー管弦楽団首席ヴィオラ奏者。東京藝術大学非常勤講師。トッパンアンサンブル、サイトウ・キネン・オーケストラのメンバー。また、さいたまアーツシアターカルテットではベートーヴェンの弦楽四重奏曲全曲演奏会を行った。
宮崎、松本、北九州など各地の音楽祭の参加、室内楽シリーズ、リサイタルなどで活躍。 第1回松方ホール音楽賞、大阪文化祭賞を受賞。ヴィオラを店村眞積、岡田伸夫の各氏に師事。 ▲プロフィールを閉じる

ヴィオラ:柳瀬省太 Shota Yanase

チェロ:古川展生 Nobuo Furukawa 桐朋学園大学卒業。1995年第64回日本音楽コンクールチェロ部門第2位入賞。1996年、ハンガリーのリスト音楽院に留学。1998年帰国後、東京都交響楽団首席チェロ奏者に就任、現在に至る。2003年第2回齋藤秀雄メモリアル基金賞受賞。2011年第31回藤堂顕一郎音楽褒賞受賞。2013年第31回京都府文化賞受賞。2010年より、桐朋学園大学にて、非常勤講師として勤務。
▼続きを見る ソリストとしても多数のオーケストラと共演。リサイタルも全国各地で精力的に行い、クラシックのみならずジャンルや形態にとらわれない幅広いフィールドで目覚しい活動を続け、人気、実力ともに各方面より注目を集めている。

© Yuri Hori
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チェロ:古川展生 Nobuo Furukawa

■曲目解説

コルンゴルト:
歌劇《ポリュクラテスの指環》より 冒頭

 コルンゴルトの歌劇第1作《ポリュクラテスの指環》は1913年、16歳の時に着手され、翌年完成した。ハインリヒ・テヴェレスの喜劇にもとづく快活なオペラ・ブッファで、登場人物は5人とコンパクトである。

《7つのおとぎ話の絵》より
「魔法にかかったお姫さま」「えんどう豆の上に寝たお姫さま」「山の精」

 《7つのおとぎ話の絵》は、オイゲン大公のために、1910年に書かれた。絵画的な描写に富んだ作品で、第1曲「魔法にかかったお姫さま」から、13歳の少年の楽曲とは思えないほど、ユニークな楽想と気品に満ちている。第2曲「えんどう豆の上に寝たお姫さま」は、まさに一篇の物語を聴くような音楽。第3曲「山の精」では、曲頭の不協和音に都会的な洗練が感じられる。

まつゆき草
 本曲は、コルンゴルトの初期の歌曲が集められた《6つの素朴な歌》の第1曲。アイヒェンドルフの詩に付曲しており、ドイツ・ロマン主義の香りが濃厚に漂っている。

ヴァイオリンとピアノのためのソナタより 第4楽章
 コルンゴルト唯一のヴァイオリン・ソナタは、ヴァイオリン奏者カール・フレッシュとピアニストのアルトゥール・シュナーベルのために、1913年に作曲された。4楽章構成で、終楽章には歌曲「まつゆき草」の旋律が用いられている。

マリエッタの歌
 コルンゴルトの代表作、歌劇《死の都》は1916年に着手され、1920年、23歳の時に完成。台本は、ローデンバックの短編小説『死都ブルージュ』をもとに、父ユリウスと共同で執筆した。第1幕で歌われるヒロイン・マリエッタのアリアは、単独で取り上げられることも多い名品。失われた過去への追憶の歌である。

シュトラウスの物語
 1927年に書かれたピアノ作品で、ヨハン・シュトラウス2世の音楽を巧みにつないでおり、コルンゴルトのアレンジャーとしての手腕が発揮されている。アン・デア・ウィーン劇場の監督フーベルト・マリシュカに献呈された。

《4つのシェイクスピアの詞による歌曲》より「デズデーモナの歌」「緑なす森の木陰で」
 《4つのシェイクスピアの詞による歌曲》は1937年、盟友マックス・ラインハルトによる演劇学校でのシェイクスピア・ワークショップのために書いた曲を、1941年に書き直したピアノ伴奏付の独唱曲集。第1曲「デズデーモナの歌」は、シェイクスピア『オセロー』から採られた。独唱とほぼユニゾンでデズデーモナの心情に寄り添うようなピアノ伴奏が印象的。第2曲「緑なす森の木陰で」は、シェイクスピア『お気に召すまま』から。明るく弾む民謡調の曲である。

弦楽四重奏曲 第3番
 完成は終戦の年で、コルンゴルトがウィーンの楽壇、そして純音楽に立ち返ろうとする戦後作品群の口火を切った曲。主題の素材には、自身の映画音楽のモチーフが使われている。第1楽章は半音階的な主題で始まるが、第2主題にはコルンゴルトらしい美麗な旋律が現れる。第2楽章スケルツォは不穏な雰囲気を漂わせるが、中間部に映画『二つの世界の狭間で』から美しいメロディが引用される。第3楽章ソステヌートは、全曲中の白眉とも言える楽章で、主題はジャック・ロンドンの小説を映画化した『海の狼』からの引用。第4楽章でロンド主題に続いてヴィオラが奏でるメロディは、ブロンテ三姉妹を描いた映画『まごころ』からの引用となっており、最後にはこれまでの楽章の主題が回想され、全曲が閉じられる。

ウィーンに捧げるソネット
 ハンス・カルトネカーの未発表詩に、映画『逃げちゃ嫌よ』のテーマを付けた独唱曲。切々と歌われる「ウィーン」への断ちがたくも叶わぬ想いが胸に迫る。作曲は1953年で、コルンゴルトの最後の歌曲とされている。


主催:東京・春・音楽祭実行委員会 後援:オーストリア大使館 特別協力:上野学園 石橋メモリアルホール

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