PROGRAMプログラム

東京・春・音楽祭-東京のオペラの森2016-

ミュージアム・コンサート「カラヴァッジョ展」記念コンサート vol.1 坂本龍右(リュート)

カラヴァッジョや彼の同時代の画家たちは、作品の中に頻繁に楽器を描きました。中でもリュートが特に多く描かれています。絵画をめぐる音楽の旅 — 今回はスイスを拠点に活躍するリュート奏者・坂本龍右が、17世紀初めのイタリアをご案内します。

プログラム詳細

2016:03:28:14:00:00

■日時・会場
2016.3.28 [月] 11:00開演(10:30開場)/14:00開演(13:30開場)

[各回約60分]

国立西洋美術館 講堂

■出演
リュート:坂本龍右
お話:川瀬佑介(国立西洋美術館 研究員)

■曲目
ジョヴァンニ・アントニオ・テルツィ: トッカータ、パドアーナ
ジャック・アルカデルト:

マドリガーレ「あなたは知っている、私が確かにあなたを愛していることを」

ラウレンチーニ・ダ・ロマーノ:パッサメッツォ
ジュリオ・セヴェリーノ:「スザンナはある日」に基づくファンタジア
ルカ・マレンツィオ:もしあなたの目の輝きが
ジョヴァンニ・マリア・ナニーノ:悔い改める者にとって希望となられるイエス
ジョヴァンニ・ジローラモ・カプスベルガー:トッカータ、コッレンテ [試聴]

【試聴について】
[試聴]をクリックすると外部のウェブサイト「ナクソス・ミュージック・ライブラリー」へ移動し、プログラム楽曲の冒頭部分を試聴いただけます。ただし試聴音源の演奏は、「東京・春・音楽祭」の出演者および一部楽曲で編成が異なります。


~「カラヴァッジョ展」記念コンサート~

チケットについて

■チケット料金(税込)

席種 全席自由
料金 ¥2,900
残席状況
11:00 本公演は終了いたしました。
14:00 本公演は終了いたしました。
  コンサート当日、「カラヴァッジョ展」をご覧いただけます。

 ■一般発売日
 2015年12月10日(木)10:00

■曲目解説

坂本龍右(リュート)

このたび「カラヴァッジョ展」記念コンサートで演奏させていただくことは、私にとりまして望外の喜びです。今回はリュートのソロを通じて、カラヴァッジョの活動と関わりの深い地域、及び時代の音楽をお聞きいただきたいと思います。

カラヴァッジョはミラノに生まれ、後にベルガモ近郊のカラヴァッジョ村に住みました。おそらく彼と近い時期にベルガモに生まれ、北イタリアで活躍したリュートの名手に、ジョヴァンニ・アントニオ・テルツィ(1580-1600頃活動)がいます。その作品には演奏家としての自負に満ちた、強烈な個性がうかがえます。本日は即興的要素を多く含む「トッカータ」と、北イタリア由来の舞曲「パドアーナ」を演奏いたします。

カラヴァッジョが自身の作品に描いたリュートは、それまでの伝統に従い、しばしば寓意的意味を伴っていました。中でも有名な「リュートを弾く人」の絵は、真作として現在2点が確認されていますが、そのうちエルミタージュ美術館所蔵のものは、カラヴァッジョ絵画の収集家でありパトロンであった、ヴィンチェンツォ・ジュスティニアーニ侯爵(1564-1637)のために描かれました。さらにここに書き込まれた楽譜が、フランドル出身のジャック・アルカデルト(1507頃-68)のマドリガーレ集であることも分かっています。

そこで、実際に譜面上で曲が特定できるマドリガーレを1曲選び、当時の流儀に従ってリュートへの編曲(インタヴォラトゥーラ)を行なってみました。アルカデルトの作品は後世に大きな影響を与え、特に前述のジュスティニアーニ侯爵がカラヴァッジョ没後の1628年に著した「音楽論 Discorso sopra la musica」の中で、マドリガーレの大家としてアルカデルトの名前を挙げていることも見逃せません。

ラウレンチーニ・ダ・ロマーノ(?-1608)は、前述のテルツィとほぼ同時期のリュートの名匠で、カラヴァッジョがローマに活動拠点を移した頃に当地で活躍中でした。「パッサメッツォ」は16世紀を通じて大流行した、一定の和音パターンを繰り返す舞曲で、リュート奏者たちにとって、変奏技法を誇示する格好の材料となりました。

カラヴァッジョはローマの他にナポリでも活動しましたが、その頃のナポリのリュート奏者としてはジュリオ・セヴェリーノ(?-1602以前)が出色の存在です。今回演奏いたしますのは、当時大変人気を博していたオルランド・ディ・ラッソ作曲のシャンソン「スザンナはある日」にヒントを得て書かれたものです。

再びローマへと戻り、共にローマと関わりの深いルカ・マレンツィオ(1553/54-99)と、ジョヴァンニ・マリア・ナニーノ(1543/44-1607)の歌曲を、シモーネ・ヴェローヴィオ(1575-1607頃活動)によるリュート編曲でお聞きいただきます。こうした編曲は主にアマチュア層を意図したと考えられ、当時のイタリアの諸都市におけるリュートの需要の高さを示しています。

ジョヴァンニ・ジローラモ・カプスベルガー(1580頃-1651)は、カラヴァッジョが没した1610年にローマに来ました。いわばカラヴァッジョの影響を受けた、次世代の画家たちにとっての同時代人となります。この頃の絵画には、リュートがより大型化した、キタローネという新種の楽器がしばしば登場しますが、カプスベルガーはこの楽器の名手かつ開拓者でした。今回は唯一現存するリュート曲集から、彼の個性が色濃く出た「トッカータ」と「コッレンテ」を演奏いたします。最初のテルツィの曲集の出版からわずか12年後で、両者を比較して感じられる明らかな世界観の違いは、そのまま後期ルネサンスとバロックの音楽の違いとも言え、これはカラヴァッジョが西洋音楽史上における重大な転換期を生きていたということの証しでもあります。

主催:東京・春・音楽祭実行委員会 共催:国立西洋美術館
後援: イタリア大使館読売新聞社 協力:日本音響エンジニアリング株式会社


※掲載の曲目は当日の演奏順とは異なる可能性がございます。
※未就学児のご入場はご遠慮いただいております。
※やむを得ぬ事情により内容に変更が生じる可能性がございますが、出演者・曲目変更による払い戻しは致しませんので、あらかじめご了承願います。
※チケット金額はすべて消費税込みの価格を表示しています。
※ネットオークションなどによるチケットの転売はお断りいたします。

(2016/03/27更新)

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