東京・春・音楽祭-東京のオペラの森2016-
シェイクスピアと音楽 ― 没後400年に寄せて
~シェイクスピア文学に魅せられた作曲家たち
シェイクスピアの戯曲やソネットは、多くの作曲家たちのインスピレーションの源となっています。連弾による《夏の夜の夢》やソネットから生まれた歌曲など――文学と音楽、そして音楽家(アーティスト)たちによる蜜月な関係がここに。
プログラム詳細
2016:03:29:19:00:00
2016.3.29 [火] 19:00開演(18:30開場)
東京文化会館 小ホール
■出演
ピアノ:居福健太郎、小菅 優
バリトン:駒田敏章
■曲目
メンデルスゾーン:序曲 《真夏の夜の夢》op.21
ハイドン:彼女は決して愛を語らなかった Hob.XXVIa/34

メンデルスゾーン:
スケルツォ op.61-1(付随音楽《真夏の夜の夢》より)
妖精の行進 op.61-2(付随音楽《真夏の夜の夢》より)
シューベルト:シルヴィアに D.891

メンデルスゾーン:合唱付きリート「舌先さけたまだら蛇」op.61-4
(付随音楽《真夏の夜の夢》より)
コルンゴルト:《道化師の歌》op.29
メンデルスゾーン:間奏曲 op.61-5(付随音楽《真夏の夜の夢》より)
シューマン:心の痛み(《6つの歌》op.107 より)

メンデルスゾーン:
夜想曲 op.61-7(付随音楽《真夏の夜の夢》より)
結婚行進曲 op.61-9(付随音楽《真夏の夜の夢》より)
ワーグナー:こんなに遅くなっても(歌劇《恋愛禁制》第2幕 より)

メンデルスゾーン:葬送行進曲 op.61-10(付随音楽《真夏の夜の夢》より)
ジェラルド・フィンジ:《花輪をささげよう》op.18

メンデルスゾーン:
道化師たちの踊り op.61-11(付随音楽《真夏の夜の夢》より)
終曲 op.61-13(付随音楽《真夏の夜の夢》より)
【試聴について】

~春祭ジャーナル~
チケットについて
■チケット料金(税込)
席種 | S席 | A席 | U-25※ |
---|---|---|---|
料金 | ¥5,200 | ¥4,100 | ¥1,500 |
残席状況 | 本公演は終了いたしました。 |
■一般発売日
2015年11月23日(月・祝)10:00
※ U-25チケットは、2016年2月12日(金)12:00発売開始
(公式サイトのみで取扱)


前島秀国(サウンド&ヴィジュアル・ライター)
シェイクスピアの戯曲を原作に用いた音楽は、オペラだけでも現在までに400曲以上が存在するという。とてもその全貌は把握しきれない。そこで本公演の演奏者3人と筆者は合議の末、次の3つのポイントに焦点を絞って演奏曲を決定した。まず、日本で演奏機会に恵まれないメンデルスゾーン《真夏の夜の夢》連弾版全曲を紹介すること。それから、古典派~ロマン派の大作曲家たちがシェイクスピアに作曲した注目すべき歌曲/アリアを紹介すること。そして、シェイクスピアの歌詞を用いた20世紀の代表的な歌曲として、メンデルスゾーンと同じユダヤ系の血を引くコルンゴルトとフィンジの作品を紹介すること。演奏にあたっては、連弾曲の合間に歌曲/アリアを挟み込み、全体を歌芝居のような流れで構成することにした。
妖精パックの悪戯によって関係がもつれた3組のカップルが最終的にハッピーエンドを迎える『真夏の夜の夢』は、現在で言うところのラブコメの源流的作品。メンデルスゾーンは、この戯曲に連弾用序曲(1826年)と舞台上演のための付随音楽(1842年)を作曲している。本公演では連弾用序曲に加え、メンデルスゾーン自身が付随音楽から9曲を選んで連弾用に編曲したヴァージョンを演奏する。
ドイツ語圏においては、いわゆる疾風怒濤(Sturm und Drang)期にゲーテやヘルダーがシェイクスピアを積極的に紹介し、かつ全戯曲のドイツ語訳全集(ヴィーラントとエッシェンブルク訳)が1777年に初刊行されたことで、一種のシェイクスピア・ブームが到来した。以下の作曲家たちは、多かれ少なかれそのブームの影響を受けていると言えるだろう。ハイドンの歌曲は『十二夜』第2幕第4場より。オーシーノ公爵に仕える小姓シザーリオ――実は男装した女性ヴァイオラ――が公爵に寄せる恋心を遠回しに歌う。シューベルトの歌曲は『ヴェローナの二紳士』第4幕第2場より。ミラノ大公の娘シルヴィアの愚かな許嫁シューリオが、シルヴィアに寄せる想いを楽師たちに歌わせるセレナーデである。シューマンの歌曲は『ハムレット』第4幕第7場の王妃ガートルードの台詞に登場するオフィーリアの死の情景を歌ったもの。ワーグナーのアリアは『尺には尺を』を翻案したオペラ《恋愛禁制》から。シチリア総督フリードリッヒが、美しいイザベラに恋い焦がれるあまり、自ら発布した恋愛禁制の令を破ってしまう。
高名な舞台演出家マックス・ラインハルトがハリウッドで監督した映画『真夏の夜の夢』のためにメンデルスゾーンの付随音楽を編曲したコルンゴルトは、その後もハリウッドで映画音楽作曲家として活躍する傍ら、1943年のラインハルトの死までコラボレーションを継続した。《道化師の歌》は、1937年ロサンゼルスで開催されたラインハルトのワークショップ「シェイクスピアの女性、道化、歌曲」のために書かれた歌曲集。歌詞は『十二夜』で狂言回しの役を務める道化フェステの歌に基づく。
第二次世界大戦勃発により英国戦時運輸省に徴兵されたフィンジは、ドイツ/チェコからの難民のために自宅を開放した。この間、作曲活動の中断を余儀なくされた彼が1942年に辛うじて完成させた歌曲集が《花輪をささげよう》である。『十二夜』に作曲した第1曲および第4曲の歌詞は、コルンゴルトの第1曲および第2曲と同じ歌詞。『ヴェローナの二紳士』に作曲した第2曲の歌詞は、シューベルト《シルヴィアに》のドイツ語歌詞のオリジナルにあたる。
主催:東京・春・音楽祭実行委員会
※掲載の曲目は当日の演奏順とは異なる可能性がございます。
※未就学児のご入場はご遠慮いただいております。
※やむを得ぬ事情により内容に変更が生じる可能性がございますが、出演者・曲目変更による払い戻しは致しませんので、あらかじめご了承願います。
※チケット金額はすべて消費税込みの価格を表示しています。
※ネットオークションなどによるチケットの転売はお断りいたします。
(2016/03/28更新)