東京・春・音楽祭-東京のオペラの森2013-
原田禎夫チェロ・シリーズ vol.3ズッカーマンと創る極上の室内楽
~ズッカーマン・チェンバー・プレイヤーズwith原田禎夫
長い友情と音楽的信頼で結ばれた原田禎夫とピンカス・ズッカーマン、待望の東京公演が実現しました。世界中から尊敬を集める2人と、ズッカーマン率いる若い才能たちとのエネルギーが出会う、貴重な公演です。
プログラム詳細
2013:03:31:15:00:00
2013.3.31 [日] 15:00開演(14:30開場)
東京文化会館 小ホール
■出演
ズッカーマン・チェンバー・プレイヤーズ
ヴァイオリン:ピンカス・ズッカーマン、ジェシカ・リネバッハ
ヴィオラ:ジェズロ・マークス
チェロ:アマンダ・フォーサイス
ピアノ:アンジェラ・チェン
チェロ:原田禎夫
■曲目
ボッケリーニ:弦楽五重奏曲 ハ長調 op.42-2 ※

シューマン:ピアノ五重奏曲 変ホ長調 op.44

シューベルト:弦楽五重奏曲 ハ長調 D.956 ※

[※チェロ:原田禎夫]
[アンコール]
ボッケリーニ:弦楽五重奏曲 ハ長調 op.42-2 第4楽章
~原田禎夫チェロ・シリーズ~
~関連コラム~
「チェリスト・原田禎夫」
2014年公演予定
vol.5 ゴルトベルク変奏曲(Vn:ジュリアン・スツルマン / Va:今井信子)
vol.6 リサイタル[ベートーヴェン:チェロ・ソナタ](Pf:加藤洋之)
※変更の可能性がございますので、あらかじめご了承ください
【試聴について】

プログラム楽曲の冒頭部分を試聴いただけます。
ただし試聴音源の演奏は、「東京・春・音楽祭」の出演者および一部楽曲で編成が異なります。
出演者
ズッカーマン・チェンバー・プレイヤーズ Zukerman Chamber Players 並はずれた才能、驚くべき芸術的手腕で世界中から評価されるピンカス・ズッカーマンの音楽家としての生き様は、常に若い音楽家たちを刺激し続けてきた。彼は、教育やアウトリーチを通してこれからの世代にさらなる可能性を与えようと活動を重ねており、2002年に4人の有望な若手音楽家とともに、ズッカーマン・チェンバー・プレイヤーズを結成した。
ヴァイオリン:ピンカス・ズッカーマン Pinchas Zukerman 2011/12年シーズンには、北米、ヨーロッパ、アジアを含む世界各地で100以上の公演が予定されている。音楽監督を務めるオタワ・ナショナル・アーツ・センター管弦楽団とは13年目のシーズンを迎える。また、首席客演指揮者として3年目に入るロンドンのロイヤル・フィルハーモニー管弦楽団とは、スペイン、イタリア、英国、アメリカ合衆国東海岸、カナダでのツアーを行う。
ヴァイオリン:ジェシカ・リネバッハ Jessica Linnebach カナダ人ヴァイオリン奏者であるジェシカ・リネバッハは、演奏解釈の深さと芸術性の高さにより、5大陸の聴衆を魅了してきた。7歳の時にデビュー以来、カナダ、アメリカ合衆国、南米、ヨーロッパ、そしてアジアを舞台にソリストとして活動を続けている。フィラデルフィアにある世界の名門カーティス音楽院に10歳で入学を認められ、
ヴィオラ:ジェズロ・マークス Jethro Marks ヴィオラ奏者ジェズロ・マークスは、ソリスト及び室内楽奏者としてアメリカ合衆国、ヨーロッパ、カナダにおいて演奏活動を行っている。また、多くの演奏家、グループとともにアンサンブル活動を重ねている。2011年ナショナル・アーツ・センター管弦楽団の首席ヴィオラ奏者に任命され、その後、モーストリー・モーツァルト、ラヴィニア・フェスティバル、サンタフェ室内楽音楽祭、
チェロ:アマンダ・フォーサイス Amanda Forsyth カナダ人のジュノー賞受賞者アマンダ・フォーサイスは、現在北米で活躍する最もダイナミックなチェリストの一人として挙げられる。力強く豊かな音、群を抜いたテクニック・音楽性は、聴衆及び批評家より高い評価を得ている。1999年ナショナル・アーツ・センター管弦楽団の首席チェロ奏者となり、その後同楽団において定期的にソリストとして、
ピアノ:アンジェラ・チェン Angela Cheng カナダ人ピアニスト、アンジェラ・チェンは、その華麗なテクニック、美しい音色そして優れた音楽的才能で賞賛を浴び、北米全土においてリサイタル奏者として活躍する他、オーケストラとの共演を重ねている。アルトゥール・ルービンシュタイン国際ピアノ・マスター・コンクールのメダリストであり、また、栄えあるモントリオール国際ピアノコンクールにて賞を得た
チェロ:原田禎夫 Cello:Sadao Harada NHK交響楽団のチェロ奏者だった父から手ほどきを受けた後、齋藤秀雄氏に師事。桐朋学園大学卒業。東京交響楽団の最年少首席チェリストを務めた後ジュリアード音楽院に入学、クラウス・アダム、ロバート・マン、ラファエル・ヒリヤー各氏に師事し室内楽の研鑽を積んだ。東京クヮルテットを結成し、ミュンヘン国際音楽コンクール等で圧倒的な優勝を飾り世界の注目を浴びた。
シューマン:ピアノ五重奏曲 変ホ長調 op.44
この作品は、ドイツ・ロマン派における室内楽曲の最高傑作と言っても過言ではない。1842年、シューマンが室内楽に集中的に取り組んだいわゆる「室内楽の年」に書かれ、一流のピアニストだった妻クララが自身のレパートリーに加えたこともあって、シューマンの生前からその名声に寄与した曲でもある。作曲の翌年に出版され、クララに献呈された。4楽章構成で、編成は通常の弦楽四重奏にピアノを加えたものだが、この編成は当時まだ成功例がなく、ブラームス、フランク、ドヴォルザークらによる同編成の名作が現れるのは、この作品以後である。
バッハ研究で得た対位法、そこに独自の転調技法や、第1楽章主題が第4楽章に回帰して全体的な総合を生む構造等、シューマンの作曲技法のエッセンスが集約されている。そして何よりシューマンらしいロマン的情熱が隅々にまで満ち溢れているところが、この曲が愛され続けてきた所以だろう。
第1楽章は短7度上行への跳躍をみせる第1主題で華々しく幕を開け、葬送行進曲風の主題を持つ第2楽章、音階的な上昇と下降の生き生きとした躍動を繰り返す第3楽章のスケルツォから、出色の出来栄えを見せる壮大な第4楽章へ。ロンド風ソナタ形式でコーダに至ると、力強いピアノの打鍵に導かれて第1楽章の第1主題が現れてフーガが展開され、そこに重厚な低弦の響きも加わり、全曲のクライマックスを迎える。
シューベルト:弦楽五重奏曲 ハ長調 D.956
この作品はシューベルトの室内楽曲としては最後の作品である。死の2ヵ月前、1828年9月頃に作曲されたと考えられている。モーツァルトの五重奏編成が弦楽四重奏にヴィオラを加えたものであったのに対し、シューベルトの五重奏編成はチェロ2という楽器編成を採用している。
五重奏における第2チェロの使用は、すでにボッケリーニに先例を見出すことができるが、シューベルトはそれをさらに拡大した独自の書法を展開している。つまりこの時期シューベルトは、道半ばにして完成されることのなかったニ長調の交響曲を念頭に、より重厚に音域を広げ、音色を豊かにしたシンフォニックな響きを志向していたのではないだろうか。
第1楽章は、長く延ばした主和音によって始まり、その後2本のチェロで奏される第2主題は、いかにもシューベルトらしい抒情性を湛えた美しい旋律をもつ。第2楽章アダージョは、ピツィカートを従えてしっとりと甘美に歌う主部と、暗い情熱の広がりをみせる中間部との対比が印象的。第3楽章スケルツォは、躍動感に満ちた主部から、一転して厳かなコラール風の楽想が音楽を深めていく。第4楽章アレグレットは、ハンガリー風の舞曲的な性格を持った主題が現れ軽やかに、そして力強く終わる。
主催:東京・春・音楽祭実行委員会 協力:株式会社キングインターナショナル