PROGRAMプログラム

東京・春・音楽祭-東京のオペラの森2014-

ゲルハルト・オピッツ ピアノ・リサイタル
~ベートーヴェン、後期3大ピアノ・ソナタ

プログラム詳細

2014:03:15:15:00:00

© 青柳 聡
■日時・会場
2014.3.15 [土] 15:00開演(14:30開場)
東京文化会館 小ホール

■出演
ピアノ:ゲルハルト・オピッツ

■曲目
ベートーヴェン:
 ピアノ・ソナタ 第30番 ホ長調 op.109 speaker.gif[試聴]
 ピアノ・ソナタ 第31番 変イ長調 op.110 speaker.gif[試聴]
 ピアノ・ソナタ 第32番 ハ短調 op.111 speaker.gif[試聴]

【試聴について】
speaker.gif[試聴]をクリックすると外部のウェブサイト「ナクソス・ミュージック・ライブラリー」へ移動し、
プログラム楽曲の冒頭部分を試聴いただけます。
ただし試聴音源の演奏は、「東京・春・音楽祭」の出演者および一部楽曲で編成が異なります。


~関連コラム~

出演者

ピアノ:ゲルハルト・オピッツ Gerhard Oppitz ゲルハルト・オピッツはドイツ・ピアノの正統派を代表する演奏家として国際的にその名を知られている。音楽解釈におけるこの楽派の流れは、オピッツ自身の師であるヴィルヘルム・ケンプに繋がり、そしてその源流は、リストやベートーヴェンにまで直接遡る。
1953年、バイエルン州に生まれ、5歳のときにピアノを始めた彼は、11歳で早くも公式の場で▼続きを見るモーツァルトのニ短調協奏曲を演奏した。その際に演奏を聴いたシュトゥットガルト国立音楽大学の教授パウル・バックに見出され、1974年、ミュンヘンに移り住むまで、彼の元で研鑽を積む。
1973年ヴィルヘルム・ケンプと出会い、教えを受けるようになった彼は、ケンプから主にベートーヴェンのソナタと協奏曲について学んだ。師のケンプは、自身の解釈との著しい相似性に感服、彼の遺志により、オピッツは後継者として音楽的伝統を引き継ぐこととなった。
1977年、第2回アルトゥール・ルービンシュタイン・コンクールで第1位優勝。この優勝により、一躍、世界的に脚光を浴びる。翌年には、名門ドイツ・グラモフォンより最初のレコードをリリース。1981年、ミュンヘン国立音楽大学で開校以来最も若い教授となる。これまでに、ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団、ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団をはじめ、バイエルン放送交響楽団、ミュンヘン・フィルハーモニー管弦楽団、ロンドン交響楽団、ボストン交響楽団、フィラデルフィア管弦楽団、クリーヴランド管弦楽団、ピッツバーグ交響楽団等のオーケストラ、カルロ・マリア・ジュリーニ、リッカルド・ムーティ、ロリン・マゼール、ズービン・メータ、サー・コリン・デイヴィス、ヴォルフガング・サヴァリッシュ、ホルスト・シュタイン、サー・ネヴィル・マリナー、ヘルベルト・ブロムシュテット、ドミトリー・キタエンコ、ガリー・ベルティーニ等の指揮者と共演している。近年はリッカルド・ムーティの信頼厚く、各地で共演を重ねており、2006年ウィーンの楽友協会大ホールでバイエルン放送交響楽団と、2007年にはニューヨーク・フィルハーモニック定期で共演をし、ニューヨーク・タイムス等で絶賛された。
バッハからブーレーズまで幅広いレパートリーを持つが、特にシューベルト、ベートーヴェン、モーツァルト、バッハ、グリーグ、ブラームスのピアノ作品全曲を重要なレパートリーとしている。とりわけベートーヴェンとブラームスに関しては、世界最高の演奏者の一人として高く評価されており、世界各国で、ベートーヴェンおよびブラームスの全曲演奏会をたびたび行っている。
これまでに発売されたCDは既に40枚を超え、1989年から1997年までBMG/RCAと専属契約を結んでレコーディングを行った。その中には、ベスト・セラーとなったブラームスのピアノ曲全作品集、コリン・デイヴィス指揮バイエルン放送交響楽団とのブラームスおよびウェーバーのピアノ協奏曲集、グリーグのピアノ曲全作品集、マレク・ヤノフスキ指揮ライプツィヒ・ゲヴァントハウス管弦楽団とのベートーヴェンのピアノ協奏曲集がある。最近ではヘンスラー・レーベルから継続的に作品を発表しており、ベートーヴェンのピアノ・ソナタ全集に続き、シューベルトのピアノ作品集(全12枚)がリリースされた。
日本では1994年、NHKテレビのゴールデン・タイムで通算7時間にわたって放映されたベートーヴェン・ソナタ集の演奏およびレッスンが、爆発的人気を呼んだ。2005~08年にわたり日本で開催した「ベートーヴェン・ソナタ全曲演奏会」は、彼自身日本で初めての試みであり、大絶賛のうちに終了した。その後は大型プロジェクト第2弾として、シューベルトのピアノ作品集全12枚の録音、2010~13年にわたり東京にてシューベルト連続演奏会を開催。親日家でもあり、日本で最も人気のあるピアニストの一人である。

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ピアノ:ゲルハルト・オピッツ Gerhard Oppitz

■曲目解説

ベートーヴェン:後期3大ピアノ・ソナタ
 ベートーヴェンの最後の3つのピアノ・ソナタは、1820~22年の間に書かれた。この時期は、《第九》や《ミサ・ソレムニス》等、大曲の構想が渦巻いていた頃で、その中に1年ごとにぽつぽつと、葉上の露がこぼれるように、この3曲が産み落とされていった。作曲家自身のピアノ・ソナタのエッセンスが凝縮された作品群といえる。

ピアノ・ソナタ 第30番
 前作のピアノ・ソナタ第29番《ハンマークラヴィーア》から2年、1820年に書かれた。3楽章構成で、技巧的にも高い難度を誇る。第1楽章は穏やかに流れるように始まり、対照的な第2楽章では、悲劇的な様相を帯びた強い連打が響く。第3楽章は、ゆっくり噛みしめるような主題と6つの変奏曲からなり、細かい分散和音や多用される息の長いトリルが、第32番終楽章との近似性を見せる。

ピアノ・ソナタ 第31番
 1821年に書かれた第31番は、より内向性が強まり、深い悲しみと甘い夢想が交錯するような作品である。第1楽章は穏やかに始まるが、「歌」がいっそう確信に満ちている印象を受ける。第2楽章も、強い打鍵が響く中で、その合間を縫って生き生きと流れるものが感じられる。第3楽章は、悲しみに溢れた「嘆きの歌」とフーガから構成され、非常に独創性に富んだ楽章となっている。

ピアノ・ソナタ 第32番
 1822年に書かれ、恩あるルドルフ大公に献呈された。2楽章構成という珍しい形式だが、終楽章を聴けば、この先は創り得なかったことに納得がいくのではないだろうか。第1楽章の序奏は、運命的なハ短調に始まり、やがて悲劇的な主題が現れる。第2楽章は、1音1音を踏みしめるような主題と5つの変奏からなる。魂が浄化されていく過程をたどるような変奏が繰り返され、天国を想わす特筆すべきトリルが現れて主題を回想したあと、ひっそりと幕が閉じられる。


主催:東京・春・音楽祭実行委員会 後援:ドイツ連邦共和国大使館 協力:株式会社キングインターナショナル

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