東京・春・音楽祭-東京のオペラの森2017-
ミュージアム・コンサート「バベルの塔」展 プレ・コンサート vol.2
永田平八(リュート)&吉澤 実(リコーダー)
ルネサンス時代を代表する弦楽器リュートとリコーダーをはじめ、珍しい笛とのコラボレーションで贈ります。ブリューゲルの「バベルの塔」に描かれた緻密な表現を感じる時代の息吹を、軽快な音楽とトークでお楽しみください。
プログラム詳細
2017:04:15:14:00:00
2017.4.15 [土] 14:00開演(13:30開場)[約60分]
東京都美術館 講堂
■出演
リュート:永田平八
リコーダー:吉澤 実
■曲目
ジロラモ・フレスコバスディ:カンツォン
作者不詳:イングリッシュ・ダンプ
作者不詳:グリーンスリーブス
クロード・ジェルヴェーズ編:パヴァーヌ、ガイヤルド、スパニョレッタ
作者不詳:小鳥愛好家の楽しみ
ヤコブ・ファン・エイク編:イギリスのナイチンゲール

ピエール・アテニャン編:美しい花
ジョスカン・デ・プレ:千々の悲しみ

ルイス・デ・ナルバエス:千々の悲しみ(皇帝の歌)

ジョスカン・デ・プレ:スカラメッラは戦いに行く

マルコ・ダキラ:
ジョスカン・デ・プレの「ベネディクトゥス」によるリチェルカーレ
ジョスカン・デ・プレ:コオロギは良い歌い手
作者不詳:冬、森、シャンソネッタ・テデスカ
※ 当初発表の曲目より変更となりました。
[アンコール]
ロバート・カー:イタリアン・グラウンド
日本古謡:桜
【試聴について】

チケットについて
■チケット料金(税込)
席種 | 全席自由 |
---|---|
料金 | ¥2,100 |
■発売日
一般発売:2016年12月8日(木)10:00

永田平八
本日は「バベルの塔」展プレ・コンサート vol.2にようこそお越しくださいました。美術館に展示される作品と同時代の音楽を中心に、ヨーロッパのルネサンス時代に最も親しまれた撥弦楽器リュートとリコーダーをはじめとする様々な笛のコラボレーションをお楽しみください。
リュートはペルシャ起源の楽器で、中世にヨーロッパに持ち込まれ、ルネサンスからバロック時代まで演奏されました。やさしい音色と共に、優雅なフォルムが魅力的で、彫刻や絵画などに数多く描かれてきました。リュートは中国、日本などの琵琶の仲間になりますが、ヨーロッパでは天使が演奏し、東アジアでは飛天や弁財天などが演奏する姿が多く描かれています。古来より人々はその音色に、天上の世界への憧れや心の安らぎを感じていたのかもしれません。時代に応じて弦の数や調弦方法は様々ですが、本日はルネサンス時代に最も演奏された6コースリュート(11弦)を演奏します。
リコーダーも古くからヨーロッパで親しまれまた楽器です。イタリアではフラウト・ドルチェ(甘い音色の笛)、フランスではフリュート・ア・ベック(くちばしの形をした笛)、ドイツではブロック・フレーテ(ブロックという部品を埋め込んで音を出す笛)と呼ばれていました。リコーダーは英語の呼び名ですが、小鳥にメロディをレコード(記録)する楽器、あるいは小鳥のように歌う笛という意味になろうかと思います。時代によってかたちは少しずつ異なり、高い音を出す小さいものから、低音部を担当する大きなものまで様々な種類が作られました。
さらに本日は、ギリシャ神話に登場する牧神パンの笛、牛の角笛(ゲムスホルン)、ダブルリードの曲がった笛(クルムホルン)などもお聞きいただきます。古来より人々は心に訪れる様々な想いや情景を、「息」という文字に表されるように「自分」の「心」の想いを笛に托して表現してきたのかもしれません。
本日はリュートとリコーダーの二重奏とそれぞれの楽器のソロを織り交ぜて、当時最も親しまれた曲を中心にお楽しみいただきたいと思います。「カンツォン」は「歌」を意味し、模倣の技法を使い、次々に新しいメロディが自由に展開していきます。「グリーンスリーブス」は緑の袖の服を着た女性に対する思いを歌った当時の流行歌で、そのテーマに基づく変奏曲です。「パヴァーヌ、ガイヤルド、スパニョレッタ」はフランス宮廷で踊られた舞曲です。「小鳥愛好家の楽しみ」は当時、イギリスで流行った小鳥に歌を教えるための曲集で、その中から数曲を演奏します。「イギリスのナイチンゲール」はオランダで出版された曲集「笛の楽園」に納められ、ナイチンゲール(夜鳴きウグイス)の声に失恋の想いを乗せた歌曲に基づく変奏曲です。「美しい花」はリュート独奏曲で、パヴァーヌとサルタレッロの2つの舞曲からなっています。「千々の悲しみ」「スカラメッラは戦いに行く」「コオロギは良い歌い手」を作曲したジョスカン・デ・プレはフランドル楽派の中で最も有名な作曲家で、その後の作曲家に多くの影響を与えました。スペインのナルバエスが、ジョスカン・デ・プレの「千々の悲しみ」をビウエラ(スペインのギター型リュート)のために変奏曲に編曲し、ミサ曲の中の「ベネディクトゥス」(祝福があるように)をダキラがリュート独奏に編曲しました。プログラム最後の「冬、森、シャンソネッタ・テデスカ」は、中世の吟遊詩人たちのメロディをお楽しみください。
リュートとリコーダーが織りなす響きが会場に広がり、当時の人々が感じた想いや曲に托した願いが、国や時代、文化を超えて、皆様の心にとどき、共鳴することができたらこれ以上の歓びはありません。
主催:東京・春・音楽祭実行委員会 共催:東京都美術館(公益財団法人東京都歴史文化財団) 後援:朝日新聞社 協力:日本音響エンジニアリング株式会社
※掲載の曲目は当日の演奏順とは異なる可能性がございます。
※未就学児のご入場はご遠慮いただいております。
※やむを得ぬ事情により内容に変更が生じる可能性がございますが、出演者・曲目変更による払い戻しは致しませんので、あらかじめご了承願います。
※チケット金額はすべて消費税込みの価格を表示しています。
※ネットオークションなどによるチケットの転売はお断りいたします。
(2017/04/19更新)