PROGRAMプログラム

東京・春・音楽祭-東京のオペラの森2010-

ミュージアム・コンサート「ボルゲーゼ美術館展」記念コンサートvol.2
「16世紀・ルネサンスの実りー百花繚乱の時代」

話題のボルゲーゼ美術館展の開催を記念して、15世紀から17世紀までの音楽を、日本を代表するチェンバロ奏者中野振一郎の演奏とお話で紐解きます。芸術のパトロンとして知られた枢機卿ボルゲーゼの芸術への愛を感じ、共有できる又とない機会です。

プログラム詳細

2010:03:17:14:00:00

Photo: Satoshi Aoyagi
■日時
2010/3/17(水) 14:00(13:15開場)(約1時間)

■会場
東京都美術館 講堂

■出演
チェンバロ:中野振一郎

■曲目  「イタリアのチェンバロ音楽~ルネッサンスの終焉とバロック誕生~」
M.ファーコリ:
 チンツィア夫人のアリア イ調
 テデースカ「プロフィーチャ」 ト調
C.メールロ:4声のカンツォン「レオノーラ」 ハ調
A.ガブリエーリ:カンツォン ハ調
作者不詳:しずかなパヴァーナ ト調
Th.モーリー:パヴァーヌとガリアルド イ調
L.ルッツァースキ:第4旋法のトッカータ ホ調
G.フレスコバルディ:バレット−コレンテ−パッサカーリ ホ調
※当初発表の曲目より変更になりました。
曲目解説はこちら

[アンコール]
J.ブル:イングリッシュ・トイ


vol.1「15世紀・ルネサンスの輝き」の公演詳細はこちら
・vol.3「17世紀・新たな表現に向けて―カラヴァッジョの時代」の公演詳細はこちら

出演者

チェンバロ:中野振一郎 Shinichiro Nakano 京都生まれ。1986年桐朋学園大学音楽学部の演奏学科(古楽器専攻)を卒業。
1990年10~11月に大阪で開いた4回連続の独奏会「ヨーロッパ・チェンバロ音楽の旅」により「大阪文化祭金賞」等を受賞。翌年7月にはフランスの「ヴェルサイユ古楽フェスティバル」のクープラン・サイクルに出演。ケネス・ギルバートやボブ・ファン・アスペレンら欧米を代表する名手と肩を並べ「世界の9人のチェンバリスト」の一人に選ばれる。
1992年6月、「バークレー古楽フェスティバル」へ最年少の独奏家として招かれる。
1993年ロンドンの独奏会場ウィグモア・ホールのデビュー・リサイタルを開き、「日本人には珍しいパーソナリティーを持っている」と的確な評価を受けた。
1994年10~12月にはサイモン・スタンデイジとの二重奏を含む3回連続の演奏会「チェンバロ三夜物語」を東京で開き、「豊かな表現」(音楽評論家・岡部真一郎氏=日本経済新聞)が改めて注目を集めた。
1995年3、6、10月と日本経済新聞社主催の「日経リサイタルシリーズ/ワークショップ オブ ミュージック」に出演し、「柔軟・自由・ほどよい即興で自然体、“楽興の時”をきざんでゆく」(音楽評論家・故中河原理氏=1995年6月19日付朝日新聞・夕刊)或いは、「さりげない素顔を見せるこの若い音楽家は、間違いなく、日本が世界に誇るべき名手である」(音楽評論家・岡本稔氏=1995年10月20日付日本経済新聞・夕刊)と評された。
1999年2月のドイツ招聘演奏旅行ではコレギウム・ムジクム・テレマンを率いて見事に聴衆を沸かせ、ソリストとしてだけではなく、オーケストラの音楽を構成するディレクターとしての魅力を国際的にアピールすることができた。
また1999年の10月にはバッハの大曲「ゴルトベルク変奏曲」をCD収録し、11月には東京・名古屋で、12月には大阪で公演。「各変奏が持つ世界を可能な限り忠実に描出しようとする真摯な姿勢には心を打たれる」「先人たちの遺産を鑑み、大地をしっかり踏まえた中野の解釈の方が説得力が大きい」「この基本的な解釈にさらなる年輪が刻まれるのを見守っていきたい」(音楽評論家・岡本稔氏=1999年11月9日付日本経済新聞・夕刊)と絶賛された。12月の 大阪公演はこれを皮切りに毎年行われている。
2003年5月末にはドイツより日本から唯一招聘を受け、「バッハ フェスティバル ライプツィヒ 2003」に出演。ソロ演奏会及びコレギウム・ムジクム・テレマンとの共演等、ソリストあるいはミュージックディレクターとしての力量を遺憾なく発揮。中でもライプツィヒにおける「ゴルトベルク変奏曲」は特筆すべき公演で、現地でも高い評価を得た。尚、この様子はNHK教育テレビ「芸術劇場」にて放映され国内でも話題を呼んだ。
CDの収録にも意欲的で、フランス、イタリア、ドイツ各国の作曲家の作品による多数のソロ・アルバムをリリース。中でも2000年にリリースした『ゴルトベルク変奏曲』ではヒストリカル・チェンバロとモダン・チェンバロによる演奏とをあわせて収録し、レコードアカデミー賞に輝いた。コレギウム・ムジクム・テレマンとのセッションによるCDも2000年以来毎年リリースしている。2003年7月にはソロCDを二枚同時にリリース。2004年5月にはバッハの『フランス組曲』をリリース。これもレコード芸術の特選版に選ばれている。
又、同年7月から8月に掛けて行ったドイツでの単独リサイタルツアーでは現地でも大絶賛を受け大きな反響を呼び、続く10月に開催したリサイタルは「平成16年度文化庁芸術祭・大賞」を受賞する等、日本のみならず世界のチェンバロ奏者としてその地位を不動のものにしている。

【主な受賞歴】
●1991年度「大阪文化祭賞・金賞」、「大阪市・咲くやこの花賞」
●1992年度「村松賞」、「関西芸術大賞・シルバー賞」
●1994年度「大阪文化祭賞・本賞」
●1995年度「大阪文化祭賞・本賞」
●1996年度「大阪文化祭賞・本賞」
●1996年度「文化庁芸術祭・音楽部門/新人賞」
●2003年度「第22回京都府文化賞」
●2004年度「兵庫県芸術奨励賞」
●2004年度「文化庁芸術祭大賞」
【ディスコグラフィー】
◎『イージー・ウィナーズ~スコット・ジョプリン・オン・チェンバロ』
◎『優しい恋わずらい~ヴェルサイユの音楽』
◎『バッハ家の音楽帖』
◎『ウィーンへの夢~オペレッタ・オン・チェンバロ』
◎『中野振一郎/疾風怒濤』
◎『J.S.バッハ・アルバム』(レコード芸術:特選盤)
◎『スペイン・ポルトガルのチェンバロ音楽』(レコード芸術:特選盤)
◎『ウィーン気質』
◎『J.S.バッハアルバム2』(レコード芸術:特選盤)
◎『F.クープラン&フォルクレ』
◎『バロック誕生』
◎『ゴルトベルク変奏曲』(レコード芸術:特選盤/レコードアカデミー賞録音賞)
◎『J.Sバッハ/チェンバロ協奏曲集』
◎『煙が目にしみる』
◎『調子の良い鍛冶屋~チェンバロ名曲集』(以上発売元:日本コロムビア)
◎『テレマン作品集①/組曲“昔と今の諸国の人々”』(発売元:ナミ・レコード)
◎『ラ フォリア~イタリアの作曲家6人による~』(発売元:マイスター・ミュージック)
◎『J.S.バッハ以降のチェンバロ協奏曲』(発売元:マイスター・ミュージック)
◎『ヘンデル:チェンバロ組曲~調子の良い鍛冶屋~』(発売元:マイスター・ミュージック)
◎『ラ ヴィクトワール:ポンパドゥール侯爵夫人の音楽』(発売元:マイスター・ミュージック)
◎『J.S.バッハ/フランス組曲』(レコード芸術:特選盤)(発売元:デンオン)
◎『C.P.E.バッハ作品集』(発売元:デンオン)
◎『D.スカルラッティ~チェンバロソナタ集~』(発売元:マイスター・ミュージック)
-他-

Photo:稲見伸介 

チェンバロ:中野振一郎 Shinichiro Nakano

■曲目解説

M.ファーコリ:チンツィア夫人のアリア イ調、テデースカ「プロフィーチャ」 ト調
ヴェネツィア出身のマルコ・ファーコリは、16世紀後半に活躍した作曲家。彼の全体像には不明な部分が多く、ファーコリ作と伝えられるも特定不能な作品があったり、生年も不明であったりする。2曲目の「テデースカ」の原義は「ドイツの」。「アッラ・テデースカ= alla tedesca」になると「ドイツ(舞曲)風に」。

C.メールロ:4声のカンツォン「レオノーラ」 ハ調
クラウディオ・メールロ(1533-1604)は、イタリアの作曲家兼オルガニスト。生前は“最高のオルガニスト”との評価を誇り、トッカータの発展にも重要な役割を果たした。オルガン建造も手がけ、パルマ音楽院には彼の手になるオルガンが現存する。「カンツォン」とは、フランスの「シャンソン= chanson」を模した器楽曲のこと。

A.ガブリエーリ:カンツォン ハ調
アンドレーア・ガブリエーリ(1510頃-86)は、当時の最も重要な作曲家の一人で、作曲家、オルガニストとして活躍した。彼は、ヴェネツィア人作曲家による楽派を国際的な水準にまで高める一方で、後期ヴェネツィア楽派およびドイツ南部の作曲家にも大きな影響を与えた。

作者不詳:しずかなパヴァーナ ト調
「パヴァーナ」とは「くじゃく=pavo」をまねてゆっくりと踊られる宮廷ダンスのこと。起源はスペインと言われ、そこから各国の宮廷に儀式用のダンスとして採用された。

Th.モーリー:パヴァーヌとガリアルド イ調
トマス・モーリー(1557/58〜1602)は、エリザベス1世の時代にイングランドで活躍した音楽家。この曲のように、ゆったりとした2拍子の「パヴァーヌ」と快活な3拍子の「ガリアルド」を組み合わせて一対の舞曲とする手法は、16世紀の音楽によく見られた。

L.ルッツァースキ:第4旋法のトッカータ ホ調
ルッツァスコ・ルッツァースキ(1545-1607)は、16世紀後期のフェラーラ宮廷で指導的な役割を果たした人物で、作曲家、オルガニスト、教育者として活躍した。彼は優れた鍵盤楽器奏者で、マドリガーレ作曲家としても大きな影響を及ぼした。

G.フレスコバルディ:バレット−コレンテ−パッサカーリ ホ調
イタリアのフェラーラ出身のジローラモ・フレスコバルディ(1583-1643)は、17世紀前半(初期イタリアン・バロック)において最大級の影響力を持った鍵盤作曲家であった。「バレット」「コレンテ」「パッサカーリ」は、いずれも舞曲の形式を表わす。



主催:東京・春・音楽祭実行委員会/東京都美術館

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