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お知らせ 2015/03/17

G-Call Clubサロン「オペラ講座《ワルキューレ》」ミニレポート

wagner2IMG_0874.jpg 3月16日(月)、『〈オペラ講座〉「東京・春・音楽祭」を愉しむ ワーグナー「ニーベルングの指環」第一夜《ワルキューレ》』が開催されました。
これは、まもなく上演される東京春祭ワーグナー・シリーズvol.6《ワルキューレ》(指揮:マレク・ヤノフスキ/演奏会形式)をよりいっそう楽しむための予習講座。
東京・五反田駅前の会場G-Call Clubサロンには、雨天にもかかわらず熱心なお客様が集まり、講師の小宮正安先生のユーモアあふれるお話と、合間に披露される佐藤久成さん(ヴァイオリン)&小田裕之さん(ピアノ)の演奏に耳を傾けました。

この日の小宮先生のお話は、ミニコンサートを挟みながら大きく

1)「指環」への道のり
♪演奏♪「愛の歌」(シンディング編/《ワルキューレ》より)
2)《ワルキューレ》の誕生
♪演奏♪「死の予告」(ブラントシュテットナー&シュルツェ=ビーザンツ編/《ワルキューレ》より)
3)文化史にみる《ワルキューレ》
♪演奏♪「ジークフリート・パラフレーズ」(ウィルヘルミ編)
4)終わらない物語

という4つのトピックに分かれていました。(あまりに盛りだくさんの内容でしたので、すべてを余すところなくレポートすることはできません・・・)
1)では様々な絵画を眺めながら、《ワルキューレ》のあらすじやヴォータンを起点とするファミリーツリーを整理。
さらにワーグナーの肖像画や当時の風刺画も多数紹介され、彼の人となりや、進化論が発展した19世紀における彼の芸術思想の特徴などを説明いただきました。
つづいて2)では、ワーグナーのスキャンダラスな私生活や、ショーペンハウアーの哲学への傾倒と彼の作品の関連を紐解き、3)では、当時のドイツにおけるナショナリズムの勃興が『ニーベルングの指環』の構想に与えた影響が、様々な事例とともに紹介されるなど、とても興味深い内容でした。
エピローグの4)では、話題が次回作《ジークフリート》や原作の神話にまで及びました。
小宮先生いわく、《ワルキューレ》こそが『ニーベルングの指環』が"神の物語"から"英雄の物語"へと移行していく大きな転換を担うのだとか。
《ワルキューレ》という作品そのものを楽しみながら、同時にそれが『ニーベルングの指環』という壮大なストーリーの一部であることを意識することが、やはりこの作品を深く理解する鍵なのですね。
そして『ニーベルングの指環』は、"指環"をメタファーとしたリアリスティックな社会批判であると同時に、ワーグナーの幻想的なアイデアを下敷きにしてもいる――こうした二面性も、この楽劇の魅力なのだそうです。

wagner3.jpg wagner4.jpg

ところでワーグナーは、自身の大規模な楽劇を実際に舞台にあげる前に、しばしば私的なサロンで、(自らピアノを弾き、歌うなどしながら)友人たちに"室内楽"のサイズで初お披露目をしていたのだそうです。
この日、親密な空間G-Callサロンで行われた講座&ミニコンサートでは、まるで当時のサロンにタイムスリップしたかのような、特別な感覚をおぼえました。
参加者の皆様は、会場を後にしながら、あっという間に1時間半が過ぎていたことに驚かれたのではないでしょうか。

東京・春・音楽祭では、4/4(土)・4/7(火)に《ワルキューレ》を上演。
このほか4/5(日)には、小宮正安先生が企画構成/お話し役をつとめる「東京春祭マラソン・コンサート:《古典派》〜楽都ウィーンの音楽家たち」もお届けします。
どうぞご期待ください。


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