PROGRAMプログラム

東京・春・音楽祭-東京のオペラの森2010-

ミュージアム・コンサート「ボルゲーゼ美術館展」記念コンサートvol.3
「17世紀・新たな表現に向けてーカラヴァッジョの時代」 

話題のボルゲーゼ美術館展の開催を記念して、15世紀から17世紀までの音楽を、日本を代表するチェンバロ奏者中野振一郎の演奏とお話で紐解きます。芸術のパトロンとして知られた枢機卿ボルゲーゼの芸術への愛を感じ、共有できる又とない機会です。

プログラム詳細

2010:03:18:14:00:00

Photo: Satoshi Aoyagi
■日時
2010/3/18(木) 14:00(13:15開場)(約1時間)

■会場
東京都美術館 講堂

■出演
チェンバロ:中野振一郎
ヴァイオリン:川田知子

■曲目  「イタリアン・バロック~ヴァイオリンとチェンバロの名曲を集めて~」
G.フレスコバルディ:トッカータ第9番 へ調
M.ロッシ:トッカータ第7番 ニ調
J.C.ケルル:チャコーナ ハ長調、トッカータ ト長調
A.コレッリ:ヴァイオリンと通奏低音のためのソナタ作品5 第9番 イ長調
作者不詳:フォリア
A.コレッリ:ヴァイオリンと通奏低音のためのソナタ作品5 第12番 ニ短調 「ラ・フォリア」
※当初発表の曲目より変更になりました。
曲目解説はこちら

[アンコール]
A.コレッリ: ヴァイオリンと通奏低音のためのソナタ 作品5 第10番 より 「ガヴォット」


・vol.1「15世紀・ルネサンスの輝き」の公演詳細はこちら
・vol.2「16世紀・ルネサンスの実り―百花繚乱の時代」の公演詳細はこちら

出演者

チェンバロ:中野振一郎 Shinichiro Nakano 京都生まれ。1986年桐朋学園大学音楽学部の演奏学科(古楽器専攻)を卒業。
1990年10~11月に大阪で開いた4回連続の独奏会「ヨーロッパ・チェンバロ音楽の旅」により「大阪文化祭金賞」等を受賞。翌年7月にはフランスの「ヴェルサイユ古楽フェスティバル」のクープラン・サイクルに出演。ケネス・ギルバートやボブ・ファン・アスペレンら欧米を代表する名手と肩を並べ「世界の9人のチェンバリスト」の一人に選ばれる。
1992年6月、「バークレー古楽フェスティバル」へ最年少の独奏家として招かれる。
1993年ロンドンの独奏会場ウィグモア・ホールのデビュー・リサイタルを開き、「日本人には珍しいパーソナリティーを持っている」と的確な評価を受けた。
1994年10~12月にはサイモン・スタンデイジとの二重奏を含む3回連続の演奏会「チェンバロ三夜物語」を東京で開き、「豊かな表現」(音楽評論家・岡部真一郎氏=日本経済新聞)が改めて注目を集めた。
1995年3、6、10月と日本経済新聞社主催の「日経リサイタルシリーズ/ワークショップ オブ ミュージック」に出演し、「柔軟・自由・ほどよい即興で自然体、“楽興の時”をきざんでゆく」(音楽評論家・故中河原理氏=1995年6月19日付朝日新聞・夕刊)或いは、「さりげない素顔を見せるこの若い音楽家は、間違いなく、日本が世界に誇るべき名手である」(音楽評論家・岡本稔氏=1995年10月20日付日本経済新聞・夕刊)と評された。
1999年2月のドイツ招聘演奏旅行ではコレギウム・ムジクム・テレマンを率いて見事に聴衆を沸かせ、ソリストとしてだけではなく、オーケストラの音楽を構成するディレクターとしての魅力を国際的にアピールすることができた。
また1999年の10月にはバッハの大曲「ゴルトベルク変奏曲」をCD収録し、11月には東京・名古屋で、12月には大阪で公演。「各変奏が持つ世界を可能な限り忠実に描出しようとする真摯な姿勢には心を打たれる」「先人たちの遺産を鑑み、大地をしっかり踏まえた中野の解釈の方が説得力が大きい」「この基本的な解釈にさらなる年輪が刻まれるのを見守っていきたい」(音楽評論家・岡本稔氏=1999年11月9日付日本経済新聞・夕刊)と絶賛された。12月の 大阪公演はこれを皮切りに毎年行われている。
2003年5月末にはドイツより日本から唯一招聘を受け、「バッハ フェスティバル ライプツィヒ 2003」に出演。ソロ演奏会及びコレギウム・ムジクム・テレマンとの共演等、ソリストあるいはミュージックディレクターとしての力量を遺憾なく発揮。中でもライプツィヒにおける「ゴルトベルク変奏曲」は特筆すべき公演で、現地でも高い評価を得た。尚、この様子はNHK教育テレビ「芸術劇場」にて放映され国内でも話題を呼んだ。
CDの収録にも意欲的で、フランス、イタリア、ドイツ各国の作曲家の作品による多数のソロ・アルバムをリリース。中でも2000年にリリースした『ゴルトベルク変奏曲』ではヒストリカル・チェンバロとモダン・チェンバロによる演奏とをあわせて収録し、レコードアカデミー賞に輝いた。コレギウム・ムジクム・テレマンとのセッションによるCDも2000年以来毎年リリースしている。2003年7月にはソロCDを二枚同時にリリース。2004年5月にはバッハの『フランス組曲』をリリース。これもレコード芸術の特選版に選ばれている。
又、同年7月から8月に掛けて行ったドイツでの単独リサイタルツアーでは現地でも大絶賛を受け大きな反響を呼び、続く10月に開催したリサイタルは「平成16年度文化庁芸術祭・大賞」を受賞する等、日本のみならず世界のチェンバロ奏者としてその地位を不動のものにしている。

【主な受賞歴】
●1991年度「大阪文化祭賞・金賞」、「大阪市・咲くやこの花賞」
●1992年度「村松賞」、「関西芸術大賞・シルバー賞」
●1994年度「大阪文化祭賞・本賞」
●1995年度「大阪文化祭賞・本賞」
●1996年度「大阪文化祭賞・本賞」
●1996年度「文化庁芸術祭・音楽部門/新人賞」
●2003年度「第22回京都府文化賞」
●2004年度「兵庫県芸術奨励賞」
●2004年度「文化庁芸術祭大賞」
【ディスコグラフィー】
◎『イージー・ウィナーズ~スコット・ジョプリン・オン・チェンバロ』
◎『優しい恋わずらい~ヴェルサイユの音楽』
◎『バッハ家の音楽帖』
◎『ウィーンへの夢~オペレッタ・オン・チェンバロ』
◎『中野振一郎/疾風怒濤』
◎『J.S.バッハ・アルバム』(レコード芸術:特選盤)
◎『スペイン・ポルトガルのチェンバロ音楽』(レコード芸術:特選盤)
◎『ウィーン気質』
◎『J.S.バッハアルバム2』(レコード芸術:特選盤)
◎『F.クープラン&フォルクレ』
◎『バロック誕生』
◎『ゴルトベルク変奏曲』(レコード芸術:特選盤/レコードアカデミー賞録音賞)
◎『J.Sバッハ/チェンバロ協奏曲集』
◎『煙が目にしみる』
◎『調子の良い鍛冶屋~チェンバロ名曲集』(以上発売元:日本コロムビア)
◎『テレマン作品集①/組曲“昔と今の諸国の人々”』(発売元:ナミ・レコード)
◎『ラ フォリア~イタリアの作曲家6人による~』(発売元:マイスター・ミュージック)
◎『J.S.バッハ以降のチェンバロ協奏曲』(発売元:マイスター・ミュージック)
◎『ヘンデル:チェンバロ組曲~調子の良い鍛冶屋~』(発売元:マイスター・ミュージック)
◎『ラ ヴィクトワール:ポンパドゥール侯爵夫人の音楽』(発売元:マイスター・ミュージック)
◎『J.S.バッハ/フランス組曲』(レコード芸術:特選盤)(発売元:デンオン)
◎『C.P.E.バッハ作品集』(発売元:デンオン)
◎『D.スカルラッティ~チェンバロソナタ集~』(発売元:マイスター・ミュージック)
-他-

Photo:稲見伸介 

チェンバロ:中野振一郎 Shinichiro Nakano

ヴァイオリン:川田知子 Tomoko Kawada 東京生まれ。4歳よりヴァイオリンを始め、東京芸術大学附属高等学校を経て、東京芸術大学に入学。在学中の1989年に奨学金を得て、アスペン音楽祭に参加。同年、第36回パガニーニ国際コンクール5位入賞。1990年、アラスカ・アンカレッジ音楽祭に東京チェンバー・ソロイスツのメンバーとして招かれる 一方、イタリア、シエナのキジアーナ音楽院室内楽サマー・コースに参加。ディプロマ名誉賞受賞。
1991年、東京芸術大学を首席で卒業。同年、第5回シュポア国際コンクールにて優勝。1992年1月、NHK交響楽団と共演。バルセロナ市立管弦楽団、 サンクトペテルブルグ交響楽団、モスクワ・フィルハーモニー交響楽団などの日本公演にソリストとして起用され高評を博している他、1999年4月にはサンクトペテルブルグ交響楽団の定期演奏会に招待され、絶賛され大成功を収めている。また、2001年には、森本レオと「言の葉コンサート」“太宰治・人間失格”でイザイ及びバッハの無伴奏ヴァイオリン作品演奏にのせて太宰治の作品を朗読するという企画に参加し、大成功を収めている。
2002年デビュー10周年を迎え、札幌及びトッパンホール(東京)で演奏会を行う。徹頭徹尾一時も欠かさない集中力でイザイの無伴奏ヴァイオリン・ソ ナタ全6曲を見事に弾き切り、大絶賛を浴びる。2003年4月、永野英樹のピアノでCD『オペラ座のヴァイオリン弾き』がトライエムから発売。9~10月 には、平成15年度国際交流基金日本文化紹介派遣事業でトルコおよびエジプトでリサイタルを行う。2003年度、第33回エクソンモービル音楽賞、洋楽部門奨励賞を受賞。
2004年2月、NHK・FMラジオ『名曲リサイタル』に出演。素晴らしい演奏と、気取りのない自然な語り口が、スタジオに集まった聴衆の心を掴み絶賛された。
毎年宮崎国際音楽祭に招かれており、2006年5月は武満徹の室内楽演奏会にも出演。チェンバロの中野振一郎とのデュオも高く評価されている。
ソリストとしての活動の他、室内楽でもTOMOカルテット、ジャパン・チェンバー・オーケストラで活躍。
音楽的にもますます円熟味を増し、幅広い分野での活躍が注目されている。
これまでに、小林武史、沢和樹、田中千香士、原田幸一郎、堀正文の各氏に師事。

川田知子公式サイト http://www.tomoko-kawada.com/

Photo:大野純一 

ヴァイオリン:川田知子 Tomoko Kawada

■曲目解説

G.フレスコバルディ:トッカータ第9番 へ調
17世紀前半に活躍したジローラモ・フレスコバルディの作品の多くは、オルガンやチェンバロのために作曲された。彼は、後期ルネサンス鍵盤楽派の業績を集約する一方で、特にその成熟期から晩年にかけての作品は、バロック様式を深化させるものとなっている。「トッカータ」とは、急速なパッセージや分厚い和音を駆使した即興的な楽曲である。

M.ロッシ:トッカータ第7番 ニ調
ミケランジェロ・ロッシ(1601-56)は、17世紀イタリアの鍵盤音楽の主要な作曲家の一人で、ヴァイオリニスト、オルガニストとしても活躍した。「トッカータ第7番」は現在でもよく演奏される作品で、広い範囲の半音階書法を聴くことができる。

J.C.ケルル:チャコーナ ハ長調、トッカータ ト長調
ヨハン・カスパル・ケルル(1627-93)は、ドイツで生まれ、ウィーン、ローマ、ミュンヘン他で活動した作曲家兼オルガニスト。「チャコーナ」とは、フランス語の「シャコンヌ」と同義で、3拍子の荘重なリズムを特徴とする舞曲。

A.コレッリ:ヴァイオリンと通奏低音のためのソナタ作品5 第9番 イ長調
イタリアン・バロックの巨匠アルカンジェロ・コレッリ(1653〜1713)は、ヴィヴァルディよりちょうど四半世紀前、この世に生を受けた。コレッリの代表作とも言える作品5は、前半6曲と後半6曲で性格の異なる、12曲のソナタから成る。ちなみに、前半は「教会ソナタ」で、本公演で演奏される第9、12番を含む後半は「室内ソナタ」となっている。

作者不詳:フォリア
「フォリア」とは、イベリア半島を起源とする舞曲。コレッリのそれとは、楽想も旋律も異なり、こちらは優雅で、舞曲の要素をより強く感じさせる。

A.コレッリ:ヴァイオリンと通奏低音のためのソナタ作品5 第12番 ニ短調 「ラ・フォリア」
コレッリの作品5のなかで最も有名な第12ソナタは、他の11曲とは全く異なる体裁を持っている。「フォリア」の主題のあとに23の変奏曲が続き、単一楽章のソナタをかたち作っている。音楽的にも、高度なヴァイオリン技巧と多彩な変奏が楽しめ、まさに傑作と呼ぶに相応しい作品である。



主催:東京・春・音楽祭実行委員会/東京都美術館

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